“麒麟 (きりん)”を求めて敦賀(つるが)・若狭(わかさ)へ! 明智光秀の軌跡を辿る
京の都に近い福井県(越前・若狭)は、歴史をひもとくと、時代ごとの重要な局面にしばしば登場する。
戦国時代、明智光秀も深く関わっていたという越前攻めもその一つ。そんな光秀の足跡が残る敦賀・若狭を訪ねてみた。
- ※提供:福井県
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明智光秀は、この地で麒麟に会えたのだろうか?
永禄13年(1570)4月、木下藤吉郎(豊臣秀吉)らを従え、同行した徳川家康とともに越前(えちぜん)攻めに向かった織田信長は、近江(おうみ) 国(滋賀県)から若狭国の熊川(くまがわ)に入る。その先遣隊として、熊川に先回りしていたのが明智光秀で、将軍側近で盟友の細川藤孝らに宛てた書状が残っている。
越前との国境に近い国吉城に入った信長らは、ここに2泊したあとに越前国敦賀へ進軍。朝倉氏の金ヶ崎城を降伏開城させたが、浅井長政の裏切りにあい、撤退を余儀なくされる。これが『太閤記(たいこうき) 』などで知られる「金ヶ崎の退き口」で、殿(しんがり)として秀吉が活躍したというエピソードが有名である。
「あくまでも秀吉の手柄話として『太閤記』に描かれていますが、本当は一局地戦にすぎなかったのではないかと思います。一方で、金ヶ崎の退き口の翌年に、光秀は信長から近江国滋賀郡を与えられ、坂本城を築きました。この戦いで信長が光秀を高く評価する出来事があり、重用するきっかけとなった……との想像もできます」と、若狭国吉城歴史資料館の大野館長は語る。
この戦での光秀の動向を記した史料は少ない分、いろいろ想像を膨らませることができる。それがまた光秀を辿る旅の楽しみともいえる。
金ヶ崎の退(の)き口の舞台で知られる「金ヶ崎(かねがさき)城跡・金崎宮(かねがさきぐう)」
金崎宮では、信長の妹・ お市が浅井(あざい)長政の謀反(むほん)を知らせるため、信長に送ったという小豆袋にち なんだ難関突破守が人気
かつては海に突き出た半島にあった山に築かれ、天然の要害だった金ヶ崎城。南北朝時代には尊良(たかなが)・恒良(つねなが)両親王を奉じて新田義貞(にったよしさだ)が足利(あしかが)軍と戦った。中腹には両親王を祀る金崎宮があり、春は桜の名所としても知られ、雅やかな花換祭(はなかえまつり)が行われる。
金ヶ崎(かねがさき)城跡・金崎宮(かねがさきぐう) ❶
住所 | 福井県敦賀市金ケ崎町1- 4 |
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問い合わせ先 | 0770-22-0938 |
時間 | 境内自由 |
定休日 | 無休 |
交通アクセス | JR北陸本線敦賀駅からぐるっと敦賀周遊バス8分の金崎宮下車、徒歩5分 |
信長も褒め称えたと伝わる難攻不落の山城「国吉城址」
朝倉氏の侵攻を10年近く撃退し続け、難攻不落の城として知られた国吉城。ちょうど450年前に信長が入城した際、光秀も同行したといわれる。ふもとには若狭国吉城歴史資料館があり、国吉城や城下町・佐柿(さがき)の歴史を紹介。
国吉(くによし)城址・ 若狭国吉城歴史資料館 ❷
住所 | 福井県三方郡美浜町佐柿25-2 |
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問い合わせ先 | 0770-32-0050 |
時間 | 9時~17時(12~3月は10時~16時30分) |
定休日 | 月曜(祝日の場合は翌平日)と祝日の翌日休 |
交通アクセス | JR小浜線美浜駅からバス5分の佐柿口下車、徒歩5分 |
値段 | 資料館は100円 |
福井のおいしいものをフレンチで 老舗酒店に併設された「ル・サンオンズ」
老舗の酒店に併設され、敦賀で揚がった魚介や地元産の野菜を主役にした“港町フレンチ”を出す。酒店だからこその、フランス料理に日本酒をあわせる提案も。冬はセイコガニや若狭ふぐを使った料理も登場する。金崎宮からも徒歩圏内。
ル・サンオンズ ❸
住所 | 福井県敦賀市栄新町 3-14 |
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問い合わせ先 | 0770-23-2372 |
時間 | 11時30分~14時・17時~21時 |
定休日 | 月曜(祝日の場合は翌平日)と第3日曜休 |
交通アクセス | JR北陸本線敦賀駅からコミュニティバス6分の栄新町下車、徒歩1分 |
若狭と京を結ぶ街道の宿場町として繁栄「若狭鯖街道熊川宿」
若狭街道(鯖街道)の宿場町として栄えた熊川宿。広い道幅は往時から変わらず、それを見るだけでたくさんの物資が行き交ったことがうかがい知れる。光秀の娘・玉(細川ガラシャ)の姑にあたる麝香(じゃこう)は熊川城主・沼田光兼(みつかね)の娘。白石神社の裏に城跡が残る。
若狭鯖街道熊川宿 ❹
住所 | 福井県三方上中郡若狭町熊川 |
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問い合わせ先 | 0770-62-0330(若狭鯖街道熊川宿資料館) |
交通アクセス | JR小浜線上中駅からバス8分の若狭熊川下車。またはJR湖西線 近江今津駅からバス29 分の若狭熊川下車 |
熊川名物のサバと葛にこだわる食と土産「まる志ん」
熊川宿にあり、江戸時代末期に建てられた町家を利用した店。名物の鯖寿し2 切800円(写真)は昔ながらの味を知ってほしいと国産の生サバを使い、一から手作りしている(数量限定)。本葛を使った自家製の葛もちも絶品だ。
葛と鯖寿しの店 まる志ん ❺
住所 | 福井県三方上中郡若狭町熊川39-11-1 |
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問い合わせ先 | 0770-62-0221 |
時間 | 10時~16時 |
定休日 | 水曜(祝日の場合は翌平日)休(不定休あり) |
交通アクセス | JR小浜線上中駅からバス8分の若狭熊川下車、徒歩1分 |
ちょっと足を延ばして…「レインボーライン山頂公園」も必見!
座って寝転がってとことん絶景を楽しめる
美浜町と若狭町を結ぶ三方五湖(みかたごこ)有料道路(レインボーライン)。第一駐車場からリフトやケーブルカーで向かう梅丈岳(ばいじょうだけ)山頂には山頂公園があり、ソファやテラス、足湯など、お気に入りの場所で心ゆくまで三方五湖や日本海のパノラマを望める。
レインボーライン山頂公園 ❻
住所 | 福井県三方上中郡美浜 町・若狭町 |
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問い合わせ先 | 0770-45-2678 |
時間 | 2020年11月30日までは9時~17時(時期により変動あり) |
定休日 | 無休 |
交通アクセス | 舞鶴若狭自動車道若狭三方ICから20分の 第一駐車場下車、リフトまたはケーブル2分 |
値段 | 入園料900円(別途、三方五湖有料道路の通行料が必要) |
観光の問い合わせ
敦賀観光協会 ☎0770-22-8167
若狭美浜観光協会 ☎0770-32-0222
若狭三方五湖観光協会 ☎0770-45-0113
- ※取材・文・撮影=若井 憲
- ※この記事は2020年11月10日発売の『旅の手帖』を元に作成しています。金額は税込み表記です。
- ※掲載されているデータは2020年10月現在のものです。変更となる場合がありますので、お出かけの際には事前にご確認ください。