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2024.03.27旅行特例を使いこなせ! 大阪発東京行き&仙台発青森行きの青春18きっぷ旅

三セク区間も新幹線も乗車可能? 特例を大いに活用してお得な18きっぷ旅に出かけよう

2024年も春の青春18きっぷシーズンが始まりました。青春18きっぷは、JR線の普通列車が5回(5日)乗り放題となる、夢あふれるきっぷです。

ただし最近では新幹線開業に伴い並行する在来線が第三セクター化したり、ローカル線が他のJR線から離れ小島になったりして、少し利用の難易度が上がっています。けれども、実は、新幹線に並行して走る一部の第三セクター路線については、特定の条件下で「追加運賃不要で利用可能」な特例が設けられており、うまく使いこなすことで18きっぷのお得度が増します。

そして、今シーズン、この特例で注目したいのが、2024年3月16日のダイヤ改正および北陸新幹線開業に伴い、特例の新設と変更がなされた北陸エリアです。今回は、青春18きっぷの特例を大いに活用した大阪発 北陸&高山経由 東京行きプランと、仙台発 青森往復プランの2つをご紹介します。

<大阪発>青春18きっぷ特例を使ってローカル線にもはみ出しつつ、北陸&高山経由の東京行き


1日目 モデルコース
06:21発

大阪駅 京都線 快速 米原駅行き

06:54着

京都駅 乗り換え

07:00発

京都駅 湖西線 近江今津(おうみいまづ)駅行き

07:59着

近江今津駅 乗り換え

08:10発

近江今津駅 湖西線 敦賀駅行き

08:46着

敦賀駅 乗り換え

09:13発

敦賀駅 ハピラインふくい 福井駅行き

10:00着

越前花堂(えちぜんはなんどう)駅 乗り換え

  • 解説① 越美北線(えつみほくせん)の特例
10:30発

越前花堂駅 越美北線 臨時普通列車 越前大野駅行き※運転日注意(春休み、土休日のみの運転)

10:43着

一乗谷駅

  • スポット① 戦国時代の暮らしを学ぶ「福井県立一乗谷朝倉氏遺跡博物館」
12:15発

一乗谷駅 越美北線・ハピラインふくい 福井駅行き

12:33着

福井駅 乗り換え

13:03発

福井駅 北陸新幹線 つるぎ20号 富山駅行き

13:39着

金沢駅 乗り換え

14:31発

金沢駅 七尾線 七尾駅行き

  • 解説② 七尾線の特例
15:31着

羽咋(はくい)駅

  • スポット② UFOのまちで宇宙科学を知る「宇宙科学博物館コスモアイル羽咋」
17:20発

羽咋駅 七尾線 金沢駅行き

18:06着

津幡駅 乗り換え

18:11発

津幡駅 IRいしかわ鉄道・あいの風とやま鉄道 泊駅行き

18:37着

高岡駅 

開業間もないハピラインでさっそく特例を活用

大阪発 北陸&高山経由 東京駅行きの旅は、早朝の大阪駅から始まります。最初のお楽しみは琵琶湖の西岸を走る路線、湖西線の車窓です。進行方向右手を確保しておくと、琵琶湖の景色を俯瞰するようにして楽しめます。


湖西線の進行方向右手に広がる琵琶湖

終点の敦賀駅は2024年3月16日のダイヤ改正を境に、北陸新幹線の終着駅となりました。また、新幹線開業に伴い、北陸本線の敦賀駅~大聖寺駅間が第三セクターハピラインふくいに移管されたことから、同線の起点駅としての役割も担っています。

ここから先は、新たな路線であるハピラインふくいで越前花堂駅へ、さらに越美北線へと乗り継いでいきます。時刻表の路線図を見てもらうとわかるように、越美北線は他のJR線とは離れ小島の路線です。ただし、「解説① 越美北線の特例」により、ハピラインの敦賀駅~越前花堂駅は18きっぷで乗車できることから、そのまま越美北線に向かって18きっぷの旅が継続できます!

解説① 越美北線の特例

北陸本線のハピラインふくい移管に伴い、同線の越前花堂駅を起点とする越美北線は、他のJR在来線から孤立した路線となりました。

ハピラインを経由して越美北線に向かうとき、本来であればハピライン区間分(敦賀駅~越前花堂駅)は別途運賃が必要になるところ、「特例」により敦賀駅より西(小浜線・北陸本線)から18きっぷでやってきて、そのまま同区間を通過利用する場合は、18きっぷのみで移動が可能です。

なお、越美北線は運行上、すべての列車が越前花堂駅の隣、福井駅を発着していますが、在来線の福井駅はハピラインふくいの駅であり、特例が設けられていません。そのため福井駅から越美北線に移動する場合は、福井駅~越前花堂駅の運賃が別途必要です。

ハピラインふくいでは、これまで北陸本線で走ってきた521系という車両が運用に入っていますが、うまくいけばピンクとグリーンの帯に花びらが配されたハピラインデザインに出会えます!

さて、越前花堂駅からはいよいよローカル線、越美北線に乗車です。ようやく鉄道旅らしさが出てきました。田園地帯の真ん中を抜けて向かう先は一乗谷駅です。

スポット① 本物の遺構や出土品から戦国時代の暮らしを学ぶ「福井県立一乗谷朝倉氏遺跡博物館」


一乗谷は、戦国時代に朝倉氏が5代約100年にわたって越前国を統治するための拠点とした城下町の遺跡です。50年以上にわたる発掘調査により、当時の町並みや人々の暮らしの全体像が判明しつつあります。これら城下町の様子や、その歴史的な価値を学べるのが、一乗谷駅からすぐの「福井県立一乗谷朝倉氏遺跡博物館」です。

博物館建設に伴い発見された遺構を屋内でそのまま展示する「遺構展示室」や、当時の城下町の人々の生活がわかる城下町ジオラマや出土品の展示など、見どころが数多くあります。個人的には、戦国時代の甲冑や着物の着付け体験、記念写真の撮影が楽しめる、当主の館の一部を原寸で再現した「朝倉館原寸再現」がおすすめです。ちょうど越美北線のビュースポットであり、タイミングが合えば戦国時代の着物で、列車をバックに撮影できます!


福井県立一乗谷朝倉氏遺跡博物館

住所 福井県福井市安波賀中島町8-10
問い合わせ先 0776-41-7700
時間 9:00~17:00(入館は16:30まで)
定休日 月曜日、年末年始等
交通アクセス JR一乗谷駅から徒歩約3分
値段 大人700円、高校生400円、小・中学生200円、70歳以上350円
URL https://asakura-museum.pref.fukui.lg.jp/

一乗谷駅から再びの越美北線で、終点福井駅まで乗り通します。「解説① 越美北線の特例」にもあるように、越前花堂駅~福井駅は別途運賃が必要です。

また、ここから金沢駅方面の在来線は、ハピラインふくい、IRいしかわ鉄道と第三セクターが続き、18きっぷでは乗車できません。別途運賃を支払って乗車するのもおすすめですが、思い切って北陸新幹線で“ワープ”するのも一つの手です。今回は、福井駅~金沢駅を北陸新幹線で一気に移動し、金沢駅からは七尾線に乗車します。


2020年に導入が始まったばかりの真新しい七尾線車両

七尾線も先の越美北線同様に、他のJR線とは離れ小島の路線であるため特例が設けられています。ただし、以下「解説② 七尾線の特例」にあるように、2024年3月16日を境に大きな変更がなされており、金沢駅方面から向かう場合は、金沢駅~津幡駅の運賃が別途必要です。

解説② 七尾線の特例

2015年春の北陸新幹線金沢開業によって、北陸本線の金沢駅~倶利伽羅(くりから)駅はIRいしかわ鉄道に移管され、同線の津幡駅を起点とする七尾線は、他のJR線から孤立した路線となりました。このとき設けられた「特例」により、金沢駅より西のJR線(北陸本線)から18きっぷでやってきて、IRいしかわ鉄道の金沢駅~津幡(つばた)駅をそのまま通過利用する場合は追加運賃不要、18きっぷのみでの移動が可能でした。

ところが、2024年3月16日の北陸新幹線敦賀開業により、金沢駅以西のJR線がIRいしかわ鉄道・ハピラインふくいに移管されたことで、「特例」が大きく変わりました。

まず、従来の「特例」は廃止され、金沢駅から七尾線を利用する場合は、金沢駅~津幡駅の運賃が別途必要になりました。

代わって新設されたのが、富山駅~津幡駅の「特例」です。これは、高山本線で富山駅に18きっぷでやってきて、あいの風とやま鉄道、およびIRいしかわ鉄道を通過利用して津幡駅へ、さらにそこから七尾線に向かう場合に、富山駅~津幡駅の運賃は不要、18きっぷのみで移動できるものです。

ポイント② UFOのまちで宇宙科学を知る「宇宙科学博物館コスモアイル羽咋」


赤い帯が目を引く七尾線で向かうのは羽咋駅です。羽咋駅では、江戸時代にUFOによく似た飛行物体が多数目撃されたことが伝えられており、「UFOのまち」として知られています。

そんなUFOのまちにあるのが、宇宙科学博物館コスモアイル羽咋です。宇宙船の形をした建物のなかには、アメリカや旧ソビエトが開発した宇宙船をはじめ、さまざまな宇宙機材が展示され、本物を通じて宇宙開発の歴史が学べます。またショップには、宇宙やUFO、エイリアンに関連したグッズ、それに「宇宙食」もあり、ちょっと変わったお土産におすすめです。


宇宙科学博物館コスモアイル羽咋

住所 石川県羽咋市鶴多町免田25
問い合わせ先 0767-22-9888
時間 8:30~17:00(入館は16:30まで)
定休日 火曜日(祝日の場合は翌平日)
交通アクセス JR羽咋駅から徒歩約8分
値段 宇宙科学展示室:大人500円、小・中学生250円 コスモシアター:大人500円、小中学生300円、セット券:大人900円、小中学生450円(幼児は無料)
URL http://www.hakui.ne.jp/ufo/index.html

羽咋駅からは再びの七尾線で、津幡駅へ、さらにIRいしかわ鉄道、あいの風とやま鉄道で高岡駅に向かい、1日目は終了です。


2日目 モデルコース
09:03発

高岡駅 城端(じょうはな)線 城端駅行き

09:26着

砺波(となみ)駅

  • スポット③ 一年中チューリップが楽しめる「チューリップ四季彩館」
11:29発

砺波駅 城端線 高岡駅行き

11:50着

高岡駅 乗り換え

13:45発

高岡駅 あいの風とやま鉄道 富山駅行き

  • 解説③ 氷見(ひみ)線・城端線の特例
14:03着

富山駅 乗り換え

14:12発

富山駅 高山本線 猪谷(いのたに)駅行き

15:07着

猪谷駅 乗り換え

15:10発

猪谷駅 高山本線 美濃太田駅行き

16:27着

高山駅

2日目は、高岡駅を起点とするローカル線、城端線からスタートします。出発までにゆとりがあるため、少し早起きをして、同じく高岡駅起点の氷見線を往復してくるのもおすすめです。

城端線は、広々とした砺波平野を抜けていく路線で、遠くには雄大な立山連峰がそびえています。今回下車するのは、砺波平野のど真ん中、砺波駅です。

スポット③ 一年中チューリップが楽しめる「チューリップ四季彩館」


富山県といえば、チューリップの球根生産量で日本一を誇り、県花にも制定されています。富山とチューリップの関係は、砺波駅の位置する砺波市で大正時代に始まりました。ということで訪れるのは、砺波駅から歩いておよそ15分、チューリップ四季彩館です。

春の18きっぷシーズンは、チューリップの開花にはちょっと早めですが、チューリップ四季彩館では、特殊な技術により、一年中チューリップを楽しめます。また、チューリップの原生地から、砺波での栽培が盛んになるまでをイラストや資料で学ぶこともでき、地域への理解が深まります。


チューリップ四季彩館

住所 富山県砺波市中村100-1
問い合わせ先 0763-33-7716
時間 9:00〜18:00
定休日 不定休、年末年始および展示入替等による休館日(HPにて確認)
交通アクセス JR砺波駅から徒歩約15分
値段 高校生以上310円、65歳以上250円、小・中学生160円、幼児無料
URL https://www.tulipfair.or.jp/

ここからはいったん高岡駅に戻ったのち、あいの風とやま鉄道を経由して、富山駅へ、さらに高山本線へと向かいます。気になってくるのは三セクを挟む場合の扱いですよね。「解説③ 氷見線・城端線の特例」にあるように、この区間は別途運賃不要で乗車できます。

解説③ 氷見線・城端線の特例

高岡駅を起点とする、氷見線・城端線は、先の七尾線同様に2015年春の北陸新幹線金沢駅開業によって他のJR線から孤立した路線となりました。このとき設けられた「特例」により、富山駅まで高山本線でやってきて、あいの風とやま鉄道を通過利用して高岡駅へ、さらにそこから氷見線・城端線に向かう場合に、富山駅~高岡駅の運賃は不要、18きっぷのみで移動できます。

本文では、逆のパターン(城端線から、あいの風とやま鉄道を経由して高山本線へ)を紹介しています。

前述の七尾線の特例も踏まえると、18きっぷの扱い上、高山本線は七尾線、城端線、氷見線の3路線への出入り口ともいえるでしょう。

高山本線は富山駅から途中の猪谷駅までがJR西日本、猪谷駅~岐阜駅がJR東海のエリアになり、普通列車は境界駅の猪谷駅で乗り換えます。最初の区間で景色の主役となるのは、神通川です。二度ほど川を渡ったのち、川沿いを走り、終点の猪谷駅に到着です。

続いて、JR東海の車両にバトンタッチして、宮川沿いを進んでいきます。山間の路線らしく、水墨画のようにしっとり美しい景色が楽しみながら高山駅を目指します。



3日目 モデルコース

高山駅から徒歩で移動

  • スポット④ 江戸時代の風情あふれる高山の「古い町並」

高山駅まで徒歩で移動

  • スポット⑤ 飛騨牛を駅弁で味わい尽くす! 「飛騨牛しぐれ寿司」
10:24発

高山駅 高山本線 美濃太田駅行き

13:07着

美濃太田駅 乗り換え

13:30発

美濃太田駅 高山本線 岐阜駅行き

14:02着

岐阜駅 乗り換え

14:23発

岐阜駅 東海道本線 豊橋駅行き

15:38着

豊橋駅 乗り換え

15:43発

豊橋駅 東海道本線 浜松駅行き

16:17着

浜松駅 乗り換え

16:21発

浜松駅 東海道本線 熱海駅行き

19:04着

熱海駅 乗り換え

19:09発

熱海駅 東海道本線 高崎駅行き

20:56着

東京駅

ポイント④ 江戸時代の風情あふれる高山の「古い町並」


大阪から始まった18きっぷ旅も最終日、3日目になりました。ここまでは複雑な「特例」を使いこなしてきましたが、最終日は18きっぷらしく、乗って乗って乗りまくれ! の1日です。

ただし、せっかく高山にいるなら観光もしておきたいところ。そこで城下町の中心、商人町として発展した高山の上町、下町の三筋からなる「古い町並」を訪れます。このエリアは、国の重要伝統的建造物群保存地区に指定されており、出格子の連なる様子や、軒下の用水に、江戸時代の風情が感じられます。また、通りには造り酒屋や伝統工芸品店、みたらし団子屋さんなどさまざまなお店が並び、グルメもお土産品の入手もかないます!


古い町並

住所 岐阜県高山市上三之町ほか
問い合わせ先 0577-32-3333(代表、高山市観光課)
交通アクセス JR高山駅から徒歩約12分
URL https://www.hidatakayama.or.jp/spot/detail_1101.html

ポイント⑤ 金亀館(きんきかん)の駅弁「飛騨牛しぐれ寿司」


さて、高山駅に戻り、一路高山本線へ……と行きたいところですが、忘れずに買っておきたいのが駅弁。高山駅には、地元の「金亀館」のお店があります。

個人的な一押しは、飛騨牛のしぐれ煮とローストビーフがご飯のうえにたっぷりのせられた「飛騨牛しぐれ寿司」です。こんな豪華な駅弁があっていいのかと思うくらい、柔らかく、また甘みの感じられる飛騨牛が心ゆくまで堪能できます!


金亀館 高山駅売店

住所 岐阜県高山市昭和町1丁目(JR高山駅構内)
問い合わせ先 0577-32-0184(代表) 
時間 平日8:00~17:00、土・日曜・祝日8:00~19:00
定休日 なし
交通アクセス JR高山駅構内
値段 飛騨牛しぐれ寿司:1,800円 ほか
URL https://kinkikan.wixsite.com/kinkikan

高山本線の景色は、前日に続いて山と川が主役の路線です。まずは宮川、そして飛騨一ノ宮駅を過ぎた先のトンネルで分水嶺を超え、飛騨川へとバトンタッチします。下り勾配を進み、何度も川を渡りながら山を下っていくのは、こうした山間部の路線ならではの魅力といえるでしょう。さらに進み、白川口駅を進んだあたりからは車窓左手にご注目! 約12kmにわたって続く渓谷で奇石や怪石が楽しめます。


高山本線ではダイナミックな車窓が楽しめる

美濃太田駅での乗り換えを挟み、高山本線の旅は岐阜駅でゴールします。ここからは東京までひたすら東海道本線を乗り継いでいきます。行程を見ていただくとわかるように、終点できちんと次の列車に接続している点はありがたいのですが、同じような乗り継ぎをする人が18きっぷシーズンは特に多く車内が混雑している可能性があります。そうしたときの技としては「1本落とす」がおすすめです。時刻表で、当駅始発の列車が設けられている駅を探し、そこで下車。少し早めにホームに並んでおけば、着席がかなう仕組みです!

また、熱海駅から先の区間では、普通列車に2階建ての「グリーン車自由席」が連結されており、18きっぷでもグリーン料金を支払えば利用可能です。旅の最後で疲労も高まっていることから、最後だけ少し優雅な座席を選ぶのはいかがでしょうか。


運賃料金参考

合計17,320円

〇1日目 小計5,850円
大阪駅→敦賀駅2,310円、敦賀駅→越前花堂駅1,140円、越前花堂駅→一乗谷駅210円、一乗谷駅→越前花堂駅210円、津幡駅→七尾駅990円、七尾駅→津幡駅990円

〇2日目 小計2,560円
高岡駅→砺波駅240円、砺波駅→高岡駅240円、高岡駅→富山駅390円、富山駅→高山駅1,690円

〇3日目
高山駅→東京駅8,910円

青春18きっぷ3回分(7,230円)を使うと、10,090円もお得!

※18きっぷを利用している区間(通過利用含む)の算出

<仙台発>青森県をぐるっと1周、青い森鉄道の特例を活用した18きっぷ旅


1日目 モデルコース
06:00発

仙台駅 東北本線 一ノ関駅行き

07:31着

一ノ関駅 乗り換え

07:50発

一ノ関駅 東北本線 盛岡駅行き(平日は滝沢駅行き)

09:18着

盛岡駅 乗り換え

09:48発

盛岡駅 東北新幹線 はやぶさ5号 新青森駅行き

10:25着

八戸駅 乗り換え

10:42発

八戸駅 八戸線 鮫駅行き

11:03着

鮫駅

  • スポット⑥ 最北端のウミネコ繁殖地、蕪島(かぶしま)
13:44発

鮫駅 八戸線 八戸駅行き

14:05着

八戸駅 乗り換え

15:14発

八戸駅 青い森鉄道・大湊(おおみなと)線 快速しもきた 大湊駅行き

  • 解説④ 青い森鉄道の特例
16:53着

大湊駅 乗り換え

17:01発

大湊駅 大湊線 野辺地(のへじ)駅行き

18:02着

野辺地駅 乗り換え

18:08発

野辺地駅 青い森鉄道 青森駅行き

18:58着

青森駅

続いてご紹介するのは、仙台発 青森行きの旅です。仙台駅から青森駅まで鈍行列車の旅を想定すると、最初に浮かぶのは大動脈「東北本線」を駆使した移動になります。

仙台駅から盛岡駅までは、王道に従って北上するのですが、18きっぷを駆使して旅をする「18キッパー」には盛岡が大きな壁として立ちはだかります。というのも、ここから先は、IGRいわて銀河鉄道、および青い森鉄道の区間となり、18きっぷが利用できないためです。もちろん別料金を支払い、そのまま旅を続けることも可能ですが、今回は青森での滞在時間を増やす目的からも、東北新幹線で八戸駅まで一気にワープ。八戸駅から再び18きっぷ旅に戻ります。


青森18きっぷ旅は八戸駅からが本番

ワープ後は、まず八戸線から攻めていきます。列車は発車後、長苗代(ながなわしろ)駅を経て、本八戸駅に到着します。車窓を見て「結構栄えているな~」と感じる方も多いかもしれません。実は、もともと本八戸駅が「八戸駅」を名乗っており、市中心部もこちらに位置しています。

さらに、そのまま乗車し、鮫駅という一風変わった名前の駅で下車。駅前には、駅名に関連して「鮫」のモニュメントも設置されていますので、記念写真にどうぞ。


スポット⑥ 最北端のウミネコ繁殖地「蕪島」


鮫は、南北に続く三陸海岸の北端にあり、駅からは港も見渡せます。そのまま海沿いを15分ほど歩くとウミネコの繁殖地として国の天然記念物に指定されている蕪島に到着です。ウミネコの繁殖の様子を間近で観察することができる国内唯一の場所として人気が高く、3~8月頃であれば飛来し、産卵する様子が見られます。また、頂に鎮座する「蕪嶋神社」は、漁業安全や商売繁盛などにご利益があるとされています。


蕪島

住所 青森県八戸市鮫町鮫56-2
問い合わせ先 0178-34-2730(蕪嶋神社)
時間 10月~3月:8:45~16:50、4~9月:8:45~17:20
定休日 なし
交通アクセス JR鮫駅から徒歩約15分
URL https://visithachinohe.com/spot/kabushima/

再びの八戸線で八戸駅に戻り、青森駅方面に向かう第三セクター、青い森鉄道の列車に乗り換え、下北半島を走る大湊線を目指します。間に三セクが入るということは……特例の有無が気になってきます。ここは「解説④ 青い森鉄道の特例」にあるように、別途運賃不要で乗車できます。

解説④ 青い森鉄道の特例

青森県内の目時(めとき)駅~青森駅を結ぶ第三セクター、青い森鉄道は、八戸駅で八戸線、青森駅で奥羽本線・津軽線に接続、さらに野辺地駅からは孤立路線である大湊線と接続します。
このように3か所でJR線とつながっていることから、青い森鉄道に関しては合計3パターンの特例が設けられており、以下の条件に合うときは運賃不要で乗車できます(逆もOK)。

  • 1.八戸駅まで八戸線でやってきて、青い森鉄道を通過利用して青森駅へ、さらにそこから奥羽本線・津軽線に乗る場合。
  • 2.八戸駅まで八戸線でやってきて、青い森鉄道を通過利用して野辺地駅へ、さらにそこから大湊線に乗る場合。
  • 3.青森駅まで奥羽本線・津軽線でやってきて、青い森鉄道を通過利用して野辺地駅へ、さらにそこから大湊線に乗る場合。

ということで、追加運賃不要で青い森鉄道を利用し、大湊線の起点となる野辺地駅へ。列車を降りたら注目してもらいたいのは、ホームとは反対側の林です。実は、日本最古の鉄道防雪原林であり、鉄道記念物にも指定されています。また、2002年に廃止された南部縦貫(なんぶじゅうかん)鉄道の起点でもあり、くまなく探すと当時の名残が見つかります。

大湊線は、下北半島の陸奥湾側に沿って走る路線です。「はまなすベイライン大湊線」という愛称がついているように、有戸駅を過ぎたあたりから、車窓左手には陸奥湾が広がります。また海すれすれの砂丘上を走っていることから、窓の開かない列車に乗っていながらも、海風の強さを草木の揺れに感じることができます。さらにそのまま進み、斧の形をした下北半島の「刀」の部分にある釜臥山を海の向こうに見ながら原野を走っていくと、終点の大湊駅に到着です。


大湊線の車窓には陸奥湾、下北半島が楽しめる

大湊駅からは、恐山(おそれざん)や仏ヶ浦、それにマグロで有名な大間などにバスでアクセスできるのですが、今回はあくまで18きっぷの利用をメインとした旅! 次回訪問するときの楽しみに残しておき、野辺地駅まで引き返し、青い森鉄道の終点、青森駅を目指します。


大湊線の終点、大湊駅に到着


2日目 モデルコース

青森駅から徒歩で移動

  • スポット⑦ 連絡船に思いを馳せる「青函連絡船メモリアルシップ八甲田丸(はっこうだまる)」

青森から北海道へ足を延ばすなら...

  • 解説⑤ 青春18きっぷ北海道新幹線オプション券
12:14発

青森駅 奥羽本線 弘前駅行き

12:59着

弘前駅 乗り換え

13:27発

弘前駅 奥羽本線 秋田駅行き

14:12着

大館駅 乗り換え

15:01発

大館駅 花輪線・IGR銀河鉄道 盛岡駅行き

18:11着

盛岡駅 乗り換え

18:17発

盛岡駅 東北本線 一ノ関駅行き

19:50着

一ノ関駅 乗り換え

19:56発

一ノ関駅 東北本線 小牛田駅行き

20:43着

小牛田駅 乗り換え

21:10発

小牛田駅 東北本線 仙台駅行き

21:56着

仙台駅

スポット⑦ 連絡船に思いを馳せる「青函連絡船メモリアルシップ八甲田丸」


2日目の朝は、青森駅すぐの「青函連絡船メモリアルシップ八甲田丸」への訪問から始まります。ここは鉄道ファンにはぜひともおさえておいてもらいたいスポット。というのも、青森駅~函館駅の津軽海峡は今でこそ1988年に開通した青函トンネルを経由して鉄道、しかも今や北海道新幹線で往来できますが、開通以前は青函連絡船がその役割を担っていました。

青函連絡船メモリアルシップ八甲田丸は、就航当時の状態で係留・保存したミュージアムです。実際の操舵室やエンジンルーム、鉄道車両を運んだ広大な車両甲板が見学できるほか、本物の乗船椅子にも着席可能です。連絡船の歴史に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。


青函連絡船メモリアルシップ八甲田丸

住所 青森市柳川1-112-15地先
問い合わせ先 017-735-8150
時間 夏季(4月1日~10月31日):9:00~19:00(最終入館受付18:00)、 冬季(11月1日~3月31日):9:00〜17:00(最終入館受付16:30)
定休日 夏季:なし、冬季:月曜日(祝日の場合は翌日)、12月31日、1月1日、3月第2週の月~金曜日
交通アクセス JR青森駅から徒歩約5分
値段 大人510円、中高生310円、小学生110円、乳幼児無料
URL https://aomori-hakkoudamaru.com/index.html

ここで少し余談です。前述のとおり、青森駅~函館駅の津軽海峡には現在、北海道新幹線のみが運行、普通列車は走っておらず、普通列車乗り放題の18きっぷ単独では海を越えることはできません。ところが、ここに「青春18きっぷ北海道新幹線オプション券」を追加すると、北海道新幹線が利用できます。

解説⑤ 青春18きっぷ北海道新幹線オプション券

北海道新幹線の「奥津軽いまべつ駅~木古内(きこない)駅」と道南いさりび鉄道の「木古内駅~五稜郭駅」が片道1回2,490円で利用できるオプション券です。単独では利用できず、その日有効な「青春18きっぷ」に追加するかたちで使います。当日でも購入可能です。

青森方の起点となる奥津軽いまべつ駅は、新幹線単独駅ですが、津軽線の津軽二股駅が隣接しています。ただし、津軽線は現在、津軽二股駅を含む一部区間が不通、代行バスでの運行となります。

また、全車指定席の北海道新幹線車内では、空いている席を利用します(立席)。

最後に、木古内駅からの道南いさりび鉄道の途中駅では下車できない点は注意しましょう。

上記のように、オプション券との合わせ技を駆使すれば、北海道新幹線にも18きっぷで乗車ができます。利用難易度は決して低くありませんので、新青森駅~新函館北斗駅を一気に新幹線ワープする、または津軽海峡の航路を利用するという選択肢も持っておくといいでしょう。

旅は青森駅に戻ります。仙台駅までの復路は、18きっぷの活用可能性を広げるうえでも行きと違うルートを選んでいきます。
まずは青森駅から奥羽本線に乗車し、大館駅まで南下です。車窓には津軽平野が広がり、青森らしく「リンゴ畑」、それに青函連絡船「八甲田丸」の由来である八甲田山が見られます。さらに弘前あたりでは岩木山も姿を現します。津軽湯の沢駅を過ぎれば、青森秋田県境の矢立峠越え、そして終点の大館駅に到着です。

最後にローカル線として、大館駅~好摩(こうま)駅を結ぶ花輪線を楽しみます。列車は大館駅を発車後、車窓左手にゆったり流れる米代川を映しながら進んでいきます。そのうちに十和田南(とわだみなみ)駅に到着。ここは平地なのにスイッチバック構造がある非常に珍しい駅です。鉄道ファンとしては写真に収めておきたいところ。さらに、米代川を左右に楽しみながら岩手山が出現。八幡平(はちまんたい)の高原風景を楽しみながら進んでいきます。なお、乗ってきた列車は好摩駅から第三セクターのIGRいわて銀河鉄道線に入り、そのまま終点の盛岡駅に至ります。好摩駅~森岡駅は別途運賃が必要です。

ここで初日の新幹線ワープから、ぐるっと一周青森を回ってきたことになります。あとは東北本線で仙台まで帰りつくだけです!


運賃料金参考

合計14,410円

〇1日目 小計7,590円
仙台駅→盛岡駅3,410円 、八戸駅→鮫駅240円、鮫駅→八戸駅240円、八戸駅→野辺地駅1,360円、野辺地駅→大湊駅1,170円、大湊駅→野辺地駅1,170円

〇2日目 小計6,820円
青森駅→好摩駅3,410円、盛岡駅→仙台駅3,410円

青春18きっぷ2回分(4,820円)を使うと、9,590円もお得!

※18きっぷを利用している区間(通過利用含む)の算出


著者紹介

蜂谷あす美

旅の文筆家。福井県福井市出身。慶應義塾大学卒業後、出版社勤務を経て、現在に至る。「旅は再訪のための下見」をモットーに、2015年1月にJR全線完乗。鉄道と旅を中心としたエッセイや紀行文などを数多く執筆しているほか、ご当地牛乳にほれ込み牛乳の連載も経験あり。最近はラジオをはじめ、トークでも活躍。著書『女性のための鉄道旅行入門』『もっとお得にきっぷを買うアドバイス50』(ともに天夢人)

オフィシャルHP
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  • 写真協力:福井県立一乗谷朝倉氏遺跡博物館、宇宙科学博物館コスモアイル羽咋、公益社団法人とやま観光推進機構、一般社団法人飛騨・高山観光コンベンション協会、 有限会社金亀館、一般財団法人VISITはちのへ
  • 文:蜂谷あす美
  • 掲載されているデータは2024年3月現在のものです。変更となる場合がありますので、お出かけの際には事前にご確認ください。
  • 乗車日によっては発着時刻が異なる場合があります。事前にご確認の上、お出かけください。
  • 写真はイメージです。モデルプランの行程中に撮影したものではありません。
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