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2023.03.27旅行2023年3月16日、奈良線「お茶の京都トレイン」運行開始! 宇治茶の伝統と京の桜をめぐる旅

“お茶の京都”を走る、新デザインの電車が奈良線に登場!

2023年3月、京都府南部の“お茶の京都”エリアにデビューした「お茶の京都トレイン」。第1弾の関西本線(加茂駅~亀山駅)に続き、奈良線にも新デザインのラッピング列車が登場しました。この春、複線化区間の拡大工事も完了し、利便性が高まった奈良線。優美で格調高い「お茶の京都トレイン」に乗って、春爛漫の“もうひとつの京都”を旅してみませんか。
 

奈良線「お茶の京都トレイン」とは?


深いグリーンが印象的な221系「お茶の京都トレイン」

新たなラッピング列車が走りはじめたのは、京都駅~木津駅間の奈良線全線(※)です。
この3月までに京都駅~城陽駅間と山城多賀駅~玉水駅間の複線化事業が完了。列車交換待ちがなくなったことにより所要時間の短縮など、利便性と輸送の安定性が向上した注目の路線です。

奈良線周辺の“お茶の京都”エリアは、宇治市、八幡市、城陽市、京田辺市、久御山町、宇治田原町、井手町、精華町、木津川市の9市町を中心とし、古都・奈良(平城京)と京都(平安京)の中間に位置する地域。
約800年前にお茶の栽培法が伝授されると、製茶技術の工夫や品質の向上が重ねられ、時の天下人にも引き立てられながら日本茶文化の中心的な役割を担ってきました。

「お茶の京都トレイン」は、そんな日本茶文化が持つ上品なイメージを映し取ったようなラッピング列車です。
ちなみに、関西本線(加茂駅~亀山駅)バージョンとはまったく異なるデザインとなっており、細かい模様に至るまで、ひとつとして同じものはありません。

※ 奈良線以外にも大和路線、おおさか東線などで運行される場合があります。

日本茶の代表格「宇治茶」を思わせる色とデザイン

車両には、221系(6両)を使用。“お茶の京都”のコンセプトカラー・常盤緑(ときわみどり)をベースに、新芽のような明るいグリーン、ゴールド寄りの茶色、そして和の伝統意匠として親しまれる「菱模様」が華麗に散りばめられたラッピングデザインです。

菱形の中に描かれている柄模様にもご注目。こちらは「茶畑」「茶葉」「茶道具」を図案化した模様(パターン)となっており、同じ柄は座席ヘッドカバーなど内装のアクセントにも使用されています。
日本茶のトップブランド「宇治茶」の本場ならではの上品さ、和の趣き漂う格調高いデザインは、奈良線を利用する外国人旅行客にも喜ばれそうです。

ココに注目! ①車両を覆う菱模様

外装に描かれた菱模様は、4つの菱形で1組の菱模様をつくり、それが8組連なって車両全体を覆う大きな菱模様となっています。
菱形の中の柄模様は、「茶畑」の風景を図案化したパターン、「茶葉」を散りばめたパターン、「茶道具(茶せん・茶杓)」を配置したパターン、「茶道具(急須・茶碗)」をデザインしたパターンの4通り。ぜひ近くに寄って確かめてみてください。


ココに注目! ②抹茶感満点⁉ 中吊りポスター

インパクトのある中吊りポスターでは、“お茶の京都”エリア内12市町村の風景や名所を、まるで抹茶の粉末で描いたようなグラフィックで紹介。宇治田原町=永谷宗円生家など、全部で12種類あります。
ロゴ横のQRコードを読み込むと、英訳サイトにアクセスできる仕掛けも。


ココに注目! ③オリジナルの座席ヘッドカバー

座席のヘッドカバーは「お茶の京都トレイン」奈良線オリジナルのカラーリング。明るめの金茶色をベースに、外観の菱模様でも使用している「茶葉」の柄がアレンジされています。


ココに注目! ④読んでタメになる! 車内ポスター類

窓上広告スペースのポスター「いっぷくこぼれ話」にもご注目。お茶の名産地ならではのエピソードや、おいしい茶葉を作るための工夫など、ついつい読みたくなる豆知識が全部で6話紹介されています。


ドア上ポスターや額面ポスターも「お茶の京都トレイン」のオリジナル。こちらにもラッピングと同じ菱模様がキーデザインとしてあしらわれています。


3月16日、奈良線 宇治駅での出発式に密着!


奈良線の「お茶の京都トレイン」運行開始日となった3月16日、京都府の西脇隆俊知事ら主催者・来賓一同が列席し、宇治駅にて出発式が執り行われました。

式典では西脇知事から「2日後(3月18日)には六地蔵駅の新駅舎が開業し、何といっても奈良線がいよいよ複線化開業するということで、さらに観光客を呼び込み“お茶の京都”エリア全体の魅力向上に努めたい」との挨拶がありました。

真新しいラッピング列車がホームに入線したのは、宇治市の松村淳子市長が挨拶に立ったその時。松村市長は「しっかりと“お茶の京都”の玄関口として役割を担ってまいりたい」と述べ、「私自身、早く(この列車の)中に乗りたいと思います」と祝辞を締めくくりました。

主催者・来賓によるテープカットの後、関係者一同は「お茶の京都トレイン」に乗車。地元こども園の園児たちから元気なお見送りを受け、10時49分「お茶の京都トレイン」が京都駅に向けて出発しました。居合わせた一般客からは、見慣れぬ電車に驚く様子や、「乗ってみたい」という反応もありました。


列車情報

運転日 令和5年3月16日(木)から3年程度
運転区間 奈良線 京都駅~木津駅 間 ※他の路線も走行する場合があります。
備考 普通列車のため、運行ダイヤは未定

お茶の本場に受け継がれる 技術や精神に触れる

奈良線の「お茶の京都トレイン」が走るのは、平安時代に王朝貴族が別荘を営み、武家の時代には天下を左右する軍勢が往来した歴史的背景を持つ山城地域。鎌倉時代にお茶の栽培法が伝えられてからは、約800年にわたりお茶文化が育まれてきました。

京都駅から奈良線を南下して最初の“お茶の京都”は宇治市。日本茶を代表する「宇治茶」の本場です。平等院など世界遺産の名所が不動の人気ですが、抹茶スイーツのお店やお茶に関する新施設が今、注目を集めています。

城陽市は梅どころとして有名ですが、実は数々の受賞歴を誇る「碾(てん)茶」の栽培地。この春複線化された山城多賀駅~玉水駅がある井手町は、のどかな田園風景と里山の自然が広がる名水の里です。
奈良線より東の山間部には、お茶の歴史を語る上で欠かせない“日本緑茶の祖”永谷宗円を生んだ宇治田原町があります。

奈良線の西に広がる“お茶の京都”は4市町。京都市から宇治川を挟んで南・久御山町には、知る人ぞ知る桜の名所も。八幡市は、国宝社殿が並ぶ石清水八幡宮や松花堂庭園などが点在する歴史のまち。京田辺市は、一休禅師ゆかりの酬恩庵一休寺が有名で、最高峰のお茶「玉露」の生産もさかんです。精華町は豊かな自然と先端研究施設が共存する関西文化学術都市の中心地です。

それぞれの市や町に息づくお茶の文化や精神、悠久の歴史を訪ねて“お茶の京都”を旅してみませんか。

おすすめスポット① 茶摘みも体験できる!「お茶と宇治のまち歴史公園 茶づな」


お茶のことや宇治のまちを総合的に知りたい方におすすめなのが、2021年にオープンしたこの施設です。史跡を整備した歴史公園内に交流館「茶づな」があり、市内の観光名所、お店の情報などをタッチパネルやカードを使って楽しく紹介。
有料エリアのミュージアムでは、宇治茶の基礎知識や素朴な疑問から宇治市全体の歴史の流れまで、わかりやすく学べます。
施設ではお茶に関する日替わりの体験プログラムも人気。4月中旬~5月には公園内の専用茶園にて茶摘みが体験できます。

※体験プログラムのスケジュール・予約は ホームページ をご確認ください。


お茶と宇治のまち歴史公園 茶づな

住所 京都府宇治市菟道丸山203-1
問い合わせ先 0774-24-2700
時間 9:00~17:00
定休日 なし
交通アクセス 奈良線 宇治駅より徒歩約12分
駐車場 あり
値段 入館無料〔ミュージアム入場は一般600円、小人(小・中学生)300円、幼児無料〕
URL https://uji-chazuna.kyoto/

おすすめスポット② 京都の穴場桜スポット「前川堤の桜並木」


久御山町は、かつて京都・伏見の南に広がっていた巨椋(おぐら)池の干拓地の一角にあるコンパクトタウン。
干拓事業で整備された水路・前川の両岸には約200本の桜が植樹されており、見頃を迎えると、東一口(ひがしいもあらい)地区の前川堤を満開のソメイヨシノが覆います。

平成7年に「京都の自然200選」に選定されており、晴れた日に水面に映り込む桜並木は、知る人ぞ知る絶景。夜はぼんぼりのライトアップに花が浮かびあがる風情を味わえます。


前川堤の桜並木

住所 京都府久世郡久御山町東一口丸島
交通アクセス 京阪本線 淀駅よりタクシーで約10分/京阪本線 中書島駅・近鉄京都線 大久保駅より京都京阪バスで「東いもあらい」下車、徒歩約5分
駐車場 なし
URL https://www.town.kumiyama.lg.jp/0000000357.html

おすすめスポット③ 献上茶奉納も行われる「石清水八幡宮」


京阪電車に乗り八幡市へ。平安京の裏鬼門を守り、木津川・宇治川・桂川の三川が合流する要衝の地、男山に鎮座するのが石清水八幡宮です。境内には山上特有の澄んだ空気が漂い、荘厳な社殿群(国宝)が立ち並びます。

お茶との関わりも深く、年に4度の献茶祭が行われます。秋には、山城地域の茶業家が設立した石清水八幡宮献茶講による献上茶の神事(秋季献茶祭)、奉納茶の審査品評会発表や茶葉の展示も開催されます。
春は山全体が桜の名所となり、「男山桜まつり」として、神苑茶室でのお茶席などさまざまな祭典行事が催されます。


石清水八幡宮

住所 京都府八幡市八幡高坊30
問い合わせ先 075-981-3001
時間 南総門6:00~18:00(年末年始は異なる)
定休日 なし
交通アクセス 京阪本線 石清水八幡宮駅より石清水八幡宮参道ケーブル「八幡宮口駅」~「八幡宮山上駅」下車、徒歩約5分
駐車場 あり
値段 境内自由
URL https://iwashimizu.or.jp/

おすすめスポット④ 緑茶発祥の地で手もみ体験も!「宗円交遊庵やんたん」


宇治駅からバスで向かうは宇治田原町。地元で「やんたん」と呼ばれる湯屋谷(ゆやだに)地区は、江戸時代にお茶づくりを革新した偉人・永谷宗円が生まれ育った地。宗円が15年かけ開発した技術「青製煎茶製法」は、今に続く緑茶の原点です。

地元住民が運営する観光交流施設「宗円交遊庵やんたん」では、宗円の製茶法と同じ焙炉(ほいろ)を使った煎茶の手もみが体験できます(要予約)。
もちろん茶農家自慢の商品も販売。カフェでは産地ならではの宇治茶メニューが楽しめます。


宗円交遊庵やんたん

住所 京都府綴喜郡宇治田原町湯屋谷尾華21
問い合わせ先 0774-46-8864
時間 3~10月は10:00~17:00、11~2月は10:00~16:00
定休日 水曜・木曜、年末年始 ※3月30日までは臨時休館
交通アクセス 奈良線 宇治駅より京都京阪バス「工業団地口」下車、徒歩約20分
駐車場 あり
値段 入館無料、体験はプログラムによって異なる
URL https://www.sk-yantan.com/

人々を癒す豊かな自然も魅力

市街地を抜け、郊外や田園風景を走る奈良線の“お茶の京都”には、自然を楽しむレジャースポットも豊富です。

城陽市・鴻ノ巣山運動公園内の「ロゴスランド」は、全天候型のキャンプホテル。公園内のアスレチックで身体を動かしてから大浴場、テラスでたき火など、気軽にアウトドアを体験できます。
また、井手町の「大正池グリーンパーク」は、ため池を中心に里山と森林が広がる自然公園。カヤックやトレッキング、釣り、キャンプなど、初心者から上級者まで楽しめる野外レジャーの宝庫です。
絵になる日本庭園が広がるのが、精華町の「けいはんな記念公園」。巨石群や竹林など変化に富む庭園と四季折々に咲く草花が、訪れた人の心を癒してくれます。
もちろんお茶も自然の恵み。京田辺市には、名産の玉露を自分で淹れて、本物を体験できる「京たなべ玉露庵」が昨年オープンしました。

都会からほんの少しの距離で出合える自然の豊かさ、美しさ、おいしさが、“お茶の京都”にはたくさん待っています。


ロゴスランド

大正池グリーンパーク


けいはんな記念公園

京たなべ玉露庵(京田辺市観光案内所)


関西本線「お茶の京都トレイン」はこちら


  • 提供:一般社団法人 京都山城地域振興社(通称:お茶の京都DMO)
  • 文:湯浅雅晴
  • 撮影:松本洋一
  • 写真:宇治市、八幡市、城陽市、京田辺市、久御山町、宇治田原町、井手町、精華町
  • 花の見頃は、その年の気象状況などにより異なります。
  • 掲載されているデータは2023年3月現在のものです。変更となる場合がありますので、お出かけの際には事前にご確認ください。
  • QRコードは(株)デンソーウェーブの登録商標です。
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