むすび鉄 ~鉄道で巡る縁結び&縁切り神社
“良縁”というと恋愛のイメージが強いですが、仕事や人との縁、時間の縁なども立派なご縁。
鉄道に乗って、人と人、人と物との良いご縁を結ぶ「むすび鉄」の旅に出てみませんか?
元非常勤巫女で、神社アドバイザーとしても活躍するライター 井口エリさんがちょっとディープな“縁結び&縁切り”にまつわる神社をご紹介します。
松江の「八重垣神社」は、素盞嗚尊(スサノオノミコト)と稲田姫命(イナタヒメノミコト)を御本殿にてお祀りする、縁結びの神様として知られる古社。出雲風土記にも記される、由緒正しき神社です。境内の鏡の池では、紙を浮かべて縁を占う「縁占い」を楽しむことができ、全国から訪れる参拝者に人気。素敵なご縁を求める旅におすすめです。
2024年に新型車両が登場した特急「やくも」で松江へ!
今回、八重垣神社が鎮座する松江へは、岡山から2024年春に新型車両が登場した特急「やくも」で向かいました。宍道湖に映えそうなやくもブロンズが美しい…!
岡山~出雲市駅間をつなぐ特急「やくも」
特急「やくも」の乗車時間は岡山~松江駅間で約2時間40分。席はふかふかで、麻の葉柄がおしゃれです。この列車には、フリースペースがあります。
どんなスペースかというと、乗車している人であれば誰でも使用することができ、簡易的な椅子があって、景色を眺めながら備え付けの書籍を楽しむことができます。乗車時間が長いので、こうして気分を変えることができるのも良いですね!
麻の葉柄がおしゃれな座席
フリースペースには写真集も置かれている
松江駅
フリースペースで伯備線の写真集などを楽しみ、気づけば松江駅に到着。こちらから八重垣神社へ行くには、バスを利用します。八重垣神社まで行くバスは1日の本数が限られているので、事前に調べておくことをおすすめします。
特急「やくも」についてもっとくわしく
出雲神話の世界へいざなう、八重垣神社
松江駅からバスで約20分、八重垣神社に到着しました。
八重垣神社
拝殿
八重垣神社は素盞嗚尊(スサノオノミコト)と稲田姫命(イナタヒメノミコト)の夫婦の神様をお祀りする、縁結びの御利益で知られる歴史ある神社です。その他、大己貴命(オオナムチノミコト)も祀られています。
素盞嗚尊といえば、出雲神話の「ヤマタノオロチ退治」で有名。オロチを討った後、稲田姫命と新婚生活を過ごされた地が、現在の八重垣神社と伝えられ、現在も結びの神として多くの参拝者が訪れます。
「八雲立つ 出雲八重垣 妻込めに 八重垣造る その八重垣を」という素盞嗚尊が詠まれた和歌にちなみ、明治11年(1878年)に八重垣神社に改称されました。
書物の中で、素盞嗚尊と稲田姫命は許しを得てはじめて結婚をした「夫婦」です。八重垣神社では、結婚式を挙げることもできます!
素盞嗚尊の和歌が刻まれた石碑
境内にある古代結婚式発祥の地の看板
八重垣神社で心を結ぶ授与品を手に
そんな八重垣神社には、縁結びの御利益のさまざまな授与品があります。
こちらすべて縁結びの授与品
こちらの縁結びのお守りは、すべて同じように良縁祈願の御祈祷をしたもの。ピンときた、自分好みのものを授与してもらいましょう。
いろいろな授与品がある中で、個人的に気になったお守りがこちら。椿がモチーフのお守りです。「出雲の國の花」とうたわれた稲田姫命にあやかったお守りは、美容調整のご祈願がされています。
八重垣神社の御神木は椿です。境内には椿が植えられており、美しい姿が訪れる人々を迎えてくれます。
二葉椿 美のお守り(初穂料:800円)※白もあり
連理玉椿
八重垣神社の向かいには、連理玉椿(夫婦椿)があります。稲田姫命が立てた2本の椿が地上で一体となった、夫婦の契りの象徴として神聖視されている椿です。
鏡の池でさまざまな縁を占う!
八重垣神社境内奥地にある佐久佐女(さくさめ)の森の鏡の池では、池に占い用紙を浮かべて縁占いができます。
奥の森はまさに聖域といった、神秘的な雰囲気! 鏡の池は、稲田姫命がヤマタノオロチの難から逃れるため八重垣に隠れられた際に飲料水とし、また御姿を写すのに使ったといういわれのある池です。
鏡の池(姿見の池)
占い用紙に硬貨をのせてお祈り!
社務所で授与している占い用紙を池に浮かべると、占い結果が浮かび上がります。「縁」というと恋愛のイメージが強いですが、仕事や人との縁、時間の縁なども含みます。果たして結果は…!?
占い用紙を浮かべて100円か10円硬貨をのせてお祈りし、用紙が15分以内に沈むと良縁が早く訪れ、遅く沈む(30分以上)と縁が遠いといわれ、近くで沈むと身近な人と、遠くで沈むと遠方の人と結ばれるといわれています。100円のせてお祈りをし、15分程度で沈みました。新たな縁に期待します!
天鏡神社
鏡の池のほとりには、稲田姫命をお祀りする天鏡神社が鎮座しています。
鏡の池を訪れる際には、ぜひ良縁祈願で天鏡神社にもお参りしてみてください。静かな佇まいの神社で、心が清められるような時間を過ごせることでしょう。
水の都「松江」への旅路を振り返って
八重垣神社のある松江。「水の都」と称される松江は、その名のとおり、宍道湖や中海に囲まれた美しい風景と、江戸時代を思わせる趣深い街並みが魅力的な場所です。また、出雲大社へも松江から約1時間半とアクセスが良く、神話の地巡りを楽しむ拠点としても最適です。
松江城の堀を小船でめぐることもできる
今回の旅では、松江を中心に訪れましたが、見どころがあり過ぎて全然時間が足りませんでした…! またゆっくり松江を散策してみたいです。
次回は、さらにゆっくりと時間をかけて魅力を堪能したいと思っています。皆さんも特急「やくも」に乗って、神話と伝統が織りなす松江を訪れてみませんか。
ドラマチックな夫婦の物語
八重垣神社は素盞嗚尊と稲田姫命の夫婦の神様をお祀りする、縁結びの御利益で知られる歴史ある神社です。
素盞嗚尊といえば、出雲神話の「ヤマタノオロチ退治」で知られています。退治した後に、稲田姫命との結婚の喜びの想いを和歌に込めるなんて素敵!
境内の鏡の池では、紙を浮かべて縁を占う「縁占い」を楽しむことができます。
恋愛、結婚などの縁に限らず、いろいろな縁や願い事の占いもできるそうです。占い用紙の行方にドキドキ……!
占い結果から、思いがけないご縁に気付けるかもしれませんよ。
神話の世界の仲睦まじい夫婦にあやかって、良縁を引き寄せましょう。
基本情報
名称 | 八重垣神社 |
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所在地 | 島根県松江市佐草町227 |
問い合わせ先 | 0852-21-1148 |
URL | https://yaegakijinja.or.jp/ |
著者紹介
- ※取材・撮影・文=井口エリ
- ※掲載されているデータは2025年1月現在のものです。変更となる場合がありますので、お出かけの際には事前にご確認ください。