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2020.04.10旅行兵庫・播但線 途中下車の旅

播但線に乗って姫路から和田山までを北上する旅

播但線は兵庫県姫路市の姫路駅から朝来市の和田山駅まで、路線距離65.7キロメートルを18駅で結ぶ。山陽本線と山陰本線をほぼ南北一直線で繋ぎ、のどかな山間の風景が広がる。播但線沿線には姫路城や生野銀山、竹田城跡など、戦国ロマンを感じる観光スポットが多い。姫路駅周辺を散策した後は、播但線に乗車し和田山方面へ向かい、生野駅と竹田駅で途中下車して、周辺の見ごたえのある観光スポットをめぐろう!

姫路駅周辺の観光スポットをめぐる

播但線の始発駅となる姫路駅


姫路駅

姫路駅は在来線3線と山陽新幹線が乗り入れる兵庫県最大級のターミナル駅。全国的にも鉄道開通初期頃の1888(明治21)年に設置された。翌年には折り詰めに入った本格的な駅弁を最初に販売したともいわれる。1894(明治27)年からは、生野銀山の銀の運搬を担う役割もあった現在の播但線が乗り入れるようになった。姫路駅中央コンコース西側には姫路市観光案内所があり、観光パンフレット等を入手できる。播但線に乗車する前に、まずは姫路駅周辺の姫路城と初代姫路藩主の屋敷跡を整備した庭園を見て回ろう。

姫路駅周辺の見どころ


姫路城

姫路駅周辺の見どころで外せないのが姫路城。平成の修理によって生まれ変わり、陽光に照らされて白く輝く姿は別名の白鷺城にふさわしい。姫路城に隣接する好古園は、播磨国・姫路藩の藩主・本多忠政の西御屋敷跡に整備された美しい日本庭園。姫路城西の丸一帯の原始林を借景にし、歴史と自然が融合した美しい風景を満喫できる。

姫路城

白鷺が羽を広げたような白亜に輝く優美な城は日本初の世界遺産


姫路城

1600(慶長5)年、関ヶ原の戦の功績により城主になった池田輝政が翌年から大改修を行い、9年後に完成。1617(元和3)年頃には現在の全容が整ったといわれる。2009年に平成の修理によって、白亜に輝く城に生まれ変わった。天守は現存している12天守のなかでも最も大きなもので、日本100名城や国宝に指定され、さらには、法隆寺とともに日本初の世界遺産にも登録されている。


姫路城

城内で最も大きな門で、櫓(やぐら)門ともよばれる菱の門。冠木に木彫りの花菱が飾られていることから名が付いた。安土桃山時代の様式が門全体に残っている。


姫路城

2階廊下にある武具掛け。火縄銃や槍がかけられているので、往時の様子を垣間見ることができる。


姫路城

住所 兵庫県姫路市本町68
問い合わせ先 079-285-1146
時間 9時~17時(閉門は16時)
定休日 12月29日・30日
交通アクセス JR姫路駅から徒歩約20分
値段 入城1000円(好古園との共通券は1050円)
URL https://www.city.himeji.lg.jp/castle/index.html

好古園

江戸時代の武家屋敷跡や通路跡などを活かした池泉回遊式庭園


好古園

市制百周年を記念して1992年に造営された日本庭園。7回の発掘調査によって、1618(元和4)年に本多忠政が造営した西御屋敷や武家屋敷などの遺構を発見。屋敷割や通路を活かし大小9つの庭園や広場などで構成している。それぞれ趣の異なる庭園では、桜や新緑、紅葉、雪景色と、四季折々の豊かな自然美を堪能することができる。裏千家前家元の設計・監修による数寄屋建築の茶室「双樹庵」では、抹茶と季節の菓子(500円)をいただける。


好古園

潮音斎の観庭台からは姫山原始林を借景に雄滝と大池を臨む美しい風景を満喫できる。


好古園

園内にある「レストラン活水軒」では、庭を眺めながら食事が楽しめる。播磨名物のそばやアナゴなどが食べられる姫御膳2620円。


好古園

住所 兵庫県姫路市本町68
問い合わせ先 079-289-4120
時間 9時~17時(入園は16時30分まで)
定休日 12月29日、30日
交通アクセス JR姫路駅から徒歩約20分
値段 入園310円(姫路城との共通券は1050円)
URL http://www.himeji-machishin.jp/ryokka/kokoen/index.php

姫路駅から播但線に乗車し、生野駅を目指そう!

播但線のおすすめ車窓ポイントは長谷駅から生野駅間


長谷駅~生野駅間

長谷駅~生野駅間では、深い渓谷に包まれるような感覚で車窓を眺めることができる。特に市川に架かる真っ赤な橋梁を渡る光景は思わず心が奪われる。播但線の中でも絶好の撮影スポットとしても知られていて、長谷駅から比較的近い第2市川橋梁がベストポイント。山並みを背景に真っ赤な橋梁を渡る電車の正面から側面まで撮影することができるとあって好評だ。

途中下車駅その1 生野駅に到着

日本有数の銀山だった生野銀山を目指す


生野銀山

生野駅はかつては生野銀山で産出した銀や鉱物を馬車で運んでいたが、1895(明治28)年に播但鉄道の終点駅として開業し、運搬の役割を担った。生野駅近郊の観光名所といえばやはり生野銀山。本格的に採掘が始まった戦国時代には、織田信長や豊臣秀吉など、そうそうたる顔ぶれが直轄地にしている。食事は昭和レトロを感じるご当地グルメの生野ハヤシライスを。

生野銀山

織田・豊臣・徳川など、時の権力者の財政を支えた銀山跡の坑内をめぐる


生野銀山

807(大同2)年に銀が出たと伝えられ、1542(天文11)年には本格的な銀の開坑が行われたという。その後は織田信長や豊臣秀吉の直轄地になり、江戸時代には徳川幕府を支えた鉱山のひとつになった。明治時代には日本初の官営鉱山となり、1973(昭和48)年まで採掘。坑道は総延長350キロメートル以上、深さ約880メートルまでに達していた。現在では坑道内の約1キロメートルを約40分かけて見学できる。江戸時代や近代までの作業の様子を人形や模型などで再現している。


生野銀山

坑内では、近代の採掘の様子を電気仕掛けの人形で再現。岩肌にはノミの跡や鉱脈も見られる。日本遺産「播但貫く、銀の馬車道 鉱石の道」にも認定されている。


生野銀山

「GINZAN BOYZ」は、生野銀山のマネキンアイドル。世界一(?)深い地下で活躍するアイドルで、メジャーデビューもしている。


生野銀山

住所 兵庫県朝来市生野町小野33-5
問い合わせ先 079-679-2010
時間 4月~10月は9時10分~17時20分、11月は9時10分~16時50分、12月~2月は9時40分~16時20分、3月は9時40分~16時50分
定休日 無休 12月~2月の3ヶ月間のみ毎週火曜日 (火曜日が祝日の場合は翌日)
交通アクセス JR生野駅から神姫バス「喜楽苑」行き約6分、生野銀山口下車徒歩約10分
値段 大人1000円
URL http://www.ikuno-ginzan.co.jp/

レストランマロニエ

昭和の高度成長期に食べられた家庭の味をアレンジした「生野ハヤシライス」が名物


レストランマロニエ

生野銀山の美しい山々と清流を借景にしたレストランで、欧風ムードが漂う白い瀟洒な建物が印象的。生野銀山入口のレストハウス2階にある。豊かな自然を見ながらゆっくりと食事を取れる。


レストランマロニエ

名物は生野ハヤシライス。これはまだ洋食が珍しかった昭和の高度成長期に都会から生野銀山社宅に移り住んだ家庭で食べられていた味を再現。この店の「生野ハヤシライス」(1080円)は、トロトロになるまで野菜を煮込み、玉ネギの甘みが特徴的。「生野ハヤシオムライス」(1280円)などのメニューもある。


レストランマロニエ

ご当地グルメである「生野ハヤシライス」の名店で、料理を目当てに訪れる人も多いという。


レストランマロニエ

住所 兵庫県朝来市生野町小野33-5
問い合わせ先 079-679-4490
時間 11時~14時30分LO
定休日 毎週月・火曜日(8月を除く),、 毎週火曜日(8月のみ)
交通アクセス JR生野駅から神姫バス「喜楽苑」行き約6分、生野銀山口下車徒歩約10分
URL http://www.ikuno-ginzan.co.jp/omiyage/omiyage02.html

生野駅からさらに北上し、竹田駅へ

市川沿いを生野駅から約20分乗車すれば、竹田駅に到着する。但馬地方の玄関口・生野駅は銀山の町、竹田駅は竹田城のお膝もとの城下町の風情がある。

途中下車駅その2 竹田駅周辺の観光スポットをめぐる

「天空の城」と竹田城ゆかりの古寺をめぐる


竹田城跡

1906(明治39)年に旧山陽鉄道に開業。重厚な造りの木造瓦葺きの駅舎は開業当時から現在まで使われている。ハイキング姿の人が多く見受けられ、竹田城跡を目指す人が多い。竹田城に入るにはいくつかのルートが設けられていて、駅近くからは最短経路の駅裏登山道が整備されている。竹田城跡の眺めを楽しんだ後は、竹田寺町通りへ。竹田城とゆかりのある4つの寺が並ぶ通りは歴史散策にピッタリだ。

竹田城跡

霧に包まれる天空の城に登城すれば、眼下に田園や城下町が広がる


竹田城跡

標高353.7メートルの古城山山頂に築かれた山城跡。天守台や本丸を中心に三方に向けて放射状に曲輪が配置されていた。秋のよく晴れた日の朝に濃い霧が発生することが多く、その姿は「天空の城」「日本のマチュピチュ」とも呼ばれる。完存する石垣遺構としては全国屈指の規模を誇る石垣は、赤松広秀(斎村政広)が文禄・慶長年間(1592~1615年)年頃に知行していた際に改修したとされる。竹田城跡からの眺めもいいが、向かいの立雲峡から竹田城跡を望むのもいい。


竹田城跡

本丸にある天守台近くから南千畳を望む。大小の石が美しく積み上げられた石垣は圧巻だ。


竹田城跡

日本100名城に選ばれている竹田城跡や、竹田寺町通りをガイドが案内してくれる。竹田城のことが詳しく分かり、普段では見逃してしまうような見どころなどを紹介。ガイド料金は2000~3000円。情報館天空の城まで要予約。


竹田城跡

住所 兵庫県朝来市和田山町竹田字古城山169番地
問い合わせ先 079-674-2120(情報館 天空の城)
時間 8時~18時(3月1日~5月31日)、6時~18時(6月1日~8月31日)、4時~17時(9月1日~11月30日)、10時~14時(12月1日~1月3日)
定休日 1月4日~2月末は冬季閉山につき入城できません
交通アクセス JR竹田駅から徒歩約40分
URL https://www.city.asago.hyogo.jp/site/takeda/

竹田寺町通り

かつては武家屋敷だった4つの寺が建ち並ぶ散策に最適な通り


竹田寺町通り

竹田城跡がある古城山の麓で竹田駅の近くにある。赤松広秀(斎村政広)の菩提寺・法樹寺や竹田城初代城主太田垣光景の菩提寺・常光寺など、竹田城城主と繋がりが深い4つの寺と表米神社が並ぶ約600メートルの区間は歴史散策路としても親しまれている。白壁の塀と錦鯉が泳ぐ小川、松並木など、風情ある町並みをのんびりと楽しめる。


竹田寺町通り

瓦が乗った築地塀が美しい善證寺。14世紀に創建され、江戸時代の寛永年間(1624~1643)に現在地に移転したと伝えられる。元は赤松家の家臣であった平位氏が竹田城滅亡後、城の建築物や自邸を寄贈したという。


竹田寺町通り

格技(格闘技)を好んだ表米宿弥命(ひょうまいすくねのみこと)が祭神。山道横の広場には全国でも珍しい半円形石積段型の桟敷が設けられている。県指定の文化財となっている。


竹田寺町通り

住所 兵庫県朝来市和田山町竹田
問い合わせ先 079-672-4003(朝来市観光交流課)
時間 散策自由
交通アクセス JR竹田駅から徒歩約5分
URL https://www.asabura.jp/sspot/677

竹田駅から終点駅の和田山駅を目指そう!

播但線の終点駅和田山駅


播但線和田山駅

和田山駅は1906(明治39)年に旧山陽鉄道の新井駅から延伸して終点駅として開業し、山陰本線と乗り継ぐ。寺前駅から和田山駅までは現在も非電化のディーゼル運行をしている。ホームからは旧和田山機関庫煉瓦倉庫が見られる。
時間に余裕があれば、和田山駅から山陰本線に乗車し、豊岡方面へ行くのもよいだろう。

以上で姫路駅から和田山駅までの兵庫・播但線の旅が終了。

地図

  • 写真協力:姫路観光コンベンションビューロー、好古園、シルバー生野、レストランマロニエ、朝来市観光交流課
  • 文:速志淳(株式会社アド・グリーン)
  • 本記事は2011年1月に公開いたしましたが、2022年12月22日にトレたび編集部により情報を更新いたしました。変更となる場合がありますので、お出かけの際には事前にご確認ください。
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