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2024.12.18旅行一生に一度は参拝したい! こんぴらさんで心と健康に向き合う縁結び旅【むすび鉄】

むすび鉄 ~鉄道で巡る縁結び&縁切り神社

“良縁”というと恋愛のイメージが強いですが、仕事や人との縁、時間の縁なども立派なご縁。
鉄道に乗って、人と人、人と物との良いご縁を結ぶ「むすび鉄」の旅に出てみませんか?

元非常勤巫女で、神社アドバイザーとしても活躍するライター 井口エリさんがちょっとディープな“縁結び&縁切り”にまつわる神社をご紹介します。

今回は「こんぴらさん」の愛称で知られる香川の「金刀比羅宮(ことひらぐう)」。江戸時代には「一生に一度はこんぴら参り」といわれ、現在も全国はもちろん、海外からの参拝客も多く訪れる人気の神社です。
こんぴらさんといえば、御本宮や奥社に行くまでの長い石段。石段を上りきるのは大変ですが、その先には達成感と瀬戸内海を望む景色が広がります。この記事では、こんぴらさんで注目の授与品や、境内のおしゃれなレストランなどもご紹介します!

特急「南風」で瀬戸大橋を渡る! 香川県・琴平へ

金刀比羅宮のある琴平へは、岡山駅から高松方面行きの特急「南風」で向かいました。

本州から四国へ渡る際に列車で通過するのが瀬戸大橋。
瀬戸大橋は1988(昭和63)年に開通した、道路・鉄道併用橋としては世界最大級を誇る橋です。通過中は下に瀬戸内海や島々が見えます。


特急「南風」で瀬戸大橋を渡る


車窓からの景色

車窓から眼下に海や島々が広がり、ちょっとしたアトラクションのような感覚! 列車から島々を見ているだけでも楽しく、車窓からの景色は旅情をかき立てられます。


特急「南風」についてもっとくわしく

特急「南風」(2700系)―JR四国を牽引する気鋭の車両・2700系。振子式装置で山岳の勾配も突破(THE列車)

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幸福への試練!? こんぴらさんの長い石段に挑む

岡山から列車に揺られて約1時間、琴平駅に到着しました。
参道にはたくさんのお店が立ち並び、多くの人々が訪れ賑やかな空気が漂います。そしてここから、こんぴらさんの御本宮までの長い石段がはじまります。


琴平駅を出てすぐの景色。大きな鳥居が迎えてくれる

長い石段がはじまる…!


杖のレンタルを活用したい

御本宮までは785段もの石段があります。こんぴらさんに行く際の懸念として、すべて上りきることができるのだろうか、というものがありました。神社仏閣には長い石段がつきものではありますが、800段弱という石段は経験したことがなく、未知数でした。

石段がはじまる前には、杖のレンタルサービスがあります。必要に応じて利用してみると良いでしょう。また、このタイミングで借りなくても心配いりません。参道の途中にも杖を貸し出しているお店がありました。途中で借りる場合、返却に不安を感じるかもしれませんが、帰りも同じ道を通るので安心です。


金刀比羅宮の総門である、大門に到着

100段を過ぎたあたりから大門までは、「一之坂」と呼ばれる特に急な石段となります。
結構上ってきたような気がしたけど、ここまでで道のりは半分くらい……まだ半分!? ちなみに、こんぴら参拝登山シャトル(完全予約制)を使って大門まで上ることもできます。

大門から先は神域であり、国の名勝・天然記念物にも指定されています。


華麗な装飾が見事な旭社


御本宮の目の前の御前四段坂

628段のところにある旭社を抜けると、急に空気が変わったような気がしました。神聖な空気に気持ちが引き締まります。ここまで来ると、御本宮はもうすぐそこです!

ラストスパートは133段の石段、御前四段坂です。各数十段の4段階になっています。ここまで上ってこられたら、もう何も怖いものはありません。最後まで上りきりましょう!!

長い石段を乗り越えて、御本宮へ到着

785段もの石段を上がり、金刀比羅宮の御本宮へ到着しました。長かった…けど達成感がすごくあります。山の上にある金刀比羅宮。全国にある金刀比羅神社の総本宮であり、毎年全国から数多くの参拝客が訪れます。


金刀比羅宮 御本宮

こんぴらさんは海の守り神としても知られていますが、かつては船乗りの人々がこちらの明かりを灯台代わりにしていました。昔は本州から四国へと渡るには船に乗らないとたどり着けませんでした。その道のりはまさに命がけ。船から見える金刀比羅宮の明かりは、どれほど人々の心を勇気づけたでしょうか。参拝時はあいにくのお天気でしたが、晴れていたら瀬戸大橋や瀬戸内海も見えるのだそう。

金刀比羅宮の御祭神は大物主神(オオモノヌシノカミ)。のちに崇徳天皇を相殿にて祀ります。


神聖な空気が漂うこんぴらさん

御祭神は大物主神

大物主神というのは国造りの神であり、縁結びの神様として知られる大国主大神の和魂(ニギミタマ)のこと。そんな大物主神は縁結びの神様でもあります。
金刀比羅宮では、大物主神の御利益にちなんだ縁結びの御守りも授与しています。


良縁御肌守。色はピンクと黒の2種類あり(初穂料:500円)


銅像「こんぴら狗」

また、御本宮へ向かう途中にはこんぴら狗(いぬ)の銅像があります。
江戸時代、犬が飼い主の代わりに金毘羅大権現(今の金刀比羅宮)を参拝する風習があり、「こんぴら狗」と呼ばれていました。ユーモラスでかわいらしいタッチは、イラストレーターの湯村輝彦さんのもの。

御本宮では、そんなこんぴら狗にちなんだかわいい御朱印の授与も行っています。


こんぴら狗ポップアップ型御朱印(初穂料:1500円)(※令和6年のお正月から期間限定で授与されたもの)

ポップアップの御朱印は令和6年のお正月より授与がはじまったもの。春夏秋冬と季節にあわせたデザインで、限定数にて授与しています。参拝時期によってはない場合もありますのでご注意ください。

参拝後のお楽しみ! 「カフェ&レストラン 神椿」でご褒美スイーツ


カフェ&レストラン 神椿

こんぴらさん境内の木馬舎の隣、玉垣と石畳の広場の地下には、自然を間近にゆっくり休憩できる「カフェ&レストラン 神椿」があります。

こちらで、抹茶ソフトをいただきました。香り豊かな抹茶ソフトにサクサクの落花生の五色豆が絶妙です。疲れた体に甘さが染みわたりました。そしてテラスでいただいていると鳥がすぐ近くまで来ます。自然に癒やされる…。

参拝の帰りに、ぜひ立ち寄ってみてはいかがでしょうか。


抹茶ソフト(850円)

日常を離れ、こんぴらさんで心と健康を整える

今回行ったのは御本宮まで。そこからさらに583段(合計1368段)上ると奥社があります。奥社では、天狗御守のように奥社でしか手に入らない授与品もあり、こちらもいつかは参拝してみたいです。そのためには石段を上れるよう健康でいなくては、と自分の健康と向き合う機会にもなりました。


振り返ると一気に視界が開ける

行きでは必死だったので、帰り道で眺望の良さに気づくことができました!

こんぴらさんの静謐な境内で御祭神とのご縁に感謝し、手を合わせたひとときは、日常の喧騒を忘れさせてくれる特別な時間でした。次回はまた新たな願いを胸に、こんぴらさんを訪れたいと思います。


石段を上った先にある、幸せ

人々から親しみをこめて“こんぴらさん”と呼ばれている金刀比羅宮。
古くから農業・殖産・医薬・海上守護の神として信仰を集めているほか、縁結びなどさまざま御利益が。

参道口から続く長い石段は、御本宮まで785段、奥社までは1368段にも及びます。
数字だけ聞くと躊躇してしまうかもしれませんが、道中には荘厳な社やかわいらしい「こんぴら狗」など、見どころはたくさんあります。景色と一緒に楽しみながら、一歩一歩上ってみましょう。

石段を上りきった先には、達成感と瀬戸内海を望む絶景が広がります。がんばった自分に、ご褒美スイーツの抹茶ソフトもおすすめです!


基本情報

名称 金刀比羅宮
所在地 香川県仲多度郡琴平町892-1
問い合わせ先 0877-75-2121
URL https://www.konpira.or.jp/

著者紹介

井口エリ

神社や街歩きが好きなフリーライター。
旅先ではひたすら車窓の景色を見るタイプで、電車から見えるなかなか行けなそうな場所の神社に思いを馳せるのが好き。御朱印をきっかけに神社に興味を持ち、非常勤巫女も経験。中立的な立場からの「プロ参拝者」目線を活かして「神社アドバイザー」として御朱印や授与品の開発に従事している。

X:https://twitter.com/chip_potekko

  • 取材・撮影・文=井口エリ
  • 掲載されているデータは2024年12月現在のものです。変更となる場合がありますので、お出かけの際には事前にご確認ください。
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