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2025.10.10旅行良縁も厄除けも! 世界遺産・丹生都比売神社(和歌山)を巡る旅【むすび鉄】

むすび鉄 ~鉄道で巡る縁結び&縁切り神社

“良縁”というと恋愛のイメージが強いですが、仕事や人との縁、時間の縁なども立派なご縁。
鉄道に乗って、人と人、人と物との良いご縁を結ぶ「むすび鉄」の旅に出てみませんか?

元非常勤巫女で、神社アドバイザーとしても活躍するライター 井口エリさんがちょっとディープな“縁結び&縁切り”にまつわる神社をご紹介します。

高野山の麓(ふもと)、標高450メートルの自然豊かな天野盆地に鎮座する丹生都比売神社(にうつひめじんじゃ)。弘法大師に高野山を授けたと伝わる女神を祀り、古くから「すべての災厄を祓う神」として崇敬を集めてきました。
北条政子や淀殿といった歴史に名を刻む女性たちも崇敬したことから、「女性を守る神」としても親しまれています。
清らかな空気に包まれて、災厄を祓い良縁を願う旅に出発します。

大阪から丹生都比売神社へ 向かう際の注意点を解説!


まずは大阪駅をスタート!

大阪から和歌山方面へ向かいます。
丹生都比売神社の最寄り駅・笠田へは、和歌山経由もしくは橋本(和歌山)経由でアクセスできます。

今回は大阪駅から紀州路快速に乗り込み、和歌山を目指しました。タイミングが合えば、新大阪や京都から新宮まで走る特急「くろしお」も早くて便利です。

紀州路快速では要注意ポイントが。途中、日根野駅で切り離しがあり、前後で行き先が和歌山か関西空港かに分かれます。

関空快速と紀州路快速間は車両間の通り抜けはできません。
なので、はじめから目的の車両に乗っていた場合はいいですが、そうでなかった場合、途中で車両移動をする必要があります。
危なかった……これは知らないと結構焦ります。別方面へ向かう電車に乗っていたため、切り離しが行なわれる日根野で車両移動してなんとか無事に和歌山に到着しました。


JR和歌山駅

和歌山からはJR和歌山線に乗り換えます。またここで注意点なのですが、和歌山線は時間帯によってはワンマン運転になり、目的の笠田駅をはじめ、先頭車両の前のドアしか開かない駅があります。なので、乗車位置に気をつけておくと安心です。


JR和歌山線に乗り換え。顔がかわいい

途中、初めてだからこそ味わうヒヤッとする場面もありましたが、無事に笠田駅へ到着。
実際に電車に揺られて現地に足を運ぶからこそ味わえる体験で、こういうのも旅の醍醐味に感じます。


JR笠田駅。「かさだ」だと思っていたら実は「かせだ」

笠田駅は小さな無人駅です。ここから丹生都比売神社へはコミュニティバスかタクシーで向かいます。コミュニティバスの時間はぜひ丹生都比売神社の公式サイトからご確認ください。
今回はバスの時間が合わなかったため、事前に予約しておいたタクシーを利用しました。乗車時間はおよそ20分、料金は3,800円ほどでした(2025年9月現在)。


タクシーの車窓からは里山風景が広がる

のどかな景色を眺めながら、車は山を登っていよいよ丹生都比売神社へ。

四柱の女神が祀られる世界遺産の神社、「丹生都比売神社」


丹生都比売神社

御祭神に
丹生都比売大神(にうつひめのおおかみ)
高野御子大神(たかのみこのおおかみ)
大食都比売大神(おおげつひめのおおかみ)
市杵島比売大神(いちきしまひめのおおかみ)
の4柱の女神を祀る丹生都比売神社。

天野の豊かな自然に抱かれた境内では、緑に映える社殿が美しくも荘厳な姿を見せてくれます。
私が訪れた日は、境内に足を踏み入れた途端、カエルたちの大合唱が響き渡って自然の豊かさに思わず驚かされました。都心から訪れると、緑がひときわ鮮やかに感じられました。


丹生都比売神社 楼門

室町時代に建てられた立派な楼門は、本殿の前にそびえる珍しい構造で、国の重要文化財にして世界遺産に登録されています。

さらに、一間社春日造・檜皮葺きの本殿四殿(四社明神)も室町時代の造替で、同じく世界遺産に登録されています。山あいの神聖な空気の中で、こうした歴史的建造物を間近に見られるのは格別。実は世界遺産に数えられていることを知らない人も多く、訪れる価値大です。


丹生都比売神社 本殿

御祭神の丹生都比売大神は、天照大御神の妹神であり、古来魔除けとされた赤い顔料「丹」をつかさどる神様です。
古来よりあらゆる災厄を祓う神様とされ、災難除けや悪縁を祓うご祈祷を受けに訪れる人が絶えません。兵庫の門戸厄神東光寺、京都の石清水八幡宮と並び、日本三大厄神に数えられることからも、そのご神徳の篤さがうかがえますね。

「みちびきのご神犬」にちなんだかわいい御守り&授与品

丹生都比売神社は、御祭神が弘法大師・空海に高野山を授けた際、ご神犬が大師を導いたことから、白と黒のご神犬が神さまの使いとされています。
毎月16日には、現在も奉仕している紀州犬のご神犬に実際に会うことができます(10月を除く)。


ご神犬すずひめ(白)、大輝(黒)(丹生都比売神社提供)

この日には、全国から日本犬のオーナーも訪れるそうで、犬好きにとっても注目の神社となっています。
そしてそんなご神犬や御祭神のご神威にちなんだ、かわいい授与品も丹生都比売神社の魅力のひとつ。


犬みくじ(500円)

ご神犬にちなんだ犬みくじは白と黒の2種類。ふくふくとしたフォルムが愛らしいおみくじです。


縁結び守(1000円)

「丹の力であらゆる災厄をしりぞけて、人を幸福・良縁にみちびく」という御祭神のご神威にちなんだ御守り。丹から精製される水銀をイメージした銀色の生地に、ご神犬が縁をつなぐ様子が描かれています。


季節の御朱印(各500円)

季節によって絵柄が変わる御朱印には神社のキャラクター・くろまる、しろまるも登場。季節ごとに授与してもらいたくなりますね。


和歌山で、歴史と自然に包まれる縁結び旅

自然豊かな境内には長い歴史が息づき、北条政子や淀殿といった女性たちが崇敬した跡も感じられます。
かつて高野山が女人禁制だった時代、女性たちは丹生都比売神社を「女人高野」として信仰しました。こうした背景からも、昔も今も女性にやさしいお社として、良縁や災厄除けを願う参拝者に長く親しまれているんですね。

山あいの清らかな空気に癒されながら、歴史を感じつつ、縁結びや災厄祓いのご利益をいただきに訪れてみませんか。


豊臣秀吉の妻である淀殿が奉納したものと伝わる輪橋


基本情報

名称 丹生都比売神社
所在地 〒649-7141 和歌山県伊都郡かつらぎ町上天野230
問い合わせ先 0736-26-0102
URL https://niutsuhime.or.jp/

著者紹介

井口エリ

神社や街歩きが好きなフリーライター。
旅先ではひたすら車窓の景色を見るタイプで、電車から見えるなかなか行けなそうな場所の神社に思いを馳せるのが好き。御朱印をきっかけに神社に興味を持ち、非常勤巫女も経験。中立的な立場からの「プロ参拝者」目線を活かして「神社アドバイザー」として御朱印や授与品の開発に従事している。

X:https://twitter.com/chip_potekko

  • 取材・撮影・文=井口エリ
  • 掲載されているデータは2025年9月現在のものです。変更となる場合がありますので、お出かけの際には事前にご確認ください。
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