名古屋と伊勢・鳥羽エリアを結ぶ快速列車
名古屋駅と伊勢・志摩方面を伊勢鉄道線経由で結ぶ快速列車が、高いグレードと汎用性を兼ね備えたキハ75形気動車で運転される快速「みえ」です。名古屋駅では東海道新幹線「のぞみ」との接続が図られており、東京方面から新幹線名古屋駅乗り継ぎで松阪・伊勢市・鳥羽方面へ向かうことができます。
名古屋駅を発車した列車は関西本線に入り、途中の桑名駅と四日市駅に停車します。関西本線は亀山駅を経由して奈良駅方面へと向かいますが、この列車は河原田駅から第三セクターの伊勢鉄道線に入ります。途中の鈴鹿駅に停車すると、次の停車駅は紀勢本線の津駅となります。松阪牛で全国的に有名な松阪市の玄関口・松阪駅に停車した列車は、次の停車駅の多気駅で紀勢本線と分かれて参宮線に入ります。
水田地帯を抜け、明治時代に架設された宮川橋梁を渡ると、列車は間もなく伊勢市駅に到着します。伊勢神宮の参拝下車駅として賑わうところで、隣接して近畿日本鉄道山田線のホームがあります。伊勢市駅を発車した列車は、やがて左手車窓に池の浦と呼ばれる静かな入り江の風景を映して走り、海洋観光都市として知られる終着の鳥羽駅に到着します。
鉄道コンシェルジュ ミスターKのとっておき情報
汎用性の高いキハ75形気動車
非電化区間の競争力強化とスピードアップを図るために開発された気動車で、名古屋~伊勢市・鳥羽間の快速「みえ」に導入されており、2両編成または4両編成にて運用されています。ステンレス車体にオレンジ色の帯を巻いた外観デザインで、普通列車での運用も考慮して両開きのドアが片側3箇所に設置されています。なお、低床構造を採用したためドア付近にステップが無く、停車駅での乗降がスムーズに行えます。
最高速度120km/hの高性能車両
特急「(ワイドビュー)南紀」などに使用するキハ85系気動車と同等の高性能を有し、最高速度は120km/hとなっています。特急用と同じく電気指令式ブレーキのほか、機関ブレーキやコンバータブレーキも装備しています。現在、0・100番台6編成12両、200・300番台2編成4両の計8編成16両が基本運用されていますが、200・300番台は貫通扉上にも前照灯を増設したスタイルとなっています。
転換式クロスシートを装備
車内は進行方向に向きを変えられる転換式クロスシート(ドア部分と車端は固定式)を装備していますので、車窓の風景を眺めながら伊勢・鳥羽方面への旅が楽しめます。なお、2両編成のうち1両にトイレが設置されているほか、2両編成の運転時は伊勢市・鳥羽寄りの1号車の半室が普通車指定席、4両編成の運転時は1号車が普通車指定席となります。
特急・快速列車は伊勢鉄道線経由
関西本線は名古屋駅から亀山駅・奈良駅を経由してJR難波駅を結ぶ路線で、途中の亀山駅から紀勢本線が分岐しています。名古屋駅から紀勢本線・参宮線へ向かう特急・快速列車は短絡する伊勢鉄道線を経由となりました。沿線には鈴鹿サーキットへの最寄り駅「鈴鹿サーキット稲生」があり、F1世界選手権日本グランプリなどのレース開催時には、快速「みえ」の一部列車が臨時停車します。
伊勢神宮外宮・内宮参拝
外宮からの参拝がならわしのお伊勢参り。伊勢市駅から徒歩で外宮を巡り、外宮前から内宮前まではバスで移動します。内宮の参拝の後は、宇治橋を渡って「おはらい町」に進みましょう。伝統的な建物が歴史を伝える街並みや約50軒の専門店が軒を連ねる「おかげ横丁」があり、伊勢の伝統文化や伝統芸能、伊勢うどんをはじめとする郷土の味覚を堪能できます。
明治期の参宮線宮川橋梁
参宮線は私鉄の参宮鉄道が前身で、明治26(1893)年12月31日に津駅~宮川駅間が開業しました。明治30(1897)年11月に宮川駅~山田駅(現在の伊勢市駅)が延伸開業した際、宮川駅~山田上口駅間の宮川に架けられたのが、煉瓦製の橋脚にプラットトラス式の宮川橋梁(全長458m)です。昭和5(1930)年にダブルワーレン式に補強されていますが、今も往時の美しい姿を見ることができます。
列車情報
運転日 | 毎日運転 |
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運転区間 | 関西本線・伊勢鉄道線・紀勢本線・参宮線 名古屋駅~伊勢市駅・鳥羽駅間 |
運転時刻 |
下り【1号】名古屋駅 8:37発→鳥羽駅10:38着 【25号】名古屋駅20:33発→伊勢市駅22:12着 上り【2号】伊勢市駅 7:00発→名古屋駅8:49着 【26号】鳥羽駅19:17発→名古屋駅21:10着 ※各初終電のみ記載 |
著者紹介
- ※写真/交通新聞クリエイト、伊勢志摩観光コンベンション機構
- ※掲載されているデータは2020年12月現在のものです。
- ※運転日・運転区間等は変更となる場合があります。