進化を続ける「のぞみ」と30年間の歴史
1992年3月14日、最高速度270km/hで東京駅と新大阪駅を結ぶ300系の「のぞみ」が誕生しました。
その後、運転区間の拡大、700系・N700系・N700A・N700Sと進化を続け、「のぞみ」誕生から30年を迎えた現在の東海道新幹線では、N700Aと最新鋭のN700Sが上質な乗り心地と快適な車内空間を提供しています。
- のぞみの歴史
-
1992年3月
300系「のぞみ」が誕生
- 最高速度270km/hで東京駅と新大阪駅を結ぶ
-
1993年3月
運転区間を東京~博多間に拡大
-
1997年11月
東海道区間に500系が登場
-
1999年3月
700系が登場
- 東京~博多間を最速4時間57分で運行
-
2007年7月
N700系が登場
- 車体傾斜装置を装備し、東京~新大阪間の所要時間を5分短縮することに成功
-
2013年2月
N700Aが登場
- N700系をブラッシュアップし、安全性と信頼性が向上
-
2020年7月
N700Sが登場
- 13年ぶりにフルモデルチェンジした最新鋭フラッグシップ車両!
鉄道コンシェルジュ・ミスターKの車両解説
初代「のぞみ」用の300系
「のぞみ」登場前の東海道新幹線の最高速度は220km/hで、2階建て車両を連結した100系が東京~新大阪間を最速2時間49分で結んでいました。
JR東海では最高速度270km/h、同区間を2時間30分で結ぶ高速車両の開発を進め、1990年3月に300系の試作車が登場しました。
環境にやさしい低騒音・低振動を実現したデザインのフルモデルチェンジ車で、試験走行では最高速度325.7km/hを記録。
1992年3月14日のダイヤ改正から東京~新大阪間を2時間30分で結ぶ「のぞみ」として運転を開始しました。
1993年3月18日から東京~博多間の「のぞみ」にも運用され、東京~博多間の所要時間を最速5時間47分から最速5時間4分に短縮しました。
最高速度300km/h(山陽区間)の500系
山陽新幹線区間を最高速度300km/hで走行する高速車両として、1997年3月22日に新大阪~博多間を2時間17分で結ぶ「のぞみ」が登場しました。
航空機のような円筒形のデザインで、日本の新幹線の300km/h運転の先駆けとなりました。
同年11月29日から東京~博多間の「のぞみ」にも運用されるようになり、同区間の所要時間を最速5時間4分から最速4時間49分に短縮しました。
車内空間の快適さを追求した700系
新幹線の高速化に貢献した300系・500系は乗り心地やコスト面で改善の余地があり、JR東海とJR西日本は共同でコストパフォーマンスに優れた次世代の車両を開発。微気圧波の影響を抑えるエアロストリーム形と呼ばれる独特なスタイルを採用したほか、高速運転時の横揺れを軽減するアクティブサスペンションやダンパなどが装備されました。
車内空間の快適さを追求するため、300系よりも天井の高さが最大65mm高くなり、冷房の吹出し口を荷物棚下に設置するなど、乗り心地の良さと合わせて居住性を向上させました。
1999年3月13日から東京~博多間の「のぞみ」に投入され、16両編成が最終的にJR東海・JR西日本で合計75編成製造され、700系による「のぞみ」の新時代が訪れました。
車体傾斜装置を採用したN700系
東海道新幹線には半径2,500mの曲線が約50箇所もあり、700系では250km/h程度に減速する必要があったため、東京~新大阪間のスピードアップが課題となっていました。
その解決策としてN700系に採用されたのが、台車の空気バネを利用した車体傾斜装置で、1度の車体傾斜により半径2,500mのカーブを270km/h(700系では250km/h程度に減速)で通過できるようになりました。
2007年7月1日から営業運転を開始したN700系は、東京~新大阪間の所要時間を5分短縮して最速2時間25分としました。
走行性能を改良したN700A
700系と比べて空気抵抗を約20%低減したエアロダブルウィング形の先頭形状をしたN700系は、東海道新幹線の標準車両として増備が続けられました。
2013年2月には中央締結ブレーキディスク、台車振動検知システム、定速走行装置を搭載し、安全性と信頼性を向上させたN700Aが登場しました。
現在は、N700系の全車両がブラッシュアップされたN700Aと同等の性能に改造され、N700Aとあわせて東海道新幹線のメイン車両となっています。
最新鋭フラッグシップとなるN700S
2020年7月から営業運転を開始したのが、13年ぶりにフルモデルチェンジした最新鋭フラッグシップ車両のN700Sです。
安全性、安定性、快適性、環境性能など、すべての面で最高の性能を備えた車両で、今後の標準車両として増備されています。
停電時などに自走できる高速鉄道では世界初となるバッテリー自走システムを搭載するなど、最高の粋を結集した車両となっています。
今までにない上質な乗り心地と、さらに快適な空間を実現した新幹線車両が、東海道新幹線の旅の楽しさを演出してくれます。
列車情報
運転日 | 毎日 |
---|---|
運転区間 | 東海道新幹線 東京駅~新大阪駅間 |
運転時刻 |
【下り】東京駅6:00発→新大阪駅8:22着 東京駅21:24発→新大阪駅23:45着 【上り】新大阪駅6:00発→東京駅8:23着 新大阪駅21:24発→東京駅23:45着 ※東京駅~新大阪駅間の初列車と終列車のみ記載 |
「のぞみ30周年」記念グッズはこちら(JR東海ホームページ)
著者紹介
- ※文/ミスターK(結解喜幸)
- ※写真/交通新聞クリエイト
- ※掲載されているデータは2022年5月1日現在のものです。
- ※運転日・運転区間等は変更となる場合があります。