伊勢のパワースポットと鳥羽の絶景の海やアクティビティを楽しむ旅
参宮線は三重県の多気駅からJR鳥羽駅に至るローカル線。路線名が示すように、1893(明治26)年に伊勢神宮への参詣路線として開業。現在は三重県南東部に位置する伊勢・鳥羽エリアの観光路線として利用されている。沿線の一番の見どころは、JR伊勢市駅周辺にある国内屈指のパワースポットのひとつ伊勢神宮。終点のJR鳥羽駅周辺には、鳥羽水族館や鳥羽湾めぐり観光船などの観光スポットがある。伊勢と鳥羽は見どころが多いので、1泊2日のプランで観光しよう!
- ※新型コロナウイルス感染症の影響により、列車の運休や変更、施設の営業変更等が発生することがあります。JRニュースや運行会社、および各施設のHP等をご確認ください。
紀勢本線に乗り、南下して多気駅へ
参宮線の始発駅となる多気駅
多気駅は紀勢本線と参宮線との分岐駅。紀勢本線が乗り入れしているため、観光客はJR名古屋駅や亀山駅からの乗車が多い。駅に隣接して田園が広がる光景は、のどかなローカル駅といった趣だ。
途中下車駅その1 JR伊勢市駅に到着
石畳の参道を歩き伊勢神宮外宮を目指そう!
伊勢神宮は、内宮(ないくう)と外宮(げくう)に分かれるが、外宮から参詣するのが昔からのならわしとされる。外宮に近いJR伊勢市駅は伊勢神宮参詣の表玄関ともいえる。駅構内には観光案内所やお土産が買える売店、コインロッカーがある。
駅前には鳥居が立ち、その先にある参道沿いにはお土産処や飲食店などが立ち並ぶ。5分ほど歩くと、外宮を包む森が見えてくる。
伊勢神宮外宮
国内屈指のパワースポット、伊勢神宮の参詣はまず外宮から
伊勢神宮は、正式には「神宮」といい、天照大御神(あまてらすおおみかみ)を祀る内宮と、衣食住の守り神である豊受大御神(とようけのおおみかみ)を祀る外宮を中心に、別宮(べつぐう)、摂社(せっしゃ)、末社(まっしゃ)、所管社(しょかんしゃ)など計125の宮社からなる。防火のために造られた火除(ひよけ)橋は、外宮への入り口となる。
外宮の創建は、内宮創建から約500年後の478(雄略天皇22)年。雄略天皇の夢に現れた神託に従って、丹波の国から天照大御神の食事を司る神である豊受大御神を招いたという。火除橋を渡り、手水舎でお清めを済ませた後、時間に余裕があれば、せんぐう館に立ち寄り、成り立ちやしきたり、式年遷宮などについて学んでから参拝するとよいだろう。
参道の途中に立つ外宮神楽殿は、銅板葺、入母屋造りの建物。皇室の弥栄、国家の平安、家内安全などを祈願する神楽は、ここで行われている。お神札、お守りのほか、参拝記念の御朱印もここで授与される。
高倉山の麓に鎮座する豊受大神宮は、伊勢神宮の2つの正宮のうちのひとつであり、外宮と呼ばれている。正殿・西宝殿・東宝殿の3棟が立つが4重の垣に囲まれているため、外から全容を見ることはできないが、唯一神明造(ゆいいつしんめいづくり)という日本古来の建築様式を見ることができる。
伊勢神宮外宮
住所 | 三重県伊勢市豊川町279 |
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問い合わせ先 | 0596-24-1111(神宮司庁) |
時間 | 5時~19時(10月~12月は~17時、1月~4月・9月は~18時。せんぐう館は9時~16時) |
定休日 | 無休(せんぐう館は第4火曜休、祝日の場合は翌日) |
交通アクセス | JR伊勢市駅から徒歩約5分 |
値段 | 無料(せんぐう館は300円) |
URL | https://www.isejingu.or.jp/index.html |
伊勢神宮内宮
外宮で参拝した後は皇室の祖神とされる天照大御神を祀る内宮へ
外宮から内宮へはバスで約10分。内宮は、約2000年前の垂仁(すいにん)天皇26年、天照大御神の鎮座地を探して各地を巡っていた倭姫命(やまとひめのみこと)が、五十鈴川(いすずがわ)のほとりに祠を建てて天照大御神を祀ったのが始まりといわれる。
内宮の入口である宇治橋を渡り、玉砂利が敷き詰められた参道を進むとそこは神域だ。
参道から緩やかな斜面を下りていくと、1692(元禄5)年に徳川第5代将軍綱吉の生母、桂昌院(けいしょういん)が寄進した石畳を敷き詰めた御手洗場(みたらしば)がある。ここでは参拝者が手水舎と同じようにお清めができる。
五十鈴川のほとりに鎮座する内宮(皇大神宮)は、今から約2000年前に、天皇の皇位の印として受け継がれる三種の神器の一つである八咫鏡(やたのかがみ)をご神体として祀る。国家の守護神として崇める伊勢信仰は平安末期より全国に広がり、江戸時代には「伊勢へ行きたい、伊勢路が見たい、せめて一生に一度でも」と歌われ、お伊勢参りは人々の憧れとなっていた。
伊勢神宮内宮
住所 | 三重県伊勢市宇治館町1 |
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問い合わせ先 | 0596-24-1111(神宮司庁) |
時間 | 5時~19時(10月~12月は~17時、1月~4月・9月は~18時) |
定休日 | 無休 |
交通アクセス | JR伊勢市駅から三重交通バス徴古館経由「内宮前」行き約20分または庁舎前経由「内宮前」行き約13分、終点下車徒歩約1分 |
値段 | 無料 |
URL | https://www.isejingu.or.jp/index.html |
おかげ横丁
昔の街並みを再現した門前町
内宮参詣を終えたら、おかげ横丁で買い物や食事を楽しもう。内宮の鳥居前に「おはらい町」と呼ばれる門前町がある。かつては伊勢参りの参拝客でにぎわったところで、伊勢の伝統的な町並みが広がる。この中心部に位置するのが「おかげ横丁」。
敷地内に並ぶ土産店や食事処など約50の店舗は、江戸~明治期にかけての建築様式で移築・再現され、時代劇のセットを見ているよう。
おかげ横丁の建物には、切妻(きりつま)型の屋根、棟に直角に接する側面に出入口を付けた妻入り(つまいり)と呼ばれる建築様式が多く見られる。
また強い雨風から建物を守るための杉板のきざみ囲い、雨風避けのため外壁より前面に張り出した南張り(なんばり)囲いなど、伊勢地方の伝統的木造建築も多く見られる。
おかげ横丁
住所 | 三重県伊勢市宇治中之切町52 |
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問い合わせ先 | 0596-23-8838(おかげ横丁総合案内) |
交通アクセス | JR伊勢市駅から三重交通バス徴古館経由「内宮前」行き約19分または庁舎前経由「内宮前」行き約12分、神宮会館前下車すぐ |
URL | https://www.okageyokocho.co.jp/ |
赤福本店
五十鈴川の流れを表現した名物・赤福餅
おかげ横丁を代表する店で、1707(宝永4)年創業。五十鈴川に架かる新橋のたもとに立つ建物は1877(明治10)年建築。間口を広げるために高くした切妻屋根、正面に掲げた大きな看板には金色で赤福の二文字が書かれている。老舗にふさわしい風格を備えた店構えだ。
店内で味わう際に提供される番茶は、店頭に備えた朱塗りの竈(かまど)で沸かした湯を使う。
名物の赤福餅は、餅の上にこし餡をのせたシンプルな餅菓子。五十鈴川のせせらぎを表現した三筋の餡が特徴。店内では、「餅入れさん」と呼ばれる女性の職人が赤福餅を作っている光景を見ることができる。赤福餅折り箱8個入760円。
赤福本店
住所 | 三重県伊勢市宇治中之切町26 |
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問い合わせ先 | 0596-22-7000 |
時間 | 5時~17時(繁忙期は変更あり) |
定休日 | 無休 |
交通アクセス | JR伊勢市駅から三重交通バス徴古館経由「内宮前」行き約19分または庁舎前経由「内宮前」行き約12分、神宮会館前下車徒歩約2分 |
URL | https://www.akafuku.co.jp/store/2992/ |
ふくすけ
おかげ横丁にある伊勢うどんの店。店の正面から屋根を見ると福助をあしらった鬼瓦が見える。店頭には縁台が並び、戸を開け放った開放的な店内には座敷席がある。江戸時代さながらの門前の店らしい風情のある店だ。
伊勢うどんとは、直径1センチメートルほどの柔らかい極太麺に、たまり醤油と昆布や鰹節を使った濃褐色のタレをかけて味わうもので、伊勢参りには欠かせないものだった。見た目は辛そうだが、意外なほどあっさりとしている。伊勢うどん510円のほか、松阪牛肉伊勢うどん1010円、天ぷらのせ伊勢うどん950円などもある。
ふくすけ
住所 | 三重県伊勢市宇治中之切町52 |
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問い合わせ先 | 0596-23-8807 |
時間 | 10時~17時30分(17時L.O.。季節により異なる) |
定休日 | 無休 |
交通アクセス | JR伊勢市駅から三重交通バス徴古館経由「内宮前」行き約19分または庁舎前経由「内宮前」行き約12分、神宮会館前下車徒歩約3分 |
URL | https://okageyokocho.com/main/tenpo/fukusuke/ |
伊勢市駅から二見浦駅へ
伊勢参りを済ませたらバスで伊勢市駅まで戻ろう。再び参宮線に乗って次の目的地である夫婦岩に向かおう。最寄りの二見浦駅までは2駅、約6分で到着だ。
途中下車駅その2 二見浦駅に到着
印象的な外観の二見浦の最寄り駅
二見浦駅は夫婦岩をモチーフとした前面ガラス張りの建物。景勝地の二見浦は「ふたみがうら」と読むが、駅名は「ふたみのうら」と読む。駅前に立つ鳥居をくぐって徒歩で約15分の夫婦岩に向かおう。
二見興玉神社(ふたみおきたまじんじゃ)・夫婦岩(めおといわ)
沖合の夫婦岩は縁結びのパワースポット
古来より伊勢参りをする人は、神宮に行く前に二見浦で身を清めたという。二見興玉神社は猿田彦大神(さるたひこのおおかみ)を祀り、縁結び・夫婦円満などのご利益で知られる。境内には、猿田彦大神のお使いとされる二見蛙(無事にかえる、お金がかえる)の石像や銅像が多数奉納されている。
沖合に見える大小一対の岩は夫婦岩と呼ばれ、猿田彦大神ゆかりの霊石「興玉神石」と、日(太陽)の大神を遙拝するための鳥居とみなされている。境内の富士見橋(日の出橋)から2つの岩の中間に霊峰・富士山を拝し、岩の背から昇るご来光はまさに絶景。夏至の日には、夫婦岩の真ん中にご来光が見られる。
二見浦の絶景、夫婦岩は、大小2つの岩が仲良く並ぶ姿から、夫婦円満や良縁成就を願う人々も訪れる。2つの岩を結ぶ5本の大注連縄(おおしめなわ)は、1本が長さ35メートル、重さ40キログラム、太さ10センチメートルあり、年に3回(5月5日・9月5日・12月中旬の土曜または日曜)に張り替えられる。
二見興玉神社(ふたみおきたまじんじゃ)・夫婦岩(めおといわ)
住所 | 三重県伊勢市二見町江575 |
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問い合わせ先 | 0596-43-2020 |
時間 | 境内自由 |
定休日 | 無休 |
交通アクセス | 二見浦駅から徒歩約15分 |
URL | https://futamiokitamajinja.org/ |
二見浦駅から終点JR鳥羽駅を目指そう!
参宮線のおすすめ車窓ポイントは松下駅からJR鳥羽駅間に広がる鳥羽湾
内陸部を走ってきた参宮線は、松下駅を過ぎると、左側の車窓に海の景観が広がる。このあたりはリアス式海岸なので、海岸線は複雑に入り組み、列車も右に左に曲がりながら走る。海に突き出た岬の先端部にはリゾートホテルも見え、一気にリゾート気分が高揚する。
終点のJR鳥羽駅に到着し、鳥羽周辺で宿泊
鳥羽は、絶景の海が眺められる宿泊施設も多いので、ぜひここで1泊しよう。翌日は鳥羽湾めぐり観光船や鳥羽水族館など海のアクティビティを楽しもう。
鳥羽湾めぐりとイルカ島
鳥羽湾の美景とイルカとのふれあい体験を楽しむ
鳥羽湾に突き出た岬の先端部に、鳥羽湾めぐり観光船の発着場がある。ここから発着するのが、名勝三ツ島などの島々を眺めながら鳥羽湾を遊覧する「鳥羽湾めぐりとイルカ島」。約50分の周遊コースで、最大の特徴は寄港するイルカ島に上陸して遊べること。船は鳥羽マリンターミナルのりば~イルカ島~真珠島・水族館前乗り場の順で運航するので、真珠島・水族館前乗り場で下船すれば鳥羽水族館が近い。
主に就航する船は、船体各所に浦島太郎や乙姫様、亀、鯛、ヒラメ、エビなどの立体装飾を施した「龍宮城」と、船体に美しい花を描き、船内には人魚のオブジェなどを配置した「フラワーマーメイド」。船内で島々に関するガイドを聞きながら鳥羽湾の景観を楽しむのもよし、オープンデッキに出て潮風を感じるのも気分がいい。
観光船が寄港するイルカ島は、志摩マリンレジャーの船を利用すれば無料で入園できる。園内ではアシカやイルカのショーをはじめ、イルカタッチ、イルカおでこタッチ、イルカのエサやりなど、イルカたちとのふれあい体験が楽しめる。展望リフトで上る展望台からは、景勝地の三ツ島をはじめ、鳥羽湾の島々や愛知県の知多半島、渥美半島など360度の絶景が広がる。
鳥羽湾めぐりとイルカ島
住所 | 三重県鳥羽市鳥羽1-2383-51 鳥羽マリンターミナルのりば |
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問い合わせ先 | 0599-25-3145(鳥羽マリンターミナルのりば) |
時間 | 9時~16時 |
定休日 | 無休(1月下旬~2月中旬は休業) |
交通アクセス | JR鳥羽駅から徒歩約15分 |
値段 | 大人1900円 |
URL | https://shima-marineleisure.com/cruise/toba/info/ |
鳥羽水族館
飼育種類数日本一を誇る国内最大級の水族館!
JR鳥羽駅から国道42号を南下して約10分。鳥羽水族館は、飼育種類数では日本一となる約1200種類の海や川の生きものを飼育・展示している。館内は、自然の環境を再現した12のゾーンで構成され、観覧順序をなくした自由通路となっており、通路全長は約1.5キロメートルあり室内型としては国内最大級の規模を誇る。
1955(昭和30)年5月15日の開館以来、世界初スナメリの飼育下での繁殖成功、日本初ラッコの赤ちゃん誕生、ジュゴンの飼育下での長期飼育世界記録達成、世界初のオウムガイ3世誕生など数多くの飼育実績を上げてきた。イルカやアシカ、ラッコなどの海獣類が多く、人魚伝説のモデルともいわれるジュゴンは日本で唯一の飼育となる。
アシカたちがジャンプや輪くぐりなど多彩な演技を披露するアシカショーを開催する「パフォーマンススタジアム」をはじめ、ダイオウグソクムシを展示する「へんな生きもの研究所」、サンゴ礁の海を再現した水槽をダイビング気分で見学できる「コーラルリーフ・ダイビング」など興味深い展示が多い。
鳥羽水族館
住所 | 三重県鳥羽市鳥羽3-3-6 |
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問い合わせ先 | 0599-25-2555 |
時間 | 9時~17時(7月20日~8月31日は8時30分~17時30分)※入館は閉館時間の1時間前まで。 |
定休日 | 無休 |
交通アクセス | JR鳥羽駅から徒歩約10分 |
値段 | 大人2500円 |
URL | https://www.aquarium.co.jp/ |
鳥羽1番街
伊勢・志摩・鳥羽のお土産を買うならここ
JR鳥羽駅前にある買い物や食事ができる鳥羽最大級の複合施設。お土産コーナーでは、伊勢えびなどの新鮮な海産物、赤福・くうや餅などの地元銘菓、本場の真珠などが買える。
レストラン街では、カツオ漁師のまかない食として始まったとされる「てこね寿し」や漁師が取った魚を船上で食べるのに作られた「漁師茶漬け」、地元の食材をふんだんに使用した「とば~がー」などご当地グルメが食べられる。3階には鳥羽湾を一望できる絶好の展望スペースもある。鳥羽を離れる前にぜひ立ち寄ってみよう!
鳥羽1番街
住所 | 三重県鳥羽市鳥羽1-2383-13 |
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問い合わせ先 | 0599-26-3331 |
時間 | 平日9:00~17:30 土日祝 9:00~18:00 |
定休日 | 木曜日 |
交通アクセス | JR鳥羽駅から徒歩約2分 |
URL | https://www.toba1ban.co.jp/ |
旅のまとめ
参宮線は比較的短い路線ながら見どころが多く、観光するには1日では足りない。1泊2日のプランで、1日目は伊勢エリア、2日目は鳥羽エリアを観光するのがおすすめルート。名古屋から伊勢へ向かう場合は、「快速みえ」でのアクセスがJR各線からの乗り換えや所要時間などの利便性やコスト面からもおすすめ。その際は、ぜひ「伊勢路フリーきっぷ」や「快速みえ得ダネ4回数券」、「青空フリーパス」などお得なきっぷを活用しよう!
快速「みえ」についてもっとくわしく
宿泊情報
地図
- ※写真協力:神宮司庁、株式会社伊勢福、株式会社赤福、公益社団法人伊勢志摩観光コンベンション機構、鳥羽水族館、志摩マリンレジャー株式会社
- ※文:塙 広明(株式会社アド・グリーン)
- ※掲載されているデータは2020年5月現在のものです。変更となる場合がありますので、お出かけの際には事前にご確認ください。