トレたび JRグループ協力

2020.11.17鉄道絶景鉄道! 鉄道写真家・村上悠太が写す、人と列車と場所をつなぐ「橋」のある風景

ロマンあふれる! 列車+橋りょうをカメラにおさめる

1つ渡るごとに旅のロマンが高まる「橋」。今回は橋りょうをテーマに6枚の写真をご紹介していきたいと思います。山沿いから海岸線にかかる橋まで、素敵な鉄道風景を作り出してくれている橋りょうのある光景をまとめてみました。

いよいよシーズンイン! 日本を代表する鉄道風景


今年はN700Sとのコラボを撮りに行きたいこの撮影地

日本の最重要鉄道路線のひとつである東海道新幹線。これからのシーズンは富士山が特に美しくみられる季節になっていきます。小田原の手前から静岡の先までかなり長い区間で見ることのできる富士山ですが、最もきれいに見られるのはやはり富士山に最接近する三島〜新富士、そしてこの富士川橋りょうの付近です。東海道新幹線の中で最も長いこの橋りょうは、富士山と東海道新幹線の撮影地としても人気の高い場所です。富士山がきれいに見えるのは、快晴予報の日ほか、前日が雨で翌日が晴れる日などが特に狙い目です。雨によって空気中のチリなどが洗い落とされるので、クリアな視界になることが多いためです。あとは寒いシーズン、つまりまさにこれからが富士山をクリアに見ることのできる最適なシーズンとなります。

さて、そんな富士川橋りょうですが、撮影するには少しコツがいる撮影地でもあります。この鉄橋は「トラス橋」と呼ばれるタイプで、列車の前に鉄柱がかかる橋になります。これが「橋を渡っている」感じがして、画面の中にアクセントを作ってくれるのですが、一方で問題となるのが列車を写し止める位置です。鉄柱が列車にかかってしまうのは構造上仕方ないのですが、先頭部やヘッドライト、ロゴマークなど隠れてしまうとやや気になる箇所はなるべくかわして撮影したいところです。しかし、走っているのは超高速で走行する新幹線!シャッターチャンスは本当に一瞬です。高速連写できるカメラで撮影してもなかなか「アタリ」がくることも少ないため、一瞬のチャンスを逃さないように全集中してシャッターを切っています。


撮影地:東海道新幹線 新富士〜静岡

【村上悠太のワンポイント】
最近では有名になってきましたが、富士山が見られるのはE席側(普通席の場合)だけではないのをご存知ですか?実は静岡駅の南側、安倍川の付近では線路が真南を向くためA席からでも一瞬富士山を見ることができます。

冬の日本海を望む五能線の橋りょう風景


五能線の日常を支えたキハ40系もまもなく引退です

どこまでも広がる青い海を眺めながら、海岸線をゆく五能線。五能線というと夏の風景がよく登場しますが、冬も絶景風景が楽しめる路線です。夏は穏やかで色鮮やかな青い日本海が心地よい路線ですが、冬の風景はその印象が一変し、風雪とともに生きる日本海の冬景色が広がります。ときにはその厳しい環境から列車の運行に影響が出ることもありますが、それでもその土地の四季とともに存在する鉄道風景は、鉄道の大きな魅力の一つだと感じています。五能線は観光列車「リゾートしらかみ」が運転され人気の高い列車ですが、日常の五能線に触れるのであれば、やはり普通列車が走る風景のほうが様々な思いを馳せることができるのではないでしょうか。そんな五能線の日常だった「キハ40系」もラストランが近づいており、その活躍はまもなく最後を迎えようとしています。

冬の東北、特に日本海側は天気の変化が激しく、1日を通して同じ天気という日はあまりありません。雪予報でも急に晴れたり、逆に晴れ予報でもすぐに雪雲がやってきたりとカメラの設定や構図を臨機応変に変更しなくてはいけません。この時も列車が来る直前までまさに曇天という天気だったのですが、遠くに列車のヘッドライトが見えた瞬間に、雲間から光が差込み、岩場を照らしました。
なお、このような波打ち際での撮影ではしぶきがかかることも多いので、撮影後はすぐにカメラ機材を真水で濡らし固く絞ったタオルで念入りに拭きましょう。以前、次の撮影に急いだあまり、三脚を拭くのを忘れ、しばらく経ったあと錆び付いて固着してしまった痛い経験があります。


撮影地:五能線 岩館〜大間越

【村上悠太のワンポイント】
2020年11月7日より五能線の一部の普通列車で引退を記念した特別なサボ(行先票)をつけた列車が運行中。
これからのシーズンに五能線に向かう際はお出かけ前に運行情報をまめにチェックしましょう。

極寒だからこそ見られる、川面に現れる「ある風景」


氷の量は日によって異なります。風や気温の影響で情景が大きく変わっていきます

道東釧路、冬の鉄道風物詩、SL冬の湿原号。本年度も2021年1月23日から土休日を中心に運転が予定されています。運転期間の道東は一年の中でも特に冷え込みの厳しい時期です。でも冷え込みがすごい時ほど、普段はなかなか見ることのできない自然現象がみられます。道東の冬は積雪もしますが、どちらかというと東北の太平洋側のように比較的晴天の日が多く見られ、積雪はあまり多くありません。冬の晴天は「放射冷却」が起きるので、道東の冬は雪景色というよりも、氷点下20度を超える「冷え込み」による冬ならではの風景が見られるのが特徴です。

釧路川橋りょうは冬の湿原号が出発して、最初に渡る橋です。速度を徐々に上げて標茶を目指すSLの勇姿が見られる場所で、釧路の街中ということもあり、撮影者も多いスポットです。日々の冷え込みが厳しいシーズンになると、この写真のように川面が凍る「結氷」と呼ばれる自然現象が現れます。特にこの現象がよくみられるのは、放射冷却が起きて冷え込んだ夜の翌朝です。このシーズンに道東を訪れる際は天候だけでなく、最低気温もチェックしてみましょう。この「結氷」のほか、霧氷なども氷点下15度を切ってくるとよく見られる現象です。ただ、冬の湿原号の運行時間が昼間なので、どうしても霧氷は溶けてしまいます。そんな中、この結氷は日中でも比較的よく見られる低温地特有の現象なので、ぜひ注目してみてください。もちろん車内からも見ることができます。


撮影地:根室本線 釧路〜東釧路

【村上悠太のワンポイント】
その日によってビッシリ凍っていたり、部分的に凍っていたりと条件が変わる「結氷」。街中でも身近に見られる極寒の自然現象です。

橋りょうで川を越えて山越えて。中国山地を縦断する重要幹線


人気列車のほか貨物列車も走り、鉄道ファンとしては今アツい路線の伯備線

倉敷から北上し、高梁川とともに走る伯備線は、現在では超レアな定期寝台特急列車「サンライズエクスプレス」が走り、さらには国鉄型特急車両381系を使用している「やくも」、そして新しく登場した「WEST EXPRESS銀河」も走る、話題の路線です。中国山地を縦断して山陽と山陰を結ぶ幹線で、四季折々の美しい風景が魅力です。山間路線なので、橋りょうも多く、高梁川も何度も繰り返し渡って走っていきます。伯備線を走る「サンライズ出雲」は上り列車は夜間の走行になるので車窓は期待できませんが、出雲市を目指す下り列車なら、倉敷が6:47発と冬季でも十分に伯備線内の車窓を楽しむことができます。

山陰地方は降雪地域ですし、伯備線も特に新見から先などは雪景色になることがままあります。かつては北行きの寝台特急も多く、「目が覚めたら雪景色」なんて旅情も身近な存在でしたが、現在では思い出話になってしまいました。ですが、サンライズ出雲であれば、まだそんな寝台特急の旅、長距離特急ならではのロマンを体験することができます。人気の高い列車なので、旅の予定が決まったらまず一番に寝台券を手配しましょう。車内は個室主体のデザインになっており、施錠もできるので一人旅でも安心して過ごすことができます。


撮影地:伯備線 方谷〜井倉

【村上悠太のワンポイント】
カーブも多く、山深い雰囲気の伯備線は乗っても撮っても楽しい路線。最近は木々の成長もあり、やや見通しが悪い撮影地も増えてきました。

清流に架かる橋の数々。川とともに生きる町をつなぐ鉄路


予土線を文字通り体感できる「しまんトロッコ」。土休日を中心に、期間限定で運行されます

清流四万十川を縫うように走る予土線。大きく蛇行しながら流れる四万十川に対し、予土線は直線的にその真ん中を貫くように走っていきます。途中には2013年に当時の日本最高気温を記録した観測地のある江川崎駅、難読駅でありながらその読み方が特徴の半家駅、年号が続く土佐昭和駅・土佐大正駅など魅力が満載!特に江川崎駅から歩いて15分少々のところにある道の駅は、四万十川沿いの道の駅の中でも特に賑わっていて、地元の味や特産品を購入したり、レストランで地産の味を楽しんだりすることができておすすめです。江川崎にはホテルもあるので宿泊地としても便利です。

予土線では通常の気動車のほか、「予土線3兄弟」として少し変わった列車が走っています。新幹線0系をモチーフにした「鉄道ホビートレイン」、かっぱが描かれている「海洋堂ホビートレイン」、そして山吹色の車体が特徴の「しまんトロッコ」です。「しまんトロッコ」は、1号2号ともに江川崎〜土佐大正間でトロッコ車両に乗車することができ、貨車を改造した開放感あふれる車両では四万十川の空気を存分に満喫することができます。所々で徐行運転を行うほか、橋上でもゆっくり走るので眺めを楽しむのには最適です。トロッコの乗車には、乗車券のほか座席指定券(おとな530円こども260円)が必要で、土休日を中心に2020年は11月29日まで運行されます。


撮影地:予土線 土佐昭和〜土佐大正

【村上悠太のワンポイント】
四国の鉄道路線の中でも特に奥地を走る予土線は魅力満点。静かな山と川の佇まいに心身ともに癒されます。

36ぷらす3も走る、日向灘を眺める名物橋りょう


日向灘に昇る朝日が美しい小丸川橋りょう

本州に比べて日の出が遅い九州。冬至の時期になると宮崎県では7時よりも日の出が遅くなる日も少なくありません。日の出が遅い分、列車と朝日、朝焼けを絡めた撮影や、列車から朝日を見られるチャンスが多くなります。この日豊本線小丸川橋りょうは、日向灘に向けて大きく河口が広がっている川で、列車から見ると日向灘の雄大な眺めが窓いっぱいに広がります。宮崎県は九州の東側ですので、日向灘から朝日がやってきます。この写真のように小丸川橋りょうは全長805mにもなる長大な橋で、背景に風景を遮るものがなにもありません。そのため、この写真のように朝焼けのグラデーション、それを映す川面、そして列車のシルエット。そんな写真を簡単に撮影することができます。

そして、2020年10月にデビューした最新のD&S(デザイン&ストーリー)列車である「36ぷらす3」の土曜日コースもここを走行します。通過時間帯はお昼ごろで、晴天に恵まれれば日向灘の美しいエメラルドブルーが河口まで溶け込んで、宮崎の元気いっぱいの太陽とともに魅力的な光景が繰り広げられます。ちょうど食事付きのコースなら食事のサーブが行われるころにこの橋を通過するので、「36ぷらす3」こだわりの地元食材をふんだんに使った車内だけでしか味わえない食事と、宮崎の絶景を楽しむことができます。さらに「36ぷらす3」はこの小丸川橋りょうを通過する際に最徐行するサービスも実施。新しい九州の列車旅が体験できるのでぜひ乗ってみてくださいね。


撮影地:日豊本線 高鍋〜川南

【村上悠太のワンポイント】
「36ぷらす3」は食事つきのコースのほか、指定席発売機やみどりの窓口で空席があれば直前まで購入できる「グリーン車プラン」もおすすめです。

「橋りょう」自体も奥深い世界

橋を架けるということはなにかを超える必要があるからなのですが、そうした川や渓谷はその昔は文化や生活の境界線でもあった場所があります。さらに橋りょう自体にも設置する場所ごとに様々な工法や工夫があり、調べてみると非常に興味深い世界でもあります。皆さんもぜひ橋りょうのある風景に出会いに行ってみてください。


著者紹介

村上悠太

1987年鉄道発祥の地新橋生まれ、JRと同い年の鉄道写真家。
交通新聞社刊「鉄道ダイヤ情報」では「ユータアニキ」としてあらゆる現場で鉄道を支える「鉄道HERO」たちの取材を続ける。元々旅好きから写真を始めたので、乗り物に乗って旅をしながら写真を撮るのが大好き。

Twitter:https://twitter.com/yuta_murakami
Instagram:https://www.instagram.com/yuta_murakami/

  • 写真/村上悠太
  • 掲載されているデータは2020年11月現在のものです。変更となる場合がありますので、お出かけの際には事前にご確認ください。

登場路線・列車はこちらもチェック!


東海道新幹線

THE列車 N700A

THE列車 N700S

左の写真はN700A。白のボディに青のラインが伝統のデザインで、東海道新幹線を毎日走っています。


SL冬の湿原号

THE列車 SL冬の湿原号

銀世界が一面に広がる釧路湿原の雪景色のなかを走る「SL冬の湿原号」。蒸気機関車C11形171号機が、14系+43系客車の5両編成を牽引(けんいん)します。


サンライズ出雲

寝台列車 寝台特急「サンライズ出雲・瀬戸」に乗ってみよう!きっぷの種類、乗り方、寝台のタイプも解説

漆黒の闇の中に流れ去っていく町の灯を眺めながら、仕事や学校のこと、家族や愛する人のことなど……、じっくりと時間をかけて見つめ直してみる、なんてことも夜汽車ならではの醍醐味かもしれません。
今度の旅は、いつもとはちょっと趣向を変えて、寝台特急で出かけてみませんか。


予土線

予土線 途中下車の旅

予土線は愛媛県(伊予)の北宇和島駅と高知県(土佐)の若井駅を結ぶ路線。沿線の多くは里山と山間部で、広見川や四万十川など絶景車窓が楽しめる。

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