トレたび JRグループ協力

2026.01.26旅行“街を楽しむほどに心身が気持ちよくなる” 三朝温泉

ととのえる温泉 ~吸って、飲んで、入浴+α体験で健康に~

鳥取県三朝町

川沿いの小路を歩き、湯船に浸かり、湯気を胸一杯に吸い込んで、温泉をそっと飲む。ラドン泉の力と、人の温かさ、新店の活気が重なり、旅の時間がまるごと癒やし。
滞在しているだけで元気になれる、唯一無二の湯治の地、三朝(みささ)温泉へ。

三朝温泉

三徳川(みとくがわ)のせせらぎをたよりに山あいへ進むと、ふっと空気が変わる瞬間がある。深呼吸をすると体の奥がじんわりほどけていくような、そんな気配。

ここは鳥取県中部の三朝温泉。
平安時代後期に開湯したとされ「三度朝を迎えれば万病が治る」と伝わり、古くから湯治場として栄えた。

その特徴は、世界有数のラドン含有量を誇るラジウム泉。ラドンとは、地中のラジウムが自然に分解されて生まれる微量な放射性ガス。体に浴びることで細胞が活性化し、血流や新陳代謝が促され、免疫力が高まるとされている。この現象はホルミシス効果と呼ばれ、湯に浸かるだけでなく、飲泉や呼吸することによっても働くらしい。

依山楼(いざんろう)岩崎

百年宿で味わう名湯の恵み

大正9年(1920)創業の老舗宿。
自慢は風情が異なる大小12の湯処がある、回遊式の大庭園露天風呂。古風な佇まいの右の湯、自然の躍動を感じる左の湯からなり、男女時間入れ替え制。
回遊式庭園「依水苑(いすいえん)」では散策も。


2025年7月にリニューアルした「左の湯」には、三徳山投入堂の外観を模した「投入堂洞窟風呂」が誕生。歩行湯や寝湯のある露天風呂「逢水(おうすい)の湯」(写真右)からぐるっと歩いて到着。手すりも刷新され移動も安心


スーツを着た男性 「当館には、浴室前に飲泉もあります!」(販売部 中島知彦さん)

「三朝にいるだけで体によいといわれています」と、依山楼岩崎に勤めて20年の中島知彦さん。

待ちきれず温泉へ。「左の湯」に新設された「投入堂(なげいれどう)洞窟風呂」の造りは、三徳山三沸寺の国宝・投入堂をモチーフにしたもの。そこへ続く通路がなんと足湯。お湯の上をそろり歩いて進むと、まるで参拝道を辿っているような高揚感が。洞窟に入ると、岩肌に湯気が立ち昇り、秘境の祠を訪ねているかのような雰囲気さえ漂う。

本物の投入堂は断崖絶壁に立ち、険しい山道を登らなければ辿り着けない“日本一危険な”国宝。しかしここは温泉、危険とは無縁のゆるやかで温かい参拝だ。


温泉 レトロな雰囲気の右の湯は、創業時から残る庭園を中心に2019年改修


料理 冬会席の一例。鳥取港で水揚げされたカニや旬魚、鳥取和牛、三朝町産の農作物など名物が凝縮

和室 三徳川を望むスタンダード和室

依山楼(いざんろう)岩崎

電話番号 0858-43-0111
料金 1泊2食2万2000円~
日帰り入浴 14:00~21:00(土・日曜・祝日は11:00~15:00)、不定休。1500円
部屋数 79室
泉質 含放射能泉-ナトリウム・塩化物泉
住所 三朝町三朝365-1
アクセス JR山陰本線倉吉駅からバス26分の三朝温泉観光商工センター前下車、徒歩3分

旅館大橋

日本の建築美と自噴泉を堪能

昭和7年(1932)創業。三徳川沿いに延びる木造建築は、国の登録有形文化財に指定。
桜の一枚板の上がり框(かまち)や波ガラスなど、館内の随所で宮大工が工夫を凝らした名建築が楽しめる。

5カ所の自家源泉と三つの自噴泉が湧く名湯も自慢。


温泉 巌窟の湯では、天然岩の間から源泉が自噴。ラジウム泉のほか、希少なトリウム泉も


和室 特別室「梧桐の間」。客室はどの部屋も趣の異なる造り

旅館大橋

電話番号 0858-43-0211
料金 1泊2食2万8600円~
日帰り入浴 16:00~20:30受付、不定休。1500円
部屋数 22室
泉質 含弱放射能泉-ナトリウム・塩化物泉
住所 三朝町三朝302-1
アクセス 三朝温泉観光商工センター前バス停から徒歩5分

天然ラドン熱氣浴泉 すーはー温泉

日帰りで気軽に天然ラドン浴


寝転んでる人 最もラドン濃度が高い、地下高濃度熱気浴室「不老庵(ふろうあん)」


スタッフの市村禎子さん(左)と徳田志奈子さん(右) スタッフの市村禎子さん(左)と徳田志奈子さん(右)

すーはー温泉では、吸う温泉という稀(まれ)な体験をした。

部屋そのものが源泉の蒸気だけで温められ、扉を開けた瞬間にやわらかい湯気が胸に染み込む。温度は38度、湿度は88%。数値だけを見ると蒸し風呂のようだが、強烈さはまったくない。むしろ圧倒的にまろやかで心地がいい。

天然ラドンを吸って吐く熱気浴を体験できる専門施設。 地下には、ラドン濃度が異なる浴室を三つ用意。

11月から4月の冬期は1回40分、料金は各浴室によって異なる。2階には地下からラドン含有の蒸気を上げた「ヴァポリウム」がある。

天然ラドン熱氣浴泉すーはー温泉

電話番号 0858-33-5772
料金 550円~
営業・開館時間 9:30~17:30
定休日 第1火曜
住所 三朝町三朝939-1
アクセス 三朝温泉観光商工センター前バス停から徒歩3分

湯に浸かるだけじゃない 温泉街の楽しみいろいろ

飲泉場や足湯も街のあちこちにある。すくって飲めば、軽い塩気。おいしい。ペットボトルを手に並ぶ人の姿があった。三朝の湯への信頼がいまも続いていることを語っていた。

温泉だけが三朝の魅力ではない。ここ最近、町は静かに変わっている。
久しぶりに歩くと、新しくパン屋さんができていたり、ヨーグルト店にドリンクメニューが増えていたり。 「三朝は食材が素晴らしい」と、誰もが言う。温泉の印象が強いが、実は農産物の質が高い土地だ。


足湯につかる人 むかしの共同浴場は現在足湯に

岩 三朝温泉の起源とされる株湯の飲泉場

en misasa(エン ミササ)

県産素材にこだわる温泉街の新店

2024年12月にオープン。店長の中川有希さんは、結婚を機に関西から鳥取県へ移住。

牛乳は琴浦町の岸田牧場、生クリームやバターは大山(だいせん)乳業の製品を使用するなど、鳥取県産素材を大切にしたパンやスイーツを提供する。


かごに入ったクロワッサン クロワッサン生地を使ったクリーム入りenロール(上)590円、クルンジ420円(右)など


パンの接写 幻といわれる三朝町産の大豆を使った神倉(かんのくら)大豆あんのきな粉ロール200円

黒板を指すエプロン姿の女性 「鳥取の食材はおいしいものだらけです!」(中川有希さん)

en misasa(エン ミササ)

営業時間 10:30~17:00
定休日 水曜(不定休あり)
住所 三朝町三朝911-1
アクセス 三朝温泉観光商工センター前バス停から徒歩1分

三朝ヨーグルト

湯上がりヨーグルトが三朝の新常識


三朝はちみつのヨーグルトパフェ1200円

鳥取県民のソウルドリンク、白バラ牛乳を原料にしたヨーグルト専門店。ヨーグルトのほか、ヨーグルトベースのスイーツやドリンクも多数そろう。三朝はちみつのヨーグルトパフェでは、無添加にこだわった、三朝町の井之上養蜂場はちみつを使用。

三徳川を眺めながら、ゆったりと店内飲食も可。季節限定品も見逃せない。


帽子をかぶって手を上げている男性 「ヨーグルトでお腹の中から健康に!」(店長の成瀬望さん)

桶に入った3つのカップ 湯桶で商品が提供される、ユニークなスタイル。ヨーグルト330円~

三朝ヨーグルト

電話番号 080-6243-4758
営業時間 10:00~17:00(木・金曜は~21:00、土・日曜・祝日は9:30~21:00)
定休日 無休
住所 三朝町三朝901-1
アクセス 三朝温泉観光商工センター前バス停から徒歩2分

三朝バイオリン美術館

温泉地に佇むバイオリンの聖地


併設する鳥取ヴァイオリン製作学校は国内唯一の職人育成校。静かに見学を 併設する鳥取ヴァイオリン製作学校は国内唯一の職人育成校。静かに見学を


バイオリンを弾く女性 館長の岡野志穂さん。弾き方も丁寧に教えてくれる

ふらりと立ち寄った三朝バイオリン美術館では、静かな空間に弦の音色が響き、温泉とは別のととのう時間が流れていた。

国内唯一の弦楽器専門施設。
1階ギャラリーでは弦楽器の製作工程や道具などを展示。2階ホールではプロ演奏家によるコンサートも開く。

バイオリン試奏体験は1人500円、ワンドリンク付き。

併設校では職人を育成する。

三朝バイオリン美術館

電話番号 0858-43-3111
料金 500円
営業時間 10:00~18:00
定休日 火曜
住所 三朝町三朝939-1
アクセス 三朝温泉観光商工センター前バス停から徒歩9分

梶川理髪館

軽妙トーク&散髪で心身ととのう


美容院の店内 貴重なコレクションは約30年かけ集めたもの


エプロン姿の男性 「温泉ですっきり、理容院ですっきり!」(4代目店主の梶川満さん)

梶川理髪館では、店主の軽快なトークにすっかり笑わされる。

理容博物館を兼ねる理髪店。18~20世紀にアメリカで実際に使われていたシェービングマグなどの理容用具を中心に、店主のコレクションがずらり。
ヘッドエステ、美白パック、眉毛カットなど各10分500円。

カットやシェービングはもちろん、気軽なワンコインメニューも用意。

梶川理髪館

電話番号 0858-43-2126
営業時間 9:00~18:00
定休日 月曜と第3火曜
住所 三朝町三朝903-3
アクセス 三朝温泉観光商工センター前バス停から徒歩1分

新たな楽しみ続々温泉街歩き


青いシャツを着た男性 三朝温泉観光協会事務局長のリエヴェン・アントニーさん

三朝の町は、湯のやさしさと同じくらい、人の温かさでできているのだと思う。

観光協会に立ち寄ると、フランス出身のアントニーさんが迎えてくれた。わからないことはなんでも教えてくれる頼もしい存在だ。

地元の人と話すと、旅先の景色がまた一つ色を増す。ここでは、体だけでなく、心まで湯治ができる。


川沿いの夜景 遊歩道から望む旅館大橋、そして山と川が一体となった風景 


射的屋や駄菓子屋が並ぶ レトロな温泉街。ドリン クやパンを手に散策を 射的屋や駄菓子屋が並ぶレトロな温泉街。ドリンクやパンを手に散策を

紹介スポットのマップ

観光のお問い合わせ

三朝温泉観光協会 0858-43-0431

  • 取材・文/大須賀あい
  • 撮影/中野一行
  • 協力/鳥取県
  • 本記事は、月刊誌『旅の手帖』2026年2月号からの転載です

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