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2022.07.15旅行「五能線フリーパス」でリゾートしらかみ大満喫の旅! JR全線完乗した蜂谷あす美が仙台発モデルコースを徹底解説

憧れの「リゾートしらかみ」で沿線を楽しむ

日本海の絶景が延々と続き、「一度は乗ってみたい路線」として抜群の人気を誇る、五能線。青森県の川部駅と秋田県の東能代駅を結ぶ、全長147.2キロの路線です。絶景を余すところなく眺められる大きな窓と、車内イベントが魅力の臨時快速列車「リゾートしらかみ」も通年で運行し、鉄道旅を盛り上げてくれます。

今回は、「五能線フリーパス」を携え、海と山の魅力が詰まった五能線を体全体で感じます。

  • 新型コロナウイルス感染症の影響により、列車の運休や変更、施設の営業変更等が発生することがあります。JRニュースや運行会社、および各施設のHP等をご確認ください。

【五能線フリーパス】五能線の前後も乗り放題! 新幹線を降りたら即使用開始!

五能線フリーパスは、五能線および奥羽本線(秋田駅~東能代駅、弘前駅~青森駅)の快速を含む普通列車の普通車自由席が2日間乗り放題になるフリータイプのきっぷです。五能線だけでなく、秋田駅~東能代駅、新青森駅~弘前駅と秋田駅、東北新幹線から五能線にアクセスするまでの区間も乗り放題エリアに含まれているため、新幹線を降りて乗り継ぐ列車からすぐ使えるのは嬉しいポイントです。

また、特急券を購入すれば特急列車にも乗車できることから、たとえば新青森駅~弘前駅を「特急つがるでワープする」など効率的な移動も叶います。

このきっぷの最大の魅力である「乗り放題」を活用して、一部区間は「行ったり来たり」を駆使、テンポよく観光スポットを回れるような行程にしてみました!


五能線フリーパス

五能線全線、奥羽本線秋田駅~東能代駅、弘前駅~青森駅の普通列車(快速を含む)の普通車自由席が2日間乗り放題になるフリータイプのきっぷです。特急券や指定席券などを購入すれば特急列車、「リゾートしらかみ」などにも乗車可能です(新青森駅~青森駅間のみを移動する場合は、特急料金など不要)。

料金:
大人3,880円、子ども1,940円

販売期間:
通年
利用開始日の1か月前から当日まで、対象のうりばで購入できます。

有効期間:
2日間

うりば:
フリーエリア内および秋田エリア内のみどりの窓口、指定席券売機設置駅、駅たびコンシェルジュ、主な旅行会社


「五能線フリーパス」の詳細はこちら(JR東日本HP)

<1日目>奥津軽から始まる五能線の旅、プチ観光付きの「リゾートしらかみ」に乗車


1日目
06:40発

仙台駅 東北・北海道新幹線 「はやぶさ95号」新函館北斗行(別料金)

09:02着

新青森駅 乗り換え(五能線フリーパス購入)

09:11発

新青森駅 奥羽本線 特急「つがる2号」秋田行(特急券別料金)

09:38着

弘前駅 乗り換え

10:23発

弘前駅 五能線 深浦行

11:05着

五所川原駅 乗り換え

11:50発

津軽五所川原駅 津軽鉄道 津軽中里行(別料金)

  • ポイント① 「津軽鉄道」で奥津軽の鉄道旅を満喫
12:16着

金木駅

  • ポイント② 津軽の文豪、太宰治の生家を見学
13:56発

金木駅 津軽鉄道 津軽五所川原行(別料金)

14:22着

津軽五所川原駅 乗り換え

15:10発

五所川原駅 五能線 快速「リゾートしらかみ4号」秋田行(指定席別料金)

  • ポイント③ プチ観光付き! 観光列車「リゾートしらかみ」
16:38着

深浦駅

  • 乗車日によっては発着時刻が異なる場合があります。事前にご確認の上、お出かけください。

ポイント① 奥津軽の風景を満喫「津軽鉄道」


津軽鉄道は、五能線との接続駅である津軽五所川原駅から津軽中里駅までの20.7キロを結ぶ日本最北の私鉄で、1930(昭和5)年に開業しました。

津軽といえば文豪、太宰治のふるさととして知られ、小説『津軽』には津軽鉄道に乗車した様子も描かれています。文学好きの方にとっては「聖地」ともいえる存在です。

車窓には、津軽平野、それに岩木山と奥津軽の風景が広がり、旅情も高まります。また、津軽鉄道といえば、冬にはだるまストーブの設置された客車「ストーブ列車」が走ることで有名ですが、夏には「風鈴列車」が運行し、涼しげな音色が季節を彩ります。

3日前までの予約で駅弁が購入できるサービスも提供しており、6月から8月にかけては太宰治が好んだ食材の詰まった「だざい弁当」(1,150円)が味わえます。五所川原で少し早めのお昼をいただける行程なので、この駅弁を堪能するのもおススメです! (注文は2個以上から。受け取りは11時~14時の間)


津軽鉄道

運行区間:津軽五所川原駅~津軽中里駅

ポイント② 太宰治記念館「斜陽館」


津軽鉄道で文学の旅に足を踏み入れたのち、訪れてもらいたいのが太宰の生家、太宰治記念館「斜陽館」です。

1907(明治40)年に太宰治の父である津島源右衛門が建てた大豪邸で、母屋だけでなく米蔵にまで青森産のヒバが使用されています。明治期の貴重な木造建築として、2004年には国の重要文化財に指定されました。

また、蔵を利用した資料展示室には、マントや執筆用具、初版本など太宰治にまつわる貴重な資料が展示されています。太宰作品をあらかじめ読んでから訪問すると、より理解が深まるかもしれません。


太宰治記念館「斜陽館」

住所 青森県五所川原市金木町朝日山412-1
問い合わせ先 0173-53-2020
時間 9:00~17:00(最終入館は16:30まで)
定休日 12月29日
交通アクセス 津軽鉄道金木駅から徒歩7分
値段 一般 600円、高・大学生 400円、小・中学生 250円
URL http://www.kanagi-gc.net/dazai/index.html

ポイント③ 「リゾートしらかみ」…五能線の代名詞ともいえる列車


リゾートしらかみ」は1997年にデビューした臨時快速列車で「観光列車」の草分けともいえる存在です。度々メディアでも取り上げられるため、名前を聞いたことのある人も多いのではないでしょうか。

車両は「橅(ぶな)」「青池」「くまげら」の3編成があり、このうち最も新しいのが2016年に運行を開始した2代目の「橅」編成です。木立をイメージした外観に、秋田産の杉や青森ヒバをふんだんに使った内装と、沿線の自然を目いっぱい感じられる工夫がこらされています。ゆったりとした座席配置の二人席に加えて、個室感覚で利用できるボックス席があり、利用シーンに合わせて座席が選べるのも嬉しいポイントです。

車内の売店「ORAHO」カウンターでは、白神山地の自然水で淹れたコーヒーやスイーツなどがいただけるほか、地元の方が特産品を車内販売する「ふれあい販売」、津軽弁語り部の実演、津軽三味線演奏とお楽しみも盛りだくさん!


千畳敷海岸の岩畳

全3往復のうち2往復は、海岸線に岩棚が広大に続く千畳敷駅で15分停車することから、プチ観光にも繰り出せます。発車3分前には汽笛で合図を鳴らしてくれるので、乗り遅れの心配もありません。

ちなみに、列車種別が「快速」であるため、別途530円の指定席券(時期によっては330円)を追加するだけで乗れます! このお手軽さも魅力の一つといえます。


リゾートしらかみ

運行区間:秋田駅~青森駅


リゾートしらかみについてくわしくはこちら(THE 列車)

<2日目>海あり、山あり、温泉あり! 自然の織りなす荘厳かつ神秘的な美しさを楽しむ


2日目
10:59発

深浦駅 五能線 快速「リゾートしらかみ2号」秋田行(指定席別料金)

11:13着

ウェスパ椿山駅

  • ポイント④ 絶景日本海が露天風呂から楽しめる「黄金崎不老ふ死(こがねざきふろうふし)温泉」
14:53発

艫作(へなし)駅 五能線 東能代行

15:09着

十二湖駅 乗り換え

15:20発

十二湖駅前 弘南バス 十二湖線(別料金)

15:35着

奥十二湖駐車場(青池)

  • ポイント⑤ 神秘的な色に魅了される! 十二湖の「青池」
16:30発

奥十二湖駐車場(青池) 弘南バス 十二湖線(別料金)

16:45着

十二湖駅前 乗り換え

17:05発

十二湖駅 五能線 快速「リゾートしらかみ4号」秋田行(指定席別料金)

19:01着

秋田駅 乗り換え

19:10発

秋田駅 秋田新幹線 「こまち48号」東京行(別料金)

21:30着

仙台駅

  • 乗車日によっては発着時刻が異なる場合があります。事前にご確認の上、お出かけください。

ポイント④ 絶景の日本海が眼前に迫る露天風呂「黄金崎不老ふ死温泉」


「ここで養生すれば、老いたり弱ったりしない」といういわれに由来する黄金崎不老ふ死温泉は、五能線沿線でも超有名な温泉旅館です。今回は、日帰り入浴を楽しみます。温泉は、本館内風呂(黄金の湯)、不老ふ死の湯(新館内風呂)、海辺の露天風呂の3つがあり、鉄分豊富な茶褐色の湯が、体を芯から温めてくれます。

特に有名なのが波打ち際に設けられた「海辺の露天風呂」です。眼前には日本海が迫り、体全体で海を感じられます。

温泉の位置する深浦町は、マグロ水揚げ量で青森県1位を誇り、「深浦マグロステーキ丼」がご当地グルメとして知られています。通称「マグステ丼」は町内6カ所のレストラン、食堂で提供されていますが、このうち1カ所が黄金崎不老ふ死温泉です。ぜひ、湯上がりには、こだわりのマグロ料理を楽しんでください。

また、アクセスとしては最寄り駅である艫作駅からの徒歩のほか、「リゾートしらかみ」停車駅であるウェスパ椿山駅まで送迎バスも運行しています。


黄金崎不老ふ死温泉

住所 青森県西津軽郡深浦町大字舮作字下清滝15
問い合わせ先 0173-74-3500
時間 本館内風呂(黄金の湯)8:00~20:00(受付19:30まで)、不老ふ死の湯(新館内風呂)10:30~14:00(受付13:30まで)、海辺の露天風呂8:00~16:00 (受付15:30まで)  ※冬の期間には利用時間が変更することがあります。
交通アクセス JR艫作駅から徒歩15分、またはJRウェスパ椿山駅から送迎バス(普通列車利用時は要予約)
値段 大人 600円、子ども 300円
URL https://www.furofushi.com/

ポイント⑤ 「青池」で自然の神秘に衝撃を受ける


五能線沿線の観光で欠かせないのが「白神山地」です。このうち西部に位置する「十二湖」は十二湖駅から散策拠点まで路線バスが運行されており、ハイキングや登山に親しみのない方にもおススメ! 周囲にはブナ自然林も広がり、さわやかな森林浴が楽しめます。

宝永元(1704)年に発生した大地震の山崩れによって形成された湖(実際には33の湖沼が存在)に由来する十二湖でも、特に人気が高いのは「青池」です。名前のとおり青いインクを流し込んだような神秘的な美しさを誇ります。また、陽光や見る角度よって色合いが変化するため、季節を変えて何度でも訪れたくなります。


十二湖「青池」

住所 青森県西津軽郡深浦町松神国有林
問い合わせ先 0173-74-4412(深浦町観光課)
交通アクセス JR十二湖駅からバス15分
URL http://fukadoko.jp/spot-4-13/index.html

運賃・料金参考(JR利用)

合計4,620円
 新青森駅~五所川原駅(990円)、五所川原駅~深浦駅(1,170円)、深浦駅~ウェスパ椿山駅(240円)、艫作駅~十二湖駅(240円)、十二湖駅~秋田駅(1,980円)

五能線フリーパスなら、740円もおトク!

  • 運賃・料金は1人分です。
  • 列車の通常料金はきっぷの運賃です。交通系ICカードを使用した場合は運賃が異なります。
  • 今回のモデルルートで利用する路線の一例です。他の路線等を利用した場合や、乗り方によっては料金が異なります。

「五能線フリーパス」の詳細はこちら(JR東日本)

五能線ならではの鉄道旅行体験、列車旅の面白さとは?

全長147.2キロの五能線は、名峰・岩木山に、白神山地、それに延々と続く日本海と、とにかく東北の大自然の魅力がてんこ盛りの路線です。このうち日本海についてはリゾートしらかみが15分停車する千畳敷海岸のほかにも、やわらかな弧を描く津軽西海岸、大間越海岸など、荒々しい絶景ポイントが溢れています。

また、今回は快速列車「リゾートしらかみ」をメインにした旅となりましたが、時間があるときは各駅停車で全43駅の表情をじっくりと堪能してもらいたいところ。

日本海を背にして佇む木造駅舎の驫木(とどろき)駅や、ホームから開けた日本海が望める横磯駅、それに白神山地と海が一緒に楽しめる八森駅など、旅情たっぷりの無人駅が並びます。ちなみに、バスケットボールの名門、能代工業高校に近い能代駅はホームにバスケットゴールが設置されています。一風変わった駅として、併せておススメです。


著者紹介

蜂谷あす美

旅の文筆家。福井県福井市出身。慶應義塾大学卒業後、出版社勤務を経て、現在に至る。「旅は再訪のための下見」をモットーに、2015年1月にJR全線完乗。鉄道と旅を中心としたエッセイや紀行文などを数多く執筆しているほか、ご当地牛乳にほれ込み牛乳の連載も経験あり。最近はラジオをはじめ、トークでも活躍。著書『女性のための鉄道旅行入門』『もっとお得にきっぷを買うアドバイス50』(ともに天夢人)

オフィシャルHP
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  • 写真協力:津軽鉄道株式会社、太宰治記念館「斜陽館」、株式会社黄金崎不老不死温泉、深浦町役場観光課
  • 文:蜂谷あす美
  • 掲載されているデータは2022年7月現在のものです。変更となる場合がありますので、お出かけの際には事前にご確認ください。
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