トレたび JRグループ協力

2024.12.26旅行土讃線アンパンマン列車と「志国土佐 時代の夜明けのものがたり」―大人も子どもも夢中になる高知旅を鉄道写真家・村上悠太がご案内

2つの列車でドキドキ・わくわく! 高知を巡る鉄道旅

どこまでも広がる太平洋の風景と、子どもたちに夢を与え続ける日本を代表するファンタジー作品ゆかりの地が多く点在する高知県。「坂本龍馬」や「かつおのタタキ」だけじゃない、ちょっと通な高知旅をご紹介します。

瀬戸大橋で海峡を越えて、特急列車で四国へGO!

今回の旅は岡山駅からスタートです。もしかしたら「四国へはいつも飛行機で…」という方もいらっしゃるかもしれませんが、ぜひ僕がおすすめしたいのが鉄道での四国入り! 高知へは、特急「南風」で向かいます。

2019年にデビューした2700系で運行されている特急「南風」は、快適なリクライニングシートが並び、グリーン車はもちろん、普通席にも全席電源コンセント完備。デッキ部には大型荷物スペースも備え、Wi-Fiも使用可能!さらに「南風2・3・6・7・14・15・18・19・26・27号」はちょっと“特別”な南風号になっています!


黄色のアンパンマン列車。大人気キャラクターが描かれている!

それがこちらの土讃線アンパンマン列車! 南風号で運行されているアンパンマン列車は、赤色と黄色の2タイプがあり、その日どちらのカラーで運行されるかは公式Webサイトに公開されています。また、車両の検査などにより通常の車両で運行される日もあるので、予約前に公式サイトで確認するのを忘れずに!

車体にはアンパンマンとなかまたちが描かれ、ホームに入線すると小さなお子さんはもちろん、かつて夢中だった大人たちも思わず見つめてしまう、アンパンマン列車。僕も、2歳になる娘もアンパンマンの服しか着ないくらいの大ファンで、近いうちに家族でも乗りにいきたいなと思っている列車の一つです。

そしてせっかく乗るなら1号車の「アンパンマンシート」が絶対おすすめ! デッキやトイレではなかまたちがみなさんを出迎えてくれるほか、客室内の座席はアンパンマン、ばいきんまんなどがデザインされた特別なシートになっています。こちらは普通車指定席として利用可能ですが、24席限定で、人気が集中するため、旅程が決まったらすぐに指定席を確保しましょう。指定席は全国のみどりの窓口のほか、「e5489」サービスを使用すればオンラインで予約できます。


1号車アンパンマンシート。家族連れでの利用が多く土休日を中心に早々に満席になることも


瀬戸内海を渡って四国へ!

岡山駅を出発した「南風」はおよそ30分で瀬戸大橋を渡ります。これが僕が「列車での四国入り」をすすめたい理由で、「これから四国に行くんだ!」という旅情を何倍にもしてくれる瞬間なんです!

このほか、「南風」が走る土讃線は四国山地を縦断して走るため、阿波池田駅を過ぎて見ることができる、吉野川沿いの車窓はまさに絶景ですよ!


吉野川沿いを行く特急「南風」

思わずこちらも謝りたくなる駅? そして日本を代表するホビー拠点へ


後免駅の駅名標。仲直りにいいかも?!

今回は終点高知駅の少し手前で特急「南風」を下車。降りた駅は漢字で「後免」、ひらがななら「ごめん」という、ちょっとユニークな駅名です。

そして、後免駅から徒歩約10分のところにあるのは、日本を代表するフィギュア制作のパイオニア、海洋堂の国内初のソフビフィギュア工場見学施設「海洋堂スペースファクトリーなんこく」です。こちらはソフビフィギュアの製造工程が見学できるほか、これまで海洋堂が世に送り出してきた製品の展示や、ものづくりの街、南国市のものづくりに関する歴史や学校・企業を紹介する展示も。


多くの人の夢が詰まった場所、海洋堂スペースファクトリーなんこく

そして、2階のミュージアムショップではそんな海洋堂の製品が購入できるほか、工作・体験工房では実際にフィギュアへの絵付け体験、ジオラマの制作体験ができます。

どちらも未経験者でも丁寧にスタッフさんが教えてくれるので、安心です。ジオラマといえば鉄道趣味ととっても縁の深い存在ですが、普段は見る専門の僕も楽しく体験できました!


村上作・くつろぐパンダのジオラマ。経験がなくても大満足の出来栄え!

一年中フレッシュ! 花とフルーツに囲まれる


「知っている団地と違う!」と思ってしまう西島園芸団地

続いて後免駅から北に約3kmのところにある、西島園芸団地へ。あたりには団地、という単語から想像するイメージとは異なる、温室が広がっています。


園内の天井一面に咲く花にうっとり


果実類は全国発送も可能

フォトジェニックなスイーツに注目

園内は温暖な気温が保たれ、ブーゲンビリアを代表にさまざまな花や植物を見学することができます。そして名物なのが、一年を通じて味わえるメロンとスイカ! 1本の木に1個のみし栽培し、丁寧に時間と手間をかけて育てられたメロンやスイカはそのままはもちろん、こだわりのスイーツメニューとしても楽しむことができます。

愛と勇気の物語のまち、香美市で味わう 土佐そだちのビール&ジェラート

さて、「アンパンマン列車」が走る高知県は作品ゆかりの場所が点在し、特に香美市は「愛と勇気の物語のまち」を掲げています。そんな市内を流れる物部川沿いにある、高知カンパーニュブルワリーの醸造所に併設された「TOSACO TAPSTAND」では、高知にしかない素材を活かしたクラフトビールが味わえます。


併設された屋外スペースでクラフトビールを味わうこともできる


きっとあなたの知らない素材に出会えるはず!

高知の素材にこだわったジェラート

高知と聞いて想像する、柑橘類はもちろん、まだ知られていない素材を使用したものも多く、限定醸造のものもラインナップ。国道195号線沿いにあるお店ですが、土佐山田から出ているJR四国バス「川奈路バス停」の目の前なので、公共交通のみでアクセスOK!ハンドルキーパーレスでアルコールが楽しめるのも素敵ポイント。

ビール以外にもノンアルコールドリンクやビール同様に高知にこだわったジェラートもあるので、ファミリーで訪れてみるのもおすすめなお店です。

多くの人々を魅了しつづけるJR四国の「ものがたり」


車体にはやっぱり坂本龍馬!

四国に来たなら、ぜひ乗りたいのが観光列車として運行される3つの「ものがたり」列車。ここ高知県には「志国土佐 時代(トキ)の夜明けのものがたり」が運行されています。実はこの列車、ほかの「ものがたり」列車とは異なる大きな特徴があります。それが、期間限定で「走行区間が異なる」という点! 基本的には土讃線高知〜窪川間の高知県西部を走行しているのですが、期間限定で土佐くろしお鉄道ごめん・なはり線に乗り入れて、高知駅と高知県東部の奈半利駅を結んでいるのです!

ごめん・なはり線を経由する、「煌海(きらめき)の抄」・「雄飛(ゆうひ)の抄」では、太平洋沿いの絶景ポイントを徐行したり、長時間停車で駅に隣接した道の駅での買い物が楽しめたりと、通常運行とは異なるポイントがたくさん。


奈半利駅に停車中の「志国土佐 時代(トキ)の夜明けのものがたり」


2両編成の車内はそれぞれ意匠が異なる

さらに「雄飛(ゆうひ)の抄」で提供される、事前予約制の食事メニューが「浜スイーツ&ティーセット」にリニューアル。運行時間帯にふさわしく、適度なボリューム感のスイーツセットに変更されました。さらに一部は持ち帰りOKなのも嬉しいポイントです。


地産品にこだわったスイーツセットは魅力満点

「志国土佐 時代(トキ)の夜明けのものがたり」は全席グリーン車指定席として運行され、列車によって変わる食事は事前予約が必要です。一方、車内でも予約なしで注文できる沿線ゆかりの素材を使用した軽食やオリジナルドリンクなどもあります。運行日や予約方法などは公式Webサイトをチェックしてみてください。
次回以降の「志国土佐 時代(トキ)の夜明けのものがたり」のごめん・なはり線乗り入れ運行は今のところ未定ですが、恒例の運行になりつつあるので、次回運行にも期待したいところです。


至るところで旅人をお出迎え!


車内では予約なしでも楽しめるドリンクメニューが充実

オリジナルグッズも要チェック!

ごめん・なはり線を訪れるなら名物あわび飯は外せない

せっかく土佐くろしお鉄道に乗るなら、地元の人御用達、知る人ぞ知るあわびめしと「エビフライ」はいかがでしょう?

ごめん・なはり線夜須駅から徒歩約2分の「永楽」では、地元のみなさんに愛される「あわびめし」を味わうことができます。薄く切られた、あわびの旨みを余すことなく堪能できるあわびめしと合わせるのは、同じく名物の巨大なエビフライ!ちょっぴり不思議な組み合わせと感じるかもしれませんが、食べてみると愛されつづけてきたことに思わず納得してしまう、取り合わせ!


ここにしかないという、地元ならではの味を堪能しよう

特別な観光列車をはじめ、地域に愛され続ける味や文化、そして日本を代表するファンタジー作品ゆかりの地が集まる高知へみなさんもぜひ!



著者紹介

村上悠太

1987年鉄道発祥の地新橋生まれ、JRと同い年の鉄道写真家。
交通新聞社刊『鉄道ダイヤ情報』では「ユータアニキ」としてあらゆる現場で鉄道を支える「鉄道HERO」たちの取材を続ける。元々旅好きから写真を始めたので、乗り物に乗って旅をしながら写真を撮るのが大好き。

X:https://x.com/yuta_murakami
Instagram:https://www.instagram.com/yuta_murakami/

  • 取材・撮影・文=村上悠太
  • 掲載されているデータは2024年12月現在のものです。
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