トレたび JRグループ協力

2021.11.25旅行今が旬! 観光列車「etSETOra(エトセトラ)」と観光船「SEA SPICA(シースピカ)」でめぐる、1泊2日広島名物グルメ旅

船と鉄道がつなぐ、秋の広島

秋も日に日に深まり、次の季節の予感も感じる今日この頃。
今回はこの時期だからこそ楽しみたい、とっておきの広島をご紹介したいと思います。

1泊2日の旅で、グルメと魅力的な乗り物を組み合わせるプラン。旬を迎えた牡蠣はもちろん、広島といえば欠かせない「お好み焼き」、瀬戸内のクルーズ船&観光列車で、今の広島を満喫しちゃいましょう!


今回は海と鉄道を駆使して広島を楽しみます!

広島へ行く前に…広島にどう行く?

なんといっても新幹線が便利

各地から広島へのアクセスはやっぱり新幹線がおすすめ! 新幹線ならダイレクトに広島駅に向かえるのは大きなメリットです。

東海道・山陽新幹線のWeb予約サービス「エクスプレス予約」を使用すれば、通年いつでも通常の紙のきっぷよりも、お得に指定席が利用可能。指定した列車の出発前かつ改札通過前であれば何度でも列車・座席位置の変更もできるので、急な予定変更にも柔軟に対応できるのも便利!


広島駅は全ての新幹線が停車します。乗り換えせずに街の中心地に行けるのは新幹線の大きなメリット

関西圏発ならお得なきっぷを要チェック!

また、関西圏から広島エリアに出発するなら、各種お得なきっぷも販売中!

単純に広島で周遊するのがお得というきっぷだけではなく、例えば「松山・広島割引きっぷ」なら、行きは出発地から新幹線で広島エリアへ。帰りは高速船で松山へ渡り、四国から特急と新幹線で帰るといったユニークなルートが楽しめます! 現在、「四国ディスティネーションキャンペーン」が開催中で、この期間中限定(2021年12月27日まで)で、広島・小倉・博多発の設定も発売中。

ほかにもサイクリストに人気の高い尾道で、オリジナルの「SHIMANAMI LEMON BIKE」が借りられる、新幹線・レンタサイクル・航路がセットになった「尾道しまなみサイクリングきっぷ」や、人気観光施設9施設の入場券とエリア内フリーきっぷ、新幹線がセットになった「宮島・瀬戸内ぐるりんパス」も発売中。各種のおトクなきっぷは細かな購入期限や利用人数制限があるので、詳しくはこちら(https://www.jr-odekake.net/navi/setouchi_dc/)をご確認ください。

1泊2日で、移動も楽しい広島グルメ旅!

いよいよ本格シーズンへ! 「島田水産」で広島の牡蠣を食べて「学ぶ」

旅の魅力といえばやっぱり食は欠かせない! ということで、いよいよ本格的なシーズンを迎えた牡蠣を絶好のロケーションで味わいましょう。
国内でもトップの生産量を誇る牡蠣ですが、宮島の周辺ではその養殖の様子を見ることができます。JR山陽本線宮島口駅から徒歩約10分のところにある「島田水産」では、自社養殖の牡蠣をとっておきのロケーションで食べられます。


宮島観光の玄関口「宮島口駅」へは広島駅からJR山陽本線で30分ほど西へ

自社で水揚げした牡蠣が自慢の「島田水産」

そのとっておきのロケーションとは…なんと桟橋!「オーシャンビュー桟橋」と名付けられたこちらは、対岸に宮島を見ながら炭火で牡蠣を焼き上げる! 焼き牡蠣のほか、カキフライと、カキ飯がついた「かきフライ定食」などもあります。


こちらがオーシャンビュー桟橋。対岸に見えるは宮島だ


島田水産自慢の牡蠣を炭火焼き! 焼き牡蠣1キロ1210円

カキフライ定食は1100円

牡蠣を味わった後は今度は牡蠣について学んでみましょう。
「島田水産」では、この桟橋から船に乗り、実際に牡蠣を養殖している「牡蠣いかだ」を見学できる遊覧コースも実施中。しかも牡蠣いかだに設置された「特別ステージ」があるので、より間近に牡蠣養殖の現場を見ることができます。さらに厳島神社を海上から見られるのも嬉しい!!

食卓に届くまで本当に多くの人の手と時間がかかるのが牡蠣という食べ物で、思わず「いただきます」の言葉の意味をあらためて考え直してしまいました。


牡蠣を育てる「牡蠣いかだ」を間近で見られる「漁場紹介と厳島神社沖遊覧」は、大人2200円で9:00・11:00・14:00発の1日3便。厳島神社の大鳥居は現在修復工事中で終了まではあと1〜2年かかるそうだ


「島田水産」特製の牡蠣いかだステージ。見学をしながら牡蠣にまつわる深いお話をたくさん教えてくれる

「OKOSTA」で、広島のお好み焼きを「焼いて」、技を「学ぶ」!

牡蠣と並んで欠かせない広島グルメのお好み焼き
たっぷりの千切りキャベツに薄く焼かれた生地と食べ応えのあるそばにコクのあるオタフクソース…ああ、こうして書いているだけでお腹が空いてきます。市内には数えきれないほどのお好み焼き屋さんがありますが、せっかくなら牡蠣に続いて、お好み焼きについても「体験学習」をしてみましょう!


普通のお好み焼き屋さんとはちょっと、いや、かなり違う、オタフクソースが運営する 「OKOSTA」

JR広島駅併設の商業施設の「ekie」。ここはお土産から広島の味、駅弁までなんでも揃う素敵な施設なのですが、この1Fにある「OKOSTA」というお店がちょっと面白いんです。
名前から分かる通り、お好み焼きのお店には変わりないのですがこちらのお店では、自分が食べるお好み焼きを自分で焼いて作ります!


オリジナルエプロンとコテを持っていざ、お好み焼き作りに挑戦!

オタフクソースの社員の中でも「お好み焼き士」の資格を持った方だけが、ここで先生をすることができる

といっても、広島のものに限らず、お好み焼きは完成までにたくさんの手順と技があるため、なかなかすぐに1人では焼けません。そこで「OKOSTA」ではお好み焼きの先生である「お好み焼き士」さんが丁寧に手順を追って焼き方をレクチャーしてくれます。
自分で焼いた、とっておきの一枚はお店で食べるそれとはきっと味も違うはず! 体験は1人からOKです。


生地をひっくり返す瞬間はみんな無口に


ちなみ僕はキャベツが飛び出しましたが…

先生に励まされ無事に完成!!

「SEA SPICA」で特別な船旅へ

広島の味を楽しんだ翌日は、広島ならではのルートで旅を続けていきましょう。

広島は「ひろでん」の愛称で親しまれている路面電車、広島電鉄が広大なネットワークを持ち、総延長は路面電車としては日本一(軌道線・鉄道線を合わせて)!
鉄道大好きな僕としては「ひろでん」もとっても大切な広島名物ですので、まずはこちらに乗って広島港へ。


現在リニューアル工事が行われている広島駅。リニューアル後はひろでんがJR広島駅に直結!

広島の顔「ひろでん」。 広島港へは5号線で。交通系ICも利用可能

広島港からは瀬戸内の島々を結ぶ船のほか、松山への航路も充実しており、四国へ足を伸ばすことも可能です。

そんな中、今回僕がおすすめしたいのは観光型高速クルーザーの「SEA SPICA」という船!
瀬戸内の島々を経由し、しばしの下船観光を楽しみながら広島の海を東西に結ぶ、観光に特化した高速船なんです! 濃紺とホワイトがまぶしいこの船はエクステリアだけでなく、インテリアもとっても素敵。
実は「SEA SPICA」のデザインは、「WEST EXPRESS銀河」のデザイナーである川西康之さんが担当しています。


2020年に就航した「SEA SPICA」。2階建て構造の観光特化型の高速クルーザー!

「SEA SPICA」は現在、広島港と三原港を月・金・土日祝日に1往復運航中で、事前予約が必要です。
最もシンプルなプランなのが「SEA SPICAお手軽乗船プラン」で、三原に向かう「東向きコース」と広島に向かう「西向きコース」があり、どちらも大人6500円となっています(10〜12月の料金)。

かねてから思っているのですが、旅の途中に「船旅」を入れるとぐっと旅感が高まる気がします。
この日乗船したのは「SEA SPICA」の東向きコース。広島港を8時30分に出港し、途中、航行中の船内からの見学、下蒲刈島と大久野島で観光下船をしつつ、13時15分に三原港に到着します。

なお、西向きコースは下蒲刈島ではなく、大崎下島に立ち寄ります。乗船は広島港のほか、プリンスホテル前、呉港でも可能で、途中経由する生口島瀬戸田港での下船もできます。逆に西向きコースは三原港、瀬戸田港で乗船、呉港、プリンスホテル前、広島港で下船できます。


「SEA SPICA」船内はこちらをチェック!

2020年10月よりクルージングがスタートした「SEA SPICA」。
その船内を、村上悠太が写真満載でレポート。

新しい観光型高速クルーザー「SEA SPICA」完成! 気になる船内はこうなっている

東向きコース1箇所目の観光下船港となる下蒲刈島は、かつて朝鮮通信使が来日した際に藩の玄関口として接待歓迎した歴史を持つ島。
その歴史的資料が展示されている「松濤園(しょうとうえん)」では「SEA SPICA」の乗船者向けにガイドさんによる案内も行われています。


下蒲刈港ではアットホームな売店がオープン

今のシーズンは地産のレモンも旬を迎える


島の歴史を伝える「松濤園」

続いて下船可能な大久野島「うさぎ島」の愛称でも有名な島で、島内にはたくさんのうさぎが生活をしており、船が着くと桟橋のすぐそばまで愛らしい姿で出迎えてくれます。大久野島到着前には船内で「うさぎのエサ」の販売もあるので、ぜひ!


たくさんのうさぎが住んでいる「大久野島」。やさしくそっとご挨拶しよう

大久野島停泊中の「SEA SPICA」。瀬戸内の島はどこもゆったりとした心地よさがある

終着地三原は、JRの駅と港が徒歩8分程度と、航路と鉄路の相性が最高に良い場所! ということで、広島までは鉄道で帰りましょう。

ただ、その前にちょうどお昼時ということで、ここで三原名物を一つご紹介。海に面した広島は牡蠣に代表されるように海産物が有名ですが、ここ三原はタコが名物。市内にはタコ料理自慢のお店がいっぱいあります。刺身はもちろん、揚げても、煮ても、ご飯と炊いても絶品なタコ料理をぜひご堪能あれ!


三原港近くの「和食処 登喜将」のたこお手軽コース(3200円)。生タコの刺身が食べられるかはその日の漁次第!

三原駅は山陽新幹線「こだま」も停まる駅ですが、せっかくならオーシャンビューが美しい呉線を走る観光列車「etSETOra」を選ぶのが正解です!

現在、「SEA SPICA」と同じく月・金・土日祝日に、「etSETOra」が尾道駅〜広島駅間で運転中。「SEA SPICA」の三原港到着が13時15分、「etSETOra」の三原駅出発は14時54分とタコ料理を食べてもゆったりと乗り継ぐことができます。


尾道〜広島で運行中の観光列車「etSETOra」。旅程が決まったらすぐにグリーン車指定席の確保を!

ちなみに先に「etSETOra」に乗る逆ルートでも三原駅到着が12時18分、「SEA SPICA」の三原港出港が13時25分なのでこちらもゆとりを持って港へ向かうことができます。
ただせっかく「etSETOra」に乗るなら、「ある理由」から広島行きの復路便がおすすめなのですが、そのワケは追って解説していきます。


ビュースポットでは一時停止や徐行のサービスも実施

2両編成の「etSETOra」は全席グリーン車指定席の観光列車で、利用には普通列車指定席グリーン券を事前に購入しておく必要があります。三原駅から広島駅まではおとな2340円、こども1670円です。

瀬戸内の海をモチーフにした車両デザインで、車内もどこか船のニュアンスを感じるインテリアになっており、海側を向いた席やテーブル席が並びます。


シートモケットとアレンジが異なる「etSETOra」の車内。オレンジを基調としているのが1号車

グリーンの方は2号車。窓を向いている座席は全て瀬戸内海側となる

1号車には「バーカウンター」があり、車内オリジナルカクテルなどが楽しめます。
実はこのオリジナルカクテルやいくつかのアルコールメニューは復路便のみの提供となるため、「etSETOra」を存分に楽しむためには復路便がおすすめ、というわけなんです!


「etSETOra」最大の特徴の「バーカウンター」。広島ならではのアルコールメニューが充実!


県産クラフトジン「桜尾」を使用したオリジナルカクテル「SETOUCHI BLOSSOM」(700円)

東広島市マルイチ商店の「牡蠣のオリーブオイル漬け」(500円)

「アルコールはちょっと…」という方には事前予約で楽しめる「etSETOra」オリジナルスイーツはいかがでしょうか。
尾道行きと広島行きでそれぞれ2種類のスイーツメニューがラインナップ。どのスイーツも「etSETOra」だけで味わえるメニューになっています。
このスイーツセットの予約は「etSETOra」の公式webサイト(https://www.jr-odekake.net/railroad/kankoutrain/area_hiroshima/etsetora/)か、スマホアプリの「setowa」から行えます。尾道行きは乗車日の3日前15時まで、広島行きは4日前まで予約可能です。


復路便(広島行き)で楽しめる、瀬戸の小箱〜焼〜(白箱)と瀬戸の小箱〜チ〜(それぞれ2000円)

乗車記念にボードを持って一枚いかがですか??

呉線に入ると車窓の主役は瀬戸内海! 時期にもよりますが、瀬戸内海の夕景が楽しむことができるのも復路便ならでは。こだわりのバーメニューと暮れゆく車窓を楽しみましょう。


船をイメージした丸窓から瀬戸の夕日を眺めて旅路はフィナーレへ


「etSETOra」についてもっとくわしく

etSETOra(エトセトラ)―ラテン語と思いきや広島弁!? 名前の由来から車内の様子、オリジナルカクテルなど徹底解説(THE列車)

“えっと(たくさんの)”せとうち広島の魅力をつないでめぐる

「広島ならでは」の体験がたくさん詰まったこのルート。きっとあなたが知らない広島がまだまだあるはずです。
「旅」という文化がちょっとずつ戻ってきた今、各施設や交通機関も新型コロナウイルス感染予防対策をしっかりと施して、元気と笑顔いっぱいにみなさんを待っていますよ!


著者紹介

村上悠太

1987年鉄道発祥の地新橋生まれ、JRと同い年の鉄道写真家。
交通新聞社刊「鉄道ダイヤ情報」では「ユータアニキ」としてあらゆる現場で鉄道を支える「鉄道HERO」たちの取材を続ける。元々旅好きから写真を始めたので、乗り物に乗って旅をしながら写真を撮るのが大好き。

Twitter:https://twitter.com/yuta_murakami
Instagram:https://www.instagram.com/yuta_murakami/

  • 写真/村上悠太
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