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2021.05.11鉄道新幹線なのに個室?グリーン車はあるの?山陽新幹線のバラエティ豊かな列車たちを鉄道ジャーナリストが紹介

山陽新幹線の疑問に鉄道ジャーナリストがお答えします

「新幹線に乗ろうと思って時刻を調べたはいいけれど、どの列車のどの席を選べばいいか分からない」と迷ってしまうことはありませんか?

全国の新幹線を、車窓を中心に10年以上観察・研究してきた鉄道ジャーナリストの栗原景さんが、知っていると便利なことや、誰かに話したくなる新幹線ならではの車窓の楽しみ方などをご紹介します。

この記事を読むと分かること

  • 使用されている車両、特徴、コンセントの位置
  • 「のぞみ」「みずほ」「ひかり」「さくら」「こだま」の違い
  • それぞれの列車の停車駅
  • 座席選びのポイント
  • 新幹線特急券のマメ知識
  • 車窓の楽しみ方
  • おトクなきっぷや
  • 車内販売の有無、最高速度などの基本情報

山陽新幹線ってどんな路線?

大阪から神戸、岡山、広島、山口と中国地方の中核都市を結び、博多に至る山陽新幹線は、1日に平均19万8000人を輸送する高速鉄道です。

1975(昭和50)年の全線開業以来、「東海道・山陽新幹線」と呼ばれてきましたが、現在では東海道新幹線だけでなく九州新幹線とも相互直通運転を行ない、バラエティ豊かな列車が行き交っています。

瀬戸内海沿岸は平野が少なく、全線の約51%をトンネルが占めていますが、文化遺産や産業建築などさまざまな車窓を楽しめます。実は、全国の新幹線で唯一「個室」がある路線でもあります。

山陽新幹線の車両

山陽新幹線の車両は、東海道新幹線へ直通する「N700A」と「N700S」、九州新幹線へ直通する「N700系7000番代(S編成)・8000番代(R編成)」、山陽新幹線専用の「700系7000番代(E編成)」及び「500系」と、5種類の車両が運行されており、それぞれ車内設備や座席配置が異なります。

列車の愛称によって使用される車両が異なり、JR西日本(及びJR九州)独自の車両は普通車指定席に4列席を採用するなど、ゆとりのある車両が多いことが特徴です。

N700A


新幹線 N700A 走行写真

東海道新幹線から直通する「のぞみ」及び「ひかり」(岡山駅行き)に使用されている車両です。全列車16両編成で、普通車は5列シート。

東海道新幹線での最高速度は285km/hですが、山陽新幹線では姫路駅〜博多駅間で300km/h運転を行ないます。曲線区間で車体を1度傾けて高速安定走行を実現する車体傾斜装置を搭載していますが、急カーブが少ない山陽新幹線では使用していません。


N700Aをもっと詳しく知りたい方は「THE列車 N700A」

N700S


新幹線 N700S 走行写真

2020年7月から東海道新幹線で運行を開始したN700Sは、2021年春から山陽新幹線でも運行を開始しました。

先頭部の「デュアルスプリームウィング形状」や、一部の車両に搭載したフルアクティブ制振制御システムなどによってさらなる乗り心地の向上を実現しました。

2021年5月現在、山陽新幹線では毎日必ずN700Sが使用されている列車はありません。ただし、「のぞみ15号」「のぞみ34号」「のぞみ59号」などのように、N700Sが使われることが多い列車はあります。今後も続々と増えていくことでしょう。


N700Sをもっと詳しく知りたい方は「THE列車 N700S」

N700系7000番代(S編成)・8000番代(R編成)


新幹線 N700系7000・8000番代 外観

N700系をベースに、JR西日本とJR九州が共同開発した8両編成の車両で、九州新幹線に直通する「みずほ」「さくら」に使用されています。日本の伝統文化が色濃く残る関西圏と九州圏を結ぶ車両としてデザインに「和」のイメージを随所に取り入れており、ボディカラーは伝統的な陶磁器である青磁を思わせる白藍色。

普通車指定席は2列×2列の4列シートで、グリーン車に迫る居住性を備えます。


新幹線 N700系7000・8000番代 普通車指定席 N700系7000・8000番代 普通車指定席

新幹線 N700系7000・8000番代 普通車自由席 N700系7000・8000番代 普通車自由席

自由席は東海道新幹線と同じ2列×3列ですが、シートは青系の縹(はなだ)色と茜色の市松模様で、高級感があります。なお、7000番代(S編成)がJR西日本、8000番代(R編成)がJR九州の車両ですが、車体側面のロゴマーク以外に違いはほとんどありません。

700系7000番代(E編成)


新幹線 7000番代 外観

航空機に対抗して2000(平成12)年に登場した「ひかりレールスター」用8両編成の車両で、現在は「ひかりレールスター」のほか、山陽新幹線内の「こだま」に使用されています。指定席は2列×2列のゆとりある「サルーンシート」で、車端部の座席にはコンセントと大型テーブルを備えています。


新幹線 700系7000番代 普通車指定席 普通車指定席

8号車には新幹線唯一となる4人用個室のコンパートメントがあり、「ひかりレールスター」と一部の「こだま」で利用できます。
コンパートメントについては座席の選び方で詳しくご紹介しています。

500系


新幹線 500系 外観

1997(平成9)年に登場し、初の300km/h運転を実現したJR西日本独自開発の車両です。

生物のような独特のデザインが人気を呼び、かつては東京駅〜博多駅間を最速で結ぶ16両編成の「のぞみ」として活躍しましたが、現在は8両編成に再編されて、最高速度285km/hの「こだま」に使用されています。

全車両普通車ですが、6号車の普通車指定席は「のぞみ」時代のグリーン車の座席をそのまま使用しており、お得感があります。そのほかの指定席(4・5号車)も2列×2列のゆったりとしたシートです。


新幹線 500系社内 元グリーン車 500系元グリーン車

8本ある編成のうち1本は、サンリオのキャラクターとコラボした「ハローキティ新幹線」で、1・2号車がハローキティの世界観で飾られています。毎日新大阪駅〜博多駅間を「こだま」で1往復しており、時刻表に掲載されています。なお、500系の座席にはコンセントがありませんので、「こだま」でのんびり旅をする人はモバイルバッテリーを持参するとよいでしょう。

「のぞみ」「みずほ」「ひかり」「さくら」「こだま」の違いとは?

山陽新幹線には、5種類もの列車が運行されており、「東海道・山陽新幹線のグループ」と、「山陽・九州新幹線のグループ」に分けられます。

のぞみ

東海道新幹線から直通する最速列車で、「ひかり」「さくら」「こだま」よりも若干割高な特急料金が設定されています。

車両はすべて16両編成で、N700AまたはN700Sを使用。東海道区間では停車駅が完全に統一されていますが、山陽新幹線では姫路駅や福山駅など、一部の列車のみ停車する駅があります。

ほとんどの列車が広島駅または博多駅発着で、通常は1時間に3〜4本運行されていますが、大型連休など多客期には1時間あたり最大6本が運行されます。運行される列車や区間は毎日変わり、同じ列車が日によって広島駅行きだったり博多駅行きだったりします。

なお、「フルムーン夫婦グリーンパス」では利用できず、「ジパング倶楽部(大人の休日倶楽部ジパング)」の特急料金割引も受けられません。

【使用車両】
N700A/N700S

【のぞみの停車駅】
新大阪駅・新神戸駅・西明石駅(一部列車)・姫路駅(一部列車)・岡山駅・福山駅(一部列車)・広島駅・徳山駅(一部列車)・新山口駅(一部列車)・小倉駅・博多駅

【座席の種類】
普通車(自由席、指定席)/グリーン車(指定席)

【コンセントの有無】
N700A:グリーン車全席/普通車窓側席・最前列・最後列、N700S:全席

【車内販売】
あり

みずほ

新大阪駅〜鹿児島中央駅間で運行されている「のぞみ」タイプの最速列車で、鹿児島中央駅〜新大阪駅間を最速3時間41分で結んでいます。

運行本数が少なく、始発駅基準で午前中と夕方以降に8本しか運行されていません。座席のグレードが高いN700系7000番代(S編成)・8000番代(R編成)が使用されており、山陽新幹線で最もハイグレードな列車と言えるでしょう。

特急料金は「のぞみ」と同額で、「フルムーン夫婦グリーンパス」では利用できず、「ジパング倶楽部」の特急料金割引が受けられないのも同様です。

【使用車両】
N700系7000番代(S編成)・8000番代(R編成)

【みずほの停車駅】
新大阪駅・新神戸駅・姫路駅(一部列車)・岡山駅・福山駅(一部列車)・広島駅・新山口駅(一部列車)・小倉駅・博多駅

【座席の種類】
普通車(自由席、指定席)/グリーン車(指定席)

【コンセントの有無】
グリーン車全席/普通車窓側席・最前列・最後列

【車内販売】
あり

ひかり

山陽新幹線の「ひかり」は大きく分けて2種類あります。1つは、東京駅〜岡山駅・広島駅間直通の列車(名古屋駅〜博多駅間、新横浜駅・名古屋駅〜広島駅間もあり)です。

通常1時間に1本運行されており、山陽新幹線内では各駅に停車します。

もう1つは、山陽新幹線内のみで運行され、いくつかの駅を通過する列車です。しかし、このタイプは九州新幹線の全線開業後はほとんどが「さくら」に置き換えられ、早朝と夜間に下り2本、上り3本しか運行されていません。

このうち、深夜の下り1本と、早朝の上り2本は、700系7000番代(E編成)「ひかりレールスター」で運行され、4人用個室を利用できます。

【使用車両】
N700A/N700S/700系7000番代(E編成)

【ひかりの停車駅】
新大阪駅・新神戸駅・西明石駅(一部列車)・姫路駅・相生駅(一部列車)・岡山駅・新倉敷駅(一部列車)・福山駅・新尾道駅(一部列車)・三原駅(一部列車)・東広島駅(一部列車)・広島駅・新岩国駅(一部列車)・徳山駅(一部列車)・新山口駅(一部列車)・新下関駅・小倉駅・博多駅

【座席の種類】
普通車(自由席、指定席)/グリーン車(指定席)

【コンセントの有無】
N700A:グリーン車全席/普通車窓側席・最前列・最後列、N700S:全席、700系7000番代:最前列・最後列

【車内販売】
あり

さくら

山陽新幹線の主要都市に停車する九州新幹線直通列車で、1時間あたり1〜2本が運行されています。指定席が4列シートであるなど車両のグレードが高く、「のぞみ」「みずほ」のような割引きっぷの制限もないので、気軽に利用できるおすすめの列車です。

【使用車両】
N700系7000番代(S編成)・8000番代(R編成)

【さくらの停車駅】
新大阪駅・新神戸駅・姫路駅(一部列車)・岡山駅・福山駅・広島駅・徳山駅(一部列車)・新山口駅(一部列車)・新下関駅(一部列車)・小倉駅・博多駅

【座席の種類】
普通車(自由席、指定席)/グリーン車(指定席)

【コンセントの有無】
グリーン車全席/普通車窓側席・最前列・最後列

【車内販売】
あり

こだま

各駅停車タイプの列車で、新大阪駅〜博多駅間のほか、岡山駅〜広島駅間、小倉駅〜博多駅間などさまざまな区間で運行されています。

東海道新幹線のように列車時刻が完全にはパターン化されておらず、途中駅で新幹線とは思えないほど長時間停車する列車があります。

例えば、博多駅発新大阪駅行き「こだま852号」は広島駅で9分、東広島駅で8分、岡山駅で20分停車するといった具合。新大阪駅〜博多駅間を「のぞみ」の2倍となる5時間以上かけて走る列車も少なくありません。

【使用車両】
700系7000番代(E編成)/500系
早朝・夜間のみ:N700A/N700系7000番代(S編成)・8000番代(R編成)

【こだまの停車駅】
新大阪駅・新神戸駅・西明石駅・姫路駅・相生駅・岡山駅・新倉敷駅・福山駅・新尾道駅・三原駅・東広島駅・広島駅・新岩国駅・徳山駅・新山口駅・厚狭駅・新下関駅・小倉駅・博多駅

【座席の種類】
700系7000番代:普通車(自由席、指定席)、500系:普通車(自由席、指定席)
N700A/N700系7000・8000番代:普通車(自由席、指定席)全車自由席の列車もあり/グリーン車(指定席)

【コンセントの有無】
700系7000番代:最前列・最後列、500系:なし
N700A/N700系7000・8000番代:グリーン車全席/普通車窓側席・最前列・最後列

【車内販売】
なし

停車駅一覧表

  新大阪 新神戸 西明石 姫路 相生 岡山 新倉敷 福山 新尾道 三原 東広島 広島 新岩国 徳山 新山口 厚狭 新下関 小倉 博多 所要時間(最速)
のぞみ - - - - - - - 2時間21分
みずほ - 2時間22分
ひかり 2時間36分
さくら - - 2時間34分
こだま 3時間59分

「ひかり」は「ひかりレールスター」を含む ○:停車 ▲:一部停車 -:通過

  • 一部運行区間が異なる列車があります

山陽新幹線の座席選びのポイント

なるべく「さくら」「みずほ」を選びたい

指定席を利用するなら、ゆったりとした4列シートで和の雰囲気に包まれた、「さくら」「みずほ」がおすすめです。自由席は「のぞみ」「さくら」「みずほ」のいずれも3両。「のぞみ」の自由席は「さくら」「みずほ」よりも10席多いですが、あまり大きな差ではありません。

途中駅からの乗車ですと座れない可能性があるので、新大阪駅から乗車する場合は「さくら」「みずほ」、博多駅から乗車する場合は「のぞみ」が良いかもしれません。もっとも、両駅とも多くの乗客が入れ替わるので、早めに並べば十分座れます。

座席は、どこが良いでしょうか。東海道新幹線と同様、A席は晴れた日に日差しが入るので、博多に向かって右側、D・E席の方が快適です。姫路城や福山城といったお城も、D・E席側に見えます。

ただし、山陽新幹線は新大阪駅からまっすぐ西に向かい、またトンネル区間も多いので、東海道ほど日差しに悩まされることはありません。

下り列車の場合、対向列車とすれ違う時に衝撃が少ないA席側を好む人もいます。

「こだま」でも利用できる!新幹線唯一のコンパートメント

山陽新幹線でぜひ利用してみたいのが、新幹線で唯一の存在となった4人用個室の「コンパートメント」です。

以前は、1日3本の「ひかりレールスター」のみの営業でしたが、2021年5月現在は「ひかり593号・590号・592号」と、「こだま843号・847号・849号・854号・856号・858号」の合計9本で利用できます。

向かい合わせになった4人席の中央に、一部を折りたためる大型のテーブルがあり、グループや家族連れに最適。仕切り壁は上部が開いており完全な個室ではありませんが、通常の客室とは仕切られており、落ち着いて過ごすことができます。

なお、新型コロナウイルスが収束するまでは、個室内といえど会話は控えめにしましょう。


コンパートメントは、3人または4人で利用することができ、人数分の乗車券と特急券が必要です。e5489などのネット予約サービスでは扱っていません。主なJRのみどりの窓口(西日本以外も可)で、乗車1カ月前から販売しています。

コンパートメントを、さらに手軽に体験する裏ワザがあります。

それは、博多駅〜博多南駅間の「博多南線」。新幹線車両基地への引込線を活用した通勤路線で、平日朝の博多駅行き3本と、平日夕方の博多南駅行き4本が、コンパートメントを自由席として開放しています。

乗車時間はわずか8分、他の乗客との「相席」となり個室の扉も開いたままとなりますが、「新幹線唯一の個室」を手軽に体験することができます。

コンパートメント営業列車(2021年5月現在)

列車名 新大阪発 博多着  
こだま843号 7:39 12:24  
こだま847号 9:32 14:11  
こだま849号 10:32 15:11  
ひかり593号 20:27 23:46  
       
列車名 博多発 岡山着 新大阪着
ひかり590号 6:00 8:33  
ひかり592号 6:18 9:09 10:12
こだま854号 13:07 16:33 18:12
こだま856号 14:07 17:33 19:12
こだま858号 15:07 18:29 20:12

博多南線 コンパートメント開放列車(2021年5月現在)

博多発 博多南着   博多南発 博多着
17:25 17:33   7:33 7:41
17:52 18:00   8:06 8:16
18:22 18:30   8:46 8:55
18:52 19:00      

「さくら」「みずほ」やコンパートメントに乗る裏ワザ!?新幹線特急券マメ知識

通常、特急料金は乗車する列車ごとに購入しますが、新幹線は改札口を出なければ複数の列車を乗り継いでも、通しの特急券を購入できます。

それほど急ぐ旅でなければ、東京駅から岡山駅・広島駅・博多駅方面へ行く時は、新大阪駅で「みずほ」「さくら」に乗り換えると、追加料金なしで「のぞみ」「ひかり」よりもゆったりとした座席で旅を楽しめます。

新大阪駅は改札内に大阪名物の飲食店がありますから、ちょっとした大阪旅行気分も味わえます。

城好き、工場好き、野球好きにはたまらない!山陽新幹線の車窓

山陽新幹線は、山が海岸に迫り、狭い平地に街や産業がひしめく中国地方を通過するため、全区間のほぼ半分がトンネルです。それでも、世界文化遺産やギネス登録された吊橋など、さまざまな車窓風景を楽しむことができます。

また、300km/hという高速走行を楽しめるのも山陽新幹線の魅力。下り列車は姫路駅から、上り列車は博多駅発車後まもなく、300km/h運転を行ないます。

おすすめは、トンネルが少ない姫路駅〜相生駅間。「のぞみ」や「みずほ」に乗って、姫路駅通過をチェックしましょう。

宝塚市中山台ニュータウン(新大阪駅〜新神戸駅間)


新大阪駅を発車してしばらくすると、D・E席側の向こうに見えてくる山には、頂上付近までびっしり住宅が並んでいます。あれは、昭和40年代に宝塚市の永尾連山に造成された、中山台ニュータウン。最寄り駅の阪急電鉄中山観音駅が標高60mであるのに対し、最も奥にある中山五月台小学校の標高は310mと、標高差が250mもあります。

明石海峡大橋(新神戸駅〜西明石駅間)


西明石駅の手前から相生駅までは、山陽新幹線で唯一トンネルがない区間。六甲山地の高塚山トンネルを抜けると、A席側後方に淡路島へ渡る明石大橋の主塔が見えます。全長3911mとギネス認定もされた世界最長の吊橋で、計画当初は新幹線のスペースも設ける予定でした。

姫路城(姫路駅付近)


世界文化遺産に登録された「白鷺城」こと姫路城は、姫路駅前後のD・E席側に見えます。江戸時代以前から現存する天守の中でも最も規模が大きい城郭で、戦国時代、羽柴秀吉(豊臣秀吉)が天守を築き、徳川家康の娘婿である池田輝政が8年の歳月をかけて現在の姿にしたものです。

ビルの間から眺めることになりますが、姫路駅上りホームには「姫路城が見えます」と書かれたビュースポットもあり、「こだま」なら停車中にじっくり観察できます。

福山城(福山駅付近)


山陽新幹線から見えるお城といえば、福山城も外せません。実はJR福山駅は、福山城の城内に位置しており、ホームのすぐ北側に天守がそびえています。江戸幕府が開かれた後に築かれた新しい城で、明治維新後も天守が残されていましたが、1945(昭和20)年8月8日の福山大空襲で焼失。現在の天守は1966(昭和41)年に再建されたものです。

石州瓦(東広島付近)


東広島駅付近の車窓には、真っ赤な瓦の民家が多く見られます。これらの多くは、島根県の石見地方で生産されている石州瓦。

東広島の北隣には、酒造りで有名な西条があります。この辺りの賀茂台地は寒さが厳しく、造り酒屋の主人たちは寒い風土に負けない瓦として、石州瓦を使うようになったと言われています。民家の屋根ひとつにも、その土地の歴史が隠れていることがわかります。

MAZDA Zoom-Zoom スタジアム広島(東広島駅〜広島駅間)


下り列車で広島駅に近づくと、A席側に大きな野球場が見えてきます。広島東洋カープが本拠地としている広島市民球場、通称「MAZDA Zoom-Zoom スタジアム広島」です。国鉄の貨物駅・旧東広島駅の跡地に建設された球場で、手前のレフトスタンドに大きな開口部があることが特徴。

これは、新幹線や在来線の乗客にも観客として応援してもらおうと設計されたもので、スタンドはもちろん、グラウンドまで見えます。

新幹線の車内からプロ野球の試合を観戦?できるのは、全国でもここだけです。

徳山のコンビナートと瀬戸内海(徳山駅付近)


周南市の石油コンビナート


瀬戸内海

徳山駅の前後では、周南市の石油コンビナートと風光明媚な瀬戸内海がA席側によく見えます。夜間でも、24時間眠らないコンビナートの様子をよく観察でき、「工場萌え」な人にもお勧めです。

小郡機関区(新山口駅)


鉄道好きなら見逃せないのが、新山口駅東側の転車台。ここにはかつて機関車の基地がありました。今は扇形の機関庫はなくなりましたが今もたくさんの国鉄型ディーゼルカーが顔をつきあわせているのが見えます。運が良ければ、「SLやまぐち号」を牽引するC57形蒸気機関車も見えます。

山陽新幹線におトクに乗るには?

航空機や高速バスとの競争が激しい山陽新幹線には、さまざまなおトクなきっぷが用意されています。事前購入割引のほか、乗車直前でも購入できるきっぷもあります。

スーパー早特きっぷ

JR西日本のインターネット予約「e5489」、JR九州の「JR九州インターネット列車予約」専用の格安きっぷです。

「J-WESTネット会員」か「JR九州Web会員」に登録し(無料)、乗車日の14日前までにネットで予約することが条件で、新大阪駅〜博多駅間なら通常1万5280円(さくら)〜1万5600円(みずほ)のところ、1万480円と約5000円引きで利用できます(2021年9月までの料金)。座席数には限りがあり、本州内だけの区間では購入できません。

新大阪駅・新神戸駅〜熊本駅・鹿児島中央駅・長崎駅間には、21日前までのネット予約でさらにお得な「スーパー早特21」もあります。

いずれも、購入後の変更はできません。JR西日本の「e5489」は、この他にも「新幹線直前割きっぷ」「新幹線近トク1・2・3」など、手軽に新幹線を利用できるさまざまなきっぷを販売しています。



「ひかり」「こだま」用ツアープランを利用

東海道新幹線に、JR東海ツアーズが販売する「ぷらっとこだま」があるように、山陽新幹線にも旅行会社の「ひかり」「こだま」限定の格安ツアーがあります。しかも、日本旅行「バリ得新幹線」、近畿日本ツーリスト「めっちゃ得プラン」など、複数の旅行会社が値段とサービスを競っています。

例えば「バリ得新幹線」は、前日まで予約可能で、駅のコンビニで使えるギフト券もついて新大阪駅〜博多駅間が7500円。「めっちゃ得プラン」は1週間前までの予約が必要ですが、7300円とさらに少し安くできます(いずれも2021年9月までの料金)。

JR西日本も、「こだま」限定の「こだまスーパー早特きっぷ」を販売していますが、旅行会社のプランは早朝・深夜限定ながら「ひかり」も利用できるのが魅力です。なお、購入後の変更はできず、乗り遅れた場合は後続の列車にも乗車できない点は注意が必要です。

JR西日本どこでもきっぷ(発売見合わせ中)

4月16日から6月22日まで販売される予定でしたが、現在、新型コロナウイルス対策のため発売を見合わせている商品です。

JR西日本全線(智頭急行線、JR西日本宮島フェリー航路を含む)の、新幹線を含むすべての列車が3日乗り放題のフリーきっぷで、2万2000円(子供半額)という信じられないほどお得なきっぷです。3日間用はネット予約サービス「e5489」と旅行会社で販売、2日間用(1万8000円)は旅行会社のみで販売されます。

さらに、普通車指定席も6回まで追加料金なしで利用できます。山陽新幹線なら、新大阪駅〜広島駅間を往復するだけでほぼ元が取れてしまうきっぷ。

50歳以上の方向けに、グリーン車(または普通車)も8回まで使える「西なびグリーンパス」(3日間用3万円、5日間用3万5000円、2人以上で利用する場合は5000円引き)も企画されています。新型コロナウイルスの収束と販売再開を待ちましょう。

なお、利用開始日の7日前までに購入する決まりです。



【山陽新幹線】基本データ

営業区間:新大阪駅〜博多駅間
営業キロ:622.3km
実キロ:553.7km
※山陽新幹線は、在来線の線路増設として建設されたため、運賃計算の元となる営業キロと、実際の距離(実キロ)が異なります

使用車両:N700A/N700S/N700系7000番代(S編成)・8000番代(R編成)/700系7000番代(E編成)/500系

最高速度:300km/h(のぞみ/みずほ/ひかり/さくら)、285km/h(ひかりレールスター/こだま)

最速列車の表定速度(停車時間を含めた平均速度):235.6km/h(のぞみ64号)

座席の種類:普通車/グリーン車

車内販売:

のぞみ みずほ ひかり さくら こだま
×

※2021年5月1日現在、新型コロナウイルス対策のため全列車で車内販売を中止しています。また、「こだま」以外でも、車内販売を行なっていない列車があります


トイレ:奇数号車新大阪寄り

多機能トイレ・多目的室・車いすスペース:N700S/N700A:11号車、N700系7000番代(S編成)・8000番代(R編成)/700系7000番代/500系:7号車
※多目的室は身体の不自由な人や気分の悪くなった人、授乳が必要な人などが乗務員に申し出ると利用できます。


著者紹介

栗原 景(くりはら かげり)

1971年、東京生まれ。鉄道と旅、韓国を主なテーマとするジャーナリスト。出版社勤務を経て2001年からフリー。小学3年生の頃から各地の鉄道を1人で乗り歩き、国鉄時代を直接知る最後の世代。東海道新幹線の車窓を中心に、新幹線の観察と研究を10年以上続けている。主な著書に「廃線跡巡りのすすめ」、「アニメと鉄道ビジネス」(ともに交通新聞社新書)、「東海道新幹線沿線の不思議と謎」(実業之日本社)、「東海道新幹線の車窓は、こんなに面白い!」(東洋経済新報社)ほか。

  • 写真/栗原景、交通新聞クリエイト
  • 掲載されているデータは2021年5月現在のものです。変更となる場合がありますので、お出かけの際には事前にご確認ください。
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