横倉山(よこぐらやま)をガイドと歩こう!
牧野富太郎は言った。「雑草という名の草はない」。
高知県佐川町(さかわちょう)に生まれ、のちに日本の植物分類学の父と称された牧野博士は、隣町にある標高774mの横倉山で植物の研究に勤しみ、多くの新種を発見した。そんな博士の足跡を辿り、四季折々の草花やアカガシの原生林が残る山をガイドとめぐってみた。
連続テレビ小説『らんまん』の聖地へ!
コースの見どころの一つ・馬鹿だめしは、4億年以上前の石灰岩でできた高さ約80mの断崖絶壁
1300種もの植物が見られる横倉山。「この山の植生が多様なのは、地質が関係しちゅうがです」とガイドの斎藤政広さん。石灰岩と蛇紋岩(じゃもんがん)という二つの地層が混在する豊かな土壌が、豊富な植物相を生み出しているという。「これがヨコグラノキ!」「立派なツチアケビが!」と、植物を愛する参加者から歓声が上がる。
樹齢500〜600年の杉の巨木に抱かれた杉原神社
日本名水百選の安徳水。安徳天皇の用水に供したといわれる
さらに連続テレビ小説『らんまん』の撮影が行われた杉原神社や安徳水に興奮する一行に、「少年時代の万太郎が足を滑らせたシーンはここです」と、斎藤さんが貴重なエピソードを教えてくれた。山には、平家伝説が残る安徳天皇陵墓参考地や、安徳天皇を祭神とする横倉宮など歴史好きをうならせる見どころも。県内唯一の宮内庁管轄地であるこの一帯はどこか神聖な空気に満ちている。
安徳天皇陵墓参考地
畝傍山(うねびやま)眺望所からの眺め。安徳天皇はここから神武天皇陵を遥拝(ようはい)したと伝わる
神秘の山で植物に触れ、歴史を感じ、五感が目覚める。これぞ最高のデトックスではないか。
牧野博士が命名・発見! 『横倉山』植物図鑑
ヨコグラノキ
横倉宮本殿隣の断崖に残る、牧野博士が日本で初めて発見した基準木は推定樹齢160年。6月上旬に黄色い花を咲かせる
ジョウロウホトトギス
博士がこの山で最も印象に残っていると語った植物の一つで、現在は絶滅寸前の希少種。開花時期は8〜10月頃
ヨコグラツバメ
ほかのツクバネに比べ、花柄と葉の間が短いことから個有の名がついたユリ科植物。5月上旬に開花する
ヒナシャジン
高知県と愛媛県にのみ自生する。10月に白い花が開花
横倉山のジオラマ展示
2024年3月3日まで開催中の牧野富太郎をテーマとした企画展の入口で、博士がお出迎え
横倉山自然の森博物館
横倉山のおいたちや牧野博士に関する展示、トリケラトプスの実物の頭骨化石をはじめとする世界の化石展示など、横倉山をとおして地球の歴史や生物の進化を学べる。安藤忠雄氏の設計による、自然と一体化した建物も見ごたえ十分。
住所:越知町越知丙737-12
問い合わせ先:0889-26-1060
開館時間:9:00~16:30(最終受付)
休館日:月曜
料金:500円
アクセス:JR土讃線佐川駅からバス15分の宮ノ前下車、徒歩5分
- 今回のルート
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9:00
横倉山第3駐車場
- 徒歩15分
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杉原神社
- 徒歩10分
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安徳水
- 徒歩25分
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安徳天皇陵墓参考地
- 徒歩15分
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畝傍山眺望所
- 徒歩20分
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横倉宮・馬鹿だめし
- 徒歩40分
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12:00
横倉山第3駐車場
基本情報
名称 | 横倉山トレッキングツアー 3時間コース |
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交通アクセス | JR土讃線西佐川駅から車10分(越知町観光協会) |
概要 | 全行程約4㎞、所要約3時間 9:00 越知町観光協会(おち駅)集合、横倉山第3駐車場へ各自車(マイカーまたはレンタカー)で移動・ツアー開始。12:00横倉山第3駐車場で解散 |
料金 | ガイド料1名3,000円(申し込みは3名から) |
問い合わせ先 | 越知町観光協会 ☎0889-26-1004 ※5時間コースもあり |
URL | https://ochi-kankou.jp/asobu/mtyoko/mtyoko.html |
- ※提供/連続テレビ小説を生かした博覧会推進協議会(事務局:高知県庁観光政策課)
- ※取材・文/本田亜由美
- ※撮影/国貞誠
- ※写真/越知町観光協会(ジョウロウホトトギス、ヒナジャシン)
- ※本記事は、月刊誌『旅の手帖』2023年10月号からの転載です