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2021.04.13鉄道東海道新幹線のぞみ・ひかり・こだまの違いとは?おトクに乗車する方法や座席選びのポイントを鉄道ジャーナリストが解説

新幹線の疑問に鉄道ジャーナリストがお答えします

「新幹線に乗ろうと思って時刻を調べたはいいけれど、どの列車のどの席を選べばいいか分からない」と迷ってしまうことはありませんか?全国の新幹線を、車窓を中心に10年以上観察・研究してきた鉄道ジャーナリストの栗原景さんが、知っていると便利なことや、誰かに話したくなる新幹線ならではの車窓の楽しみ方などをご紹介します。

第1回は「東海道新幹線」。
東京、名古屋、大阪という日本の三大都市を直結し、1日に最大45万8000人もの人を輸送する大動脈。それが東海道新幹線です。毎日さまざまな人が利用していますが、ビジネスでの利用が多いこともあり、ビジネスライクなイメージを抱いている人も多いかもしれません。ですが、実は東海道新幹線は日本でも有数の車窓風景に富む路線。その楽しみ方を紹介しましょう。

この記事を読むと分かること

  • 使用されている車両、特徴、コンセントの位置
  • 「のぞみ」「ひかり」「こだま」の違い
  • それぞれの列車の停車駅
  • 座席選びのポイント
  • 車窓の楽しみ方
  • おトクに乗車する方法、予約について
  • 車内販売の有無、最高速度などの基本情報

東海道新幹線の車両

東海道新幹線で使用されている車両は、N700AとN700Sの2種類(厳密にいうと3種類)に統一されています。どちらの車両も16両編成で、座席配置や車内設備はほとんど変わりません。最新型のN700Sは「のぞみ」だけでなく「ひかり」や「こだま」にも使用されており、N700S車両で運行される列車は、時刻表やJR東海HPに掲載されています(急きょ変更される場合もあります)。それぞれの車両の特徴をご紹介します。

N700A

2007年に登場したN700系を、さらにブラッシュアップした主力車両です。先頭部は、先代の700系と同じ客室空間を確保しながら山陽新幹線での300km/h運転を実現した「エアロ・ダブルウィング形状」を採用。曲線区間で車体を1度傾けて高速安定走行を実現する車体傾斜装置を搭載し、快適な乗り心地を実現しています。


曲線上にある浜松駅は迫力ある通過シーンを見られるスポット。東京行き「のぞみ」が時速240kmで通過

最初の説明で現在使用されている車両は厳密にいうと3種類と書きましたが、実はこの写真の車両はN700系です。
2007年に登場したN700系に、ブレーキや座席シートなどの改良を加えたマイナーチェンジ車両がN700Aで、元のN700系も、あとから機器類はN700Aと同じ仕様に改造されました。車体側面のロゴが、巨大なAのデザインとなっている車両が製造段階からN700Aとして製造された車両、N700系のロゴに小さくAが入っている車両が、後から改造された通称「スモールA」です。


N700系の改良型として製造されたN700A


N700系の機器を後からN700A相当に改造した通称「スモールA」。側面のロゴが異なる


N700Aについてもっと知りたい方は「THE列車 N700A」

N700S


さらにエッジを効かせた先頭形状と大型化されたライトが目を引くN700S・岐阜羽島駅~米原駅間

2020年7月に営業運転を開始した最新型車両です。先頭部にはさらに空力・静音性能を向上させた「デュアルスプリームウイング形状」を採用、先頭車両とパングラフ搭載車、そしてグリーン車には小型モーターと油圧ポンプが揺れを打ち消すフルアクティブ制振制御装置を搭載して乗り心地を向上しています。


背もたれに連動して座面が沈むようになったN700Sの普通車。ひじかけにはコンセントを完備している

客席も、東海道新幹線初となる全席コンセント完備を実現。普通車でも座面が背もたれと連動して動くリクライニングシートを採用するなど、最新技術と快適性を満載しています。


N700Sについてもっと知りたい方は「THE列車 N700S」

「のぞみ」「ひかり」「こだま」の違いは?

東海道新幹線の列車は「のぞみ」「ひかり」「こだま」の3種類。どの列車もN700AまたはN700Sが使用され、座席配置は全列車同じ(座席数1323)です。車両は同じでも愛称ごとに使命と特徴は異なります。

のぞみ

速達タイプの、東海道新幹線の主力列車です。停車駅が全ての列車で品川駅・新横浜駅・名古屋駅・京都駅に統一されており、運行本数も多いので時刻表を見なくてもいつでも乗ることができます。1時間に最大12本運行できますが、このうち毎日運行される定期列車は5本。あとの7本は曜日や日によって運行の有無や運行区間が変わります。このため、1日に運行される列車は毎日異なります。最速の列車は東京駅〜新大阪駅間を2時間21分で結びますが、これは他に走っている列車が少ない最終便のみ。多くの列車は2時間27〜30分で結んでいます。1日を通じてビジネス客で混み合い、夜になるとお酒を飲む人もいて独特の雰囲気になります。

【のぞみの停車駅】
東京駅・品川駅・新横浜駅・名古屋駅・京都駅・新大阪駅

【座席の種類】
普通車(自由席、指定席)/グリーン車(指定席のみ)

【コンセントの有無】
N700A:グリーン車全席及び普通車窓側席/N700S:全席

【車内販売】
あり(詳細はこちら

ひかり

静岡駅など中規模都市の駅にも停車する列車です。開業当時は「超特急」と呼ばれる最速列車でしたが、「のぞみ」が主力となった今は、多くの都市をきめ細かく結ぶ列車となりました。1時間に2本運行され、1本は山陽新幹線の岡山駅まで直通、もう1本は新大阪駅止まり。停車駅は、1時間に1本停車する駅や2時間に1本停車する駅などが混在し、停車パターンはパズルのように複雑です。「のぞみ」とは異なり、外国人向けのJRパスや、「フルムーン夫婦グリーンパス」などでも利用できるため、外国人旅行者や年配の夫婦などで混雑することもあります。

【ひかりの停車駅】
東京駅・品川駅・新横浜駅・小田原駅(日中2時間1本)・熱海駅(1日3本)・三島駅(日中2時間1本)・静岡駅(日中1時間1本)・浜松駅(日中1時間1本)・豊橋駅(日中2時間1本)・名古屋駅・岐阜羽島駅(日中1時間1本)・米原駅(日中1時間1本)・京都駅・新大阪駅

【座席の種類】
普通車(自由席、指定席)/グリーン車(指定席のみ)

【コンセントの有無】
N700A:グリーン車全席及び普通車窓側席/N700S:全席

【車内販売】
あり(詳細はこちら

こだま

各駅停車タイプの列車で、1時間に2本、新大阪駅発着と名古屋駅折り返しの列車が交互に運行されています。「のぞみ」や「ひかり」に追い抜かれるため、多くの駅で3〜6分停車します。短距離の利用者が多いため車内販売はありませんが、停車時間中にホームの売店で駅弁などを買えるのが魅力です。各駅停車といっても最高速度は「のぞみ」と同じ285km/h。駅間の長い新横浜駅〜小田原駅間や米原駅〜京都駅間などでは最高速度を体感できます。自由席はたいてい空いているので、各地の駅弁を食べながら、密にならずゆったりした列車旅を楽しめます。このほか通勤タイプとして、朝夕には東京駅~三島駅間などの区間運転もあります。

【こだまの停車駅】
東京駅・品川駅・新横浜駅・小田原駅・熱海駅・三島駅・新富士駅・静岡駅・掛川駅・浜松駅・豊橋駅・三河安城駅・名古屋駅・岐阜羽島駅・米原駅・京都駅・新大阪駅

【座席の種類】
普通車(自由席、指定席)/グリーン車(指定席のみ)

【コンセントの有無】
N700A:グリーン車全席及び普通車窓側席/N700S:全席

【車内販売】
なし

停車駅一覧表

 

のぞみ

ひかり

こだま

東京

品川

新横浜

小田原

-

熱海

-

3

三島

-

新富士

-

-

静岡

-

掛川

-

-

浜松

-

豊橋

-

三河安城

-

-

名古屋

岐阜羽島

-

米原

-

京都

新大阪

所要時間

(最速)

2時間21分

2時間54分

3時間54分

○:停車 △:日中1時間1本 ▲:日中2時間1本 3:1日3本 -:通過

東海道新幹線の座席選びのポイント

昼はE席、夜はA席がねらい目!


N700Sの普通車。晴れた日の3列側は朝から午後にかけて日差しが入る

普通車は3+2列の5列シート。新大阪に向かって左側(海側)が3列席(A〜C席)で、右側(山側)が2列席(D・E席)です。人気が高いのは2列席E席側。指定席は、基本的にE→A→D→C→Bの順で売れていきます。2列席の人気が高いというよりは、隣に2人座るかもしれない3列席が避けられていると言った方が良いでしょう。

筆者も、日中はE席側をおすすめします。富士山や浜名湖といった車窓風景がよく見えることももちろんですが、A席側は特に午前中日差しが強く、ブラインドを閉めたくなってしまうからです。夜間、ゆったりくつろぎたい時はA席側もおすすめです。3列席の真ん中、B席は、他に空席がなくなってから販売されることがだいたいなので、よほど混雑しなければ誰も来ない可能性が高いのです。人が行き交う通路からも遠く、プライバシーを守って過ごすことができます。

自由席に乗車する場合は、2号車などの偶数号車に並びましょう。偶数号車にはトイレ設備がなく、その分座席が多いからです。例えば、「のぞみ」の自由席は1〜3号車ですが、1号車が65席、3号車が85席に対し、2号車は100席。その分、希望の席に座れる可能性が高くなります。また、「こだま」は指定席が少なくいつも混雑しているので、自由席がおすすめです。なお、先頭車(1号車と16号車)は、座席間隔がわずかに(17mm)狭くなっています。

世界遺産から巨大な生ビールまで!多彩な車窓を楽しめるのが東海道新幹線の魅力

トンネルや防音壁が多くて車窓風景がよく見えない……と思われがちな新幹線ですが、東海道新幹線のトンネルは全体の13%に過ぎず、自然風景や歴史遺産、あるいは新幹線に向けてメッセージを送る企業など、多彩な車窓風景を楽しめます。おすすめめの車窓は、どちらかというとE席側に豊富です。

湘南日向岡住宅(新横浜駅〜小田原駅間)


「新幹線から見える町」を意識したといわれる平塚市の湘南日向岡住宅

E席側の丘の上に見えるカラフルな住宅地です。1987年から東急不動産によって分譲された住宅地ですが、平塚駅から遠く、坂の多い斜面にあるなど、必ずしも条件のよい立地ではありませんでした。そこで、「新幹線から見えるあの住宅地」として宣伝しようと、南側の民家がヨーロッパ風のデザインに統一されたといわれています。アニメの舞台にもなったほか、新幹線や相模湾がよく見えるスポットとして訪れる人もいます。

謎の看板(新横浜駅〜小田原駅間)


看板からは新幹線がよく見えることから、地元の人のお散歩コースにもなっているそう

多くの人が利用する新幹線の沿線には、列車に向かってメッセージを送る看板がたくさんあります。中でも、新横浜駅〜小田原駅間は、ユニークな看板が豊富。特に注目したいのが、下り列車で湘南日向岡住宅を通過した直後、A席側に見える3つの看板。右は、全国の新幹線沿線に多数の看板を出している化粧品メーカー「セブンツーセブン」の看板です。小売りをせず、美容室に販売するBtoB専門メーカーのため、一般の方にもロゴを記憶してもらえるよう、なるべく数分おきに見えるように設置しているとか。真ん中は、ドイツのトレーラーメーカー、フリーゲル社。そして一際目立つ左端の謎の看板は、梱包材「プチプチ」を製造・販売する川上産業の看板です。企業名も商品名もありませんが、右上にあるQRコードをスマホで読み取ると……?

富士山(新富士駅付近)


富士山がよく見える日は案内放送が行なわれることも。近年は富士市の紙工場がフル回転で操業している様子も見える

東海道新幹線から眺める富士山は格別です。ハイライトは何といっても新富士駅付近。「のぞみ」下り列車の場合、三島駅を通過して約4分後、E席側の茶畑が急に遠ざかって、愛鷹連山の陰から富士山が裾野まで見えてきます。上りなら、静岡駅を通過して約7分後、蒲原トンネルを抜けて富士川橋梁に差しかかったところから。また、静岡駅の西側、下り列車で安倍川を渡った辺りでは、約30秒間だけ富士山が海側に見える区間があります。
富士山がいちばんよく見えるのは、湿度が下がって空気が澄む冬。夏は霞む日が多くなります。比較的気温が低い朝がねらい目です。

浜名湖(浜松駅〜豊橋駅)


ほんの短い時間ながら、浜名湖の湖面がすぐ目の前に迫る瞬間も

新幹線は浜名湖を通過する際、湖の南側にある弁天島をつたって通過するため、短い時間ながらまるで水上を走るような気分を味わえます。E席側には海苔の養殖などの、のどかな景色が、A席側には太平洋につながる今切口に架かる浜名大橋がよく見えます。

キリン名古屋工場(名古屋駅〜岐阜羽島駅)


生ビールがいちばん美味しい比率を表しているキリンビール名古屋工場

下り列車で名古屋を発車して2分ほどでE席側に見えてくる巨大な生ビール。キリンビール名古屋工場の発酵・貯蔵タンクで、106本あるうち新幹線や東海道本線から見える約30本が生ビールの色に塗装されています。それも、生ビールがもっとも美味しくなるといわれる、ビール7:泡3の比率になっています。上り列車は、この工場を通過すると名古屋駅停車に向けて減速していきます。

東寺五重塔(京都駅付近)


富士山、彦根城、東寺五重塔と、世界文化遺産を車窓から見られるのも東海道新幹線の魅力。ただし東寺五重塔はA席側なので、日差しが入って逆光になりやすい

歴史遺産がたくさんあるのも、古くから日本の中心地として栄えた東海道新幹線沿線ならではの特徴です。下り列車で京都駅を発車すると、すぐA席側に見えるのが、国宝で世界文化遺産にも登録された東寺五重塔。国宝では他にも、米原駅〜京都駅間のE席側に井伊氏の居城だった彦根城の天守が見えます。

東海道新幹線におトクに乗るには?

毎日膨大な人数の乗客を輸送している東海道新幹線は割引きっぷが少なく、おトクな旅をするのにちょっとしたコツが必要です。日程があらかじめ決まっているのであれば、JR東海ツアーズなど旅行会社のツアーがおトク。頻繁に利用する人は、エクスプレス予約の会員になるのがおすすめです。

ツアーに参加する

あらかじめ日程が決まっていて、宿泊するのであれば、JR東海ツアーズをはじめとする旅行会社が販売している新幹線ツアーを利用するのがおトク。インターネットで手軽に申し込めるうえ、東京駅〜新大阪駅間片道1万4720円(通常期)のところ、往復新幹線+宿泊代(1泊)で2万5000円程度からと、往復運賃よりも安く利用できることもあります。ただし、申し込み後の変更はできず、指定列車に乗り遅れた場合無効となってしまうタイプのツアーもあるので注意が必要です(後続列車の自由席に乗車できるツアーもあり)。

ぷらっとこだまフリープラン

JR東海ツアーズが販売している「こだま」専用のプランで東京〜新大阪間の普通車なら1万700円(大型連休などは1万2300円)で利用できます。駅売店で使用できるドリンクチケットがつくうえ、東京・品川~京都・新大阪間なら+1500円でグリーン車も利用できるので、駅弁などを食べながらゆったりと旅を楽しみたい人に最適です。


スマートEX/エクスプレス予約

JR東海・西日本の会員制サービスで、スマートフォンから簡単に予約でき、運賃が割り引かれるほか、変更先の列車の発車4分前まで何度でも変更可能というメリットがあります。スマートEXは割引率こそ低いものの、Suicaをはじめとする交通系ICカードとクレジットカードを登録すれば年会費無料で入会できます。エクスプレス予約は年会費1100円がかかりクレジットカードの申し込みも必要ですが、東京駅〜新大阪駅間がいつでも1000円以上割引となるほか、グリーンプログラムのポイントを貯めてグリーン車に無料アップグレードすることもできます(お持ちのクレジットカードに追加も可能ですがグリーンプログラムは利用できません)。どちらのサービスも「EX早特21」などの事前購入割引を利用でき、通常料金より3000円以上安く乗車できることもあります。



【東海道新幹線】基本データ

営業区間:東京〜新大阪間
営業キロ:552.6km
実キロ:515.4km
※東海道新幹線は、在来線の線路増設として建設されたため、運賃計算の元となる営業キロは在来線の数字を使用しており、実際の距離(実キロ)とは異なります

使用車両:N700A/N700S

最高速度:285km/h(全列車共通)

最速列車の表定速度(停車時間を含めた平均速度):219.3km/h

座席の種類:普通車/グリーン車

車内販売:のぞみ○/ひかり○/こだま×

トイレ:奇数号車東京寄り
多目的トイレ・多目的室:11号車
車いすスペース:11号車
※多目的室は身体の不自由な人や気分の悪くなった人、授乳が必要な人などが乗務員に申し出ると利用できます。

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列車に乗り遅れたら? きっぷの変更ってできるの? きっぷをなくしたらどうしよう。 そもそも列車ってどうやって乗るんだっけ? 新幹線とか特急列車とか、聞いたことはあるけど、きっぷはどうやって買うのかな? など、鉄道旅行したいけど、あまり慣れていなくて心配…という鉄道旅行ビギナーに向けて、トレたびでは『JR時刻表』をベースにした基礎講座もご用意しています。


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著者紹介

栗原 景(くりはら かげり)

1971年、東京生まれ。鉄道と旅、韓国を主なテーマとするジャーナリスト。出版社勤務を経て2001年からフリー。小学3年生の頃から各地の鉄道を1人で乗り歩き、国鉄時代を直接知る最後の世代。東海道新幹線の車窓を中心に、新幹線の観察と研究を10年以上続けている。主な著書に「廃線跡巡りのすすめ」、「アニメと鉄道ビジネス」(ともに交通新聞社新書)、「東海道新幹線沿線の不思議と謎」(実業之日本社)、「東海道新幹線の車窓は、こんなに面白い!」(東洋経済新報社)ほか。

  • 写真/栗原景、交通新聞クリエイト
  • 掲載されているデータは2021年4月現在のものです。変更となる場合がありますので、お出かけの際には事前にご確認ください。
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