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2025.02.28旅行日本神話最強!? 星の神様を祀る大甕神社で悪縁を断つ【むすび鉄】

むすび鉄 ~鉄道で巡る縁結び&縁切り神社

“良縁”というと恋愛のイメージが強いですが、仕事や人との縁、時間の縁なども立派なご縁。
鉄道に乗って、人と人、人と物との良いご縁を結ぶ「むすび鉄」の旅に出てみませんか?

元非常勤巫女で、神社アドバイザーとしても活躍するライター 井口エリさんがちょっとディープな“縁結び&縁切り”にまつわる神社をご紹介します。

今回は連載初の「縁切り」に御利益のある神社です! 茨城県日立市に鎮座する大甕(おおみか)神社の主祭神は、織物の神として知られる武葉槌命(タケハツチノミコト)。そして、星の神様である甕星香々背男(ミカボシカガセオ)をこの地の地主神として祀るめずらしい神社です。

いざ、悪縁を断ち、良縁を結ぶ旅へ出発します。

特急「ひたち」「ときわ」で茨城へらくらくアクセス!


特急「ひたち」

大甕神社の最寄りの大甕駅へ向かうには、東京都内からは品川・東京・上野駅から出発する特急「ひたち」や「ときわ」が便利です。ただし、大甕駅まで直通で行ける列車の本数は限られているため、時刻表を確認して計画的に向かうのがおすすめです。なお、特急は全席指定のため、事前に特急券を購入しておけば安心して旅を楽しめます。

乗車したら、しばらく車窓に広がる景色を楽しみます。私が「茨城らしい光景だな~!」と思ったのは、車窓からレンコン畑が見えたこと。茨城の、特に霞ヶ浦周辺は日本一のレンコン産地(農林水産省作物統計 令和5年産)で、レンコンは茨城の名産のひとつに数えられます。


青空を映すレンコン畑


大甕駅

直通の列車に乗れれば、都内から2時間ほどで大甕駅に到着します。いよいよ星の神が鎮まる地へ……!


特急「ひたち」についてもっとくわしく

特急「ひたち」 -品川・東京・上野から水戸・日立・湯本・いわき・原ノ町・仙台を目指す。精悍なスタイルの特急列車(THE列車)

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織物の神様と日本神話のダークヒーローを祀る、縁切りで有名な大甕神社へ

大甕神社までは駅から徒歩約20分。ゆっくり歩いて向かうのも一興ですし、もし歩くのが大変に感じたら、駅前のタクシーを利用してみてはいかがでしょう。


大甕神社


拝殿

大甕神社の主祭神は、織物の神として知られる武葉槌命(タケハツチノミコト)。そして、この地の地主神として祀られているのが、星の神・甕星香々背男(ミカボシカガセオ)です。

甕星香々背男は、日本神話に登場する最強の神のひとり。かつて、武神として名高い鹿島・香取の神々ですら征服できなかったほどの強大な力を持っていたと伝わります。また、朝廷に敵対したことから「唯一の悪神」として日本書紀に記された、“異色の存在”の神様です。
そんな甕星香々背男を、最終的に宿魂石に封じたのが、主祭神である武葉槌命とされています。


御本殿は岩山の上に鎮座している

宿魂石とは、境内にある岩山全体のことをいいます。この岩山を登る道のりは、まるで自然のアスレチックのよう! 鎖場もあって、なかなかの難易度です。晴れていてよかった……!

この岩山の上に御本殿があります。岩山を登りきると、心地よい達成感が湧いてきます。


岩山の上の御本殿


甕星香々背男社

岩山の下には甕星香々背男社があります。大甕神社では、武葉槌命と甕星香々背男という、敵対関係にあった神様を両方祀っているのです。手を合わせながら、歴史のロマンを感じました。

悪縁を断ち切る縁切りスポット「境界石」


境界石

境内には縁切りスポット「境界石」があります。別名を縁切り石といい、御札を貼り付け、下の穴を潜ることで悪縁を断って開運を祈願します。

社務所で祈願札(初穂料 500円)を授与していただき、願いを込めて境界石に貼り付けます(裏にテープが付いています)。祝詞を唱えながら潜り、そのまま参道を進み参拝します。


祈願札を貼り付けて祈る

この境界石の由縁はというと、大甕神社の鎮座する場所は関東平野が終わり、福島県と茨城県にまたがる阿武隈山脈がはじまってくる場所。昔は神様のいらっしゃるような日高見国(ひたかみのくに)と呼ばれた、“知られざる国”でした。
そんな神聖な場所に行くに際し、境界でケガレをすべて祓ってその土地に入っていく=悪縁を祓っていく、という謂れです。

たくさんの願いが込められた境界石を、悪縁を断ち、これからの開運招福を祈って潜りました。

災難除守で災難を避ける

悪縁を断った後におすすめのお守りが、こちらの災難除守です。


災難除守(初穂料:1000円)

こちらは祓いの神事でも使用される麻で奉製された、災い事を祓い浄化し、開運を招くよう祈願されたお守りです。境内で行った境界石潜りと、災いごとを避けるお守りで、厄除け・開運がさらに強固なものになりそうです!

大甕神社発!「オマイリマン」おみくじで運試し


武葉槌命と甕星香々背男の「オマイリマン」

大甕神社の授与品で気になったのが、「オマイリマン」というステッカー型の授与品です。おみくじや御朱印の授与の際などにいただけます。

この「オマイリマン」は大甕神社発祥の授与品。茨城県北部を中心に、現在は福島県のいわきなどでも授与しており、全国に広がりつつあります。

「オマイリマン」は公式Instagramのアカウントで見られます。それぞれの神社ごとに特色があって、いろいろ参拝したくなりますね!


金の文字で書かれた、かっこいい御朱印

大甕神社で御朱印授与の際にいただけるのは、御祭神の武葉槌命と甕星香々背男。お正月や例祭など、季節や時期ごとに特別な色や絵柄での授与も行っていたりします。

そして、ステッカーの絵柄は全20種という「オマイリマン」おみくじ(初穂料:300円)も引いてみました。


オマイリマンおみくじ

結果は……キラキラの甕星香々背男&武葉槌命の絵柄でした。おみくじの結果はイマイチでしたがうれしい! 

屈強な神様でも倒せなかった甕星香々背男を倒した武葉槌命は女性の神様という説もあり、大甕神社ではこちらの説を採用しているのだそう。イラストのおかげで、御祭神がイメージしやすく、神様を身近に感じられますね。


星の神が鎮まる大甕神社を訪ねて

茨城県日立市に鎮座する大甕神社。その神域に足を踏み入れた瞬間、どこか異世界へと迷い込んだかのような雰囲気に包まれます。

星の神として強大な力を持ち、時の支配者に恐れられた甕星香々背男。その詳細は今も謎が多く、祀られる神社もごくわずか。だからこそ、大甕神社を訪れると特別な気配を感じるのかもしれません。 神秘と自然に包まれた大甕神社。ぜひその空気を肌で感じ、星の神の気配を味わってみてください。

今回は連載初の「縁切り」に御利益のある神社のご紹介でした。縁切りは、今後の良縁を求める第一歩。悪縁を断ち切り、開運を願って参拝しましょう。


神門


基本情報

名称 大甕神社
所在地 茨城県日立市大みか町6-16-1
問い合わせ先 0294-52-2047
URL http://www.omikajinja.net/

著者紹介

井口エリ

神社や街歩きが好きなフリーライター。
旅先ではひたすら車窓の景色を見るタイプで、電車から見えるなかなか行けなそうな場所の神社に思いを馳せるのが好き。御朱印をきっかけに神社に興味を持ち、非常勤巫女も経験。中立的な立場からの「プロ参拝者」目線を活かして「神社アドバイザー」として御朱印や授与品の開発に従事している。

X:https://twitter.com/chip_potekko

  • 取材・撮影・文=井口エリ
  • 掲載されているデータは2025年2月現在のものです。変更となる場合がありますので、お出かけの際には事前にご確認ください。
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