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2021.09.02鉄道SL銀河―少年たちが乗り込んだ不思議な列車で、宮沢賢治が愛したイーハトーブ・東北へ(THE列車)

眠りから復活したSLと、「銀河鉄道の夜」の星と空が再現された車両

宮沢賢治の童話「銀河鉄道の夜」をイメージしたSL列車が、釜石線の花巻駅と釜石駅を結ぶ「SL銀河」です。この列車を牽引するC58形239号機は、盛岡市の岩手県営運動公園に静態保存されていた車両を動態復活させたものです。4両編成の客車の外観は、「銀河鉄道の夜」に登場する星座や動物たちがモチーフで、はくちょう座、わし座、さそり座、ふくろう、ラッコ、鷺(さぎ)など、物語の中から飛び出したかのように描かれています。車体を染め上げる「」にはトーンが異なる8色が使用され、夜が明け、朝へと変わりゆく空を表現したものです。ジョバンニとカムパネルラの2人が乗っていた列車を想像することができます。

また、車内は「東北の文化・自然・風景を通してイマジネーションの旅へ」をコンセプトとし、先人が造り出したSLや大正ロマンから現代への長いつながりと、宮沢賢治の世界観を感じる様々な体験が用意されたものです。ガス灯風の照明やステンドグラス、植物のパーテーションなど、宮沢賢治の生きた明治から昭和の世界観が表現され、緩やかな時間を過ごすことができます。

※「SL銀河」は2023年6月11日をもって定期運行を終了いたしました。

鉄道コンシェルジュ ミスターKのとっておき情報

月と星のミュージアム&プラネタリウム、銀河コレクション(1号車)


1号車 プラネタリウム

4両編成の列車の花巻方の1号車は、月と星にまつわる展示や、沿線ゆかりの作品を展示するギャラリー「銀河コレクション」があります。また、列車では世界で初めて光学式プラネタリウムが搭載され、車内でこの列車のオリジナルプログラムが楽しめます。車両の半分が4人掛けボックスシートの客席で、急勾配区間では床下搭載の動力装置を使って列車を後押しするための運転台が設置されています。

イーハトーブと賢治&ライブラリー(2号車)


2号車 客室

4両編成の列車の花巻方から2両目の2号車は、4人掛けのボックスシートを配置した客室がメインで、車内は宮沢賢治が生きた明治から昭和の世界観にあふれています。車端には、イーハトーブと賢治をテーマにした「宮沢賢治ギャラリー」があり、宮沢賢治の世界をさまざまな観点から感じることができます。このほか、ライブラリーとトイレが設置されています。

ソーシャルデザインと賢治&「銀河鉄道の夜」ギャラリー(3号車)


3号車 ギャラリー

4両編成の列車の釜石方から2両目の3号車は、各号車と同じくガス灯風の照明やステンドグラス、植物のパーテーション、南部鉄器風の荷棚などがあり、非日常を感じられる空間となっています。
車端には、ソーシャルデザインと賢治をテーマにしたギャラリーが。賢治が愛し、大切にしていた沿線や東北ゆかりの品々も展示されています。

アーティスト賢治&SLギャラリー(4号車)


4号車 ギャラリー

4両編成の列車の釜石方の4号車は、客室に18席の座席が配置されているほか、アーティスト賢治をテーマにしたギャラリーや蒸気機関車の雄姿を紹介する「SLギャラリー」、車内販売品が揃っているショップ、車いす対応の大型トイレ、車いすスペースなどがあります。1号車と同じく車端には運転台があり、急勾配を上がる時には動力を使用して列車の後押しをします。

宮沢賢治記念館で途中下車してみよう


宮沢賢治のゆかりの地でもある花巻市胡四王山(新花巻駅からバス約3分、賢治記念館下車徒歩10分)に開館した宮沢賢治の記念館。宮沢賢治の思想や世界観、宇宙観を支える「心象」をキーポイントとして、「科学」「芸術」「宙(そら)」「祈」「農」の5つの部門をわかりやすく展示しています。映像や展示物、最新の研究成果を通じて、宮沢賢治が見たまことの世界、イーハトーブの心象世界に触れることができます。

岩手軽便鉄道のめがね橋も必見


宮沢賢治の童話「銀河鉄道の夜」のモチーフになったといわれるのが、JR釜石線の前身となる岩手軽便鉄道です。宮守駅の釜石方にある宮守川橋梁は、半円が五つ連なるアーチ橋で、地元では「めがね橋」と呼ばれています。宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」をイメージさせるところで、下りの「SL銀河」が橋を渡るシーンが撮影できる緑地広場(宮守駅から徒歩約10分)は人気のスポットになっています。


列車情報

運転日 春から秋の観光シーズンの土曜・日曜(土曜下り、日曜上り)
運転区間 釜石線 花巻駅~釜石駅間
運転時刻 【下り】花巻駅10:36発→遠野駅12:12着/13:31発→釜石駅15:10着
【上り】釜石駅9:57発→遠野駅11:46着/13:53発→花巻駅15:19着

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著者紹介

ミスターK(結解喜幸)

1953年、東京都出身。出版社勤務を経て旅行写真作家に。鉄道や時刻表のたのしさを知り尽くした鉄道の達人。現在は地酒とつまみを追い求める「飲み鉄」にはまっている。

  • 文/ミスターK(結解喜幸)
  • 写真/交通新聞クリエイト
  • 掲載されているデータは2021年9月現在のものです。
  • 運転日・運転区間等は変更となる場合があります。

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