花巻から北上山地を横断して釜石へ。遠野では懐かしい空気と時間を満喫できる春の岩手・釜石線の旅
釜石線は、岩手県の花巻駅と釜石駅を結ぶ全長約90キロメートルのローカル線。
釜石線の前身である岩手軽便鉄道が、宮沢賢治の代表作『銀河鉄道の夜』のモデルといわれることから、「銀河ドリームライン釜石線」の愛称で呼ばれる。
全24駅に宮沢賢治の作品によく用いられたエスペラント語の愛称が付く。
宮沢賢治ゆかりの花巻、民話のふるさと・遠野、製鉄の街・釜石など、岩手県を代表する観光地を結ぶ観光ラインでもある。
※写真は岩手上郷駅~青笹駅間
釜石線路線図
釜石線列車
SL銀河
SL銀河は、宮沢賢治の代表作『銀河鉄道の夜』をモチーフにした4両編成の観光列車。機関車部分はC58-239を復元し、大正から昭和のレトロな雰囲気を再現した客車には、ガス灯風の照明やステンドグラス、星座のパーテーションなどを設置するほか、宮沢賢治のギャラリーもある。1号車には、月と星にまつわる展示があり、列車では世界で初めて搭載した光学式プラネタリウムによるオリジナルプログラムを楽しめる。
※「SL銀河」は2023年6月11日をもって定期運行を終了いたしました。
「SL銀河」についてもっとくわしく
釜石線おすすめスポット情報
大沢温泉 山水閣
宮沢賢治も愛した川辺の露天風呂
平安時代初期に坂上田村麻呂が発見したと伝えられる古湯。豊沢川沿いに近代的な山水閣と自炊ができる湯治屋、160年前の茅葺き屋根の菊水舘(現在は交通規制のため休館)が立つ。宮沢賢治も入浴した混浴露天風呂「大沢の湯」をはじめ、レトロモダンな大浴場「薬師の湯」など5つの浴場めぐりが楽しみ。食事は季節の食材を盛り込んだ本格会席膳。
大沢温泉 山水閣
●交通アクセス
花巻駅から岩手県交通バス「新鉛(しんなまり)温泉」行き約25分、大沢温泉下車すぐ
●URL
https://www.oosawaonsen.com/sansui/
未来都市銀河地球鉄道
夜見に行きたいライトアップの壁画
花巻駅北側に位置する高さ10メートル、長さ80メートルの擁壁(ようへき)に『銀河鉄道の夜』をイメージさせる壁画が描かれている。ルミライトカラーという特殊塗料で描かれているため日中は白い輪郭しか見えないが、日没から22時にかけて行われるライトアップ時には、宇宙空間を走るSLが浮かび上がる幻想的な光景が見られる。
未来都市銀河地球鉄道
●交通アクセス
花巻駅から徒歩約4分
●URL
https://www.kanko-hanamaki.ne.jp/spot/article.php?p=140
わんこそば やぶ屋 花巻総本店
賢治が好んだ天ぷらそばとサイダー
1923(大正12)年創業。宮沢賢治も通い、天ぷらそばとサイダーをよく注文したという。この2品が付く「賢治セット」は、賢治ファン必食メニュー。名物「わんこそば」は、給仕の女性が付き、矢継ぎ早におかわりのそばが盛られる。わんこそばを食べると大食い証明書がもらえ、100杯以上食べると「横綱」として認定され、記念品がもらえる。
わんこそば やぶ屋 花巻総本店
●交通アクセス
花巻駅から徒歩約10分
●URL
https://yabuya.jp/
宮沢賢治記念館
賢治が夢みたイーハトーブの世界を知る
宮沢賢治は、童話作家、農学校の教師、科学者など多彩な顔をもつ。記念館では、賢治の足跡や作品を科学、芸術、宇宙、宗教、農の5つの分野に分類して解説する。常設展示室には賢治が愛用したチェロや鉱石研究に使用した顕微鏡、自筆原稿などを展示。敷地内には賢治グッズを販売し、花巻の郷土料理を味わえる「山猫軒」を併設する。
宮沢賢治記念館
●交通アクセス
新花巻駅から車約5分
●URL
https://www.city.hanamaki.iwate.jp/miyazawakenji/kinenkan/
羅須地人協会
賢治が農耕をしながら暮らした家
1926(大正15)年、30歳で農学校を退職した賢治が、農民たちを集めて農業技術や農業芸術論などを講義するために設立。1928(昭和3)年に病気になるまで、ここで自炊生活をしていた。1969(昭和44)年に現在地の県立花巻農業高等学校地内に移築復元された。黒板に書かれた「下ノ畑ニ居リマス 賢治」の伝言が有名。
羅須地人協会
●交通アクセス
新花巻駅から車約10分
●URL
https://www.kanko-hanamaki.ne.jp/spot/article.php?p=134
成島三熊野神社
泣き相撲で豊作を占い、子の成長を願う
社伝によれば、坂上田村麻呂が蝦夷(えぞ)を平定した後、802(延暦21)年にこの地に紀伊熊野三山の神を勧請して建立したという。樹齢1000年を数える木々に囲まれた境内に成島毘沙門堂と熊野神社が立つ神仏習合の神社。春の毘沙門まつりでは全国泣き相撲大会が行われ、9月19日の秋の例祭には十二番角力式(泣き相撲)の神事が行われる。
成島三熊野神社
●交通アクセス
土沢(つちざわ)駅から車約10分
●URL
https://iwatetabi.jp/spot/detail/03205/266.html
宮守川橋梁(めがね橋)
名橋をライトアップで彩る
宮守駅の近くに架かる長さ約107メートル、高さ約17メートルの鉄道用鉄筋コンクリート橋で、1943(昭和18)年に完成。20メートル間隔で5連のアーチが並ぶ姿から、めがね橋とも呼ばれる。2002年に土木学会選奨土木遺産に認定、2009年には近代化産業遺産に認定された。期間限定で日没~22時にライトアップを実施。
宮守川橋梁(めがね橋)
●交通アクセス
宮守駅から徒歩約10分
●URL
https://www.city.tono.iwate.jp/index.cfm/45,26756,255,html
続石
『遠野物語』に語られた不思議な巨石
国道396号沿いに立つ鳥居をくぐり、山道を15分ほど登ると、2つ並んだ台岩の上に、幅7メートル、奥行き5メートル、厚さ2メートルほどの巨石が乗っている。『遠野物語拾遺 第91話』に出てくる巨石で、古代人の墓とも、武蔵坊弁慶が持ち上げたものともいわれている。今にも落ちそうな絶妙なバランスを保つ巨石の光景に、自然の不思議を実感する。
続石
●交通アクセス
遠野駅から車約15分の駐車場から徒歩約10分
●URL
https://tonojikan.jp/kanko/tsuzukiishi.php
遠野伝承園
『遠野物語』の世界を体感できる
国の重要文化財に指定された曲り家住宅の旧菊池家住宅をはじめ、『遠野物語』の話し手であった佐々木喜善(きぜん)の記念館、水車小屋などを移築し、遠野地方のかつての農家の生活様式を再現。伝承園から徒歩約5分の常堅寺(じょうけんじ)の裏手を流れる小川は、『遠野物語』にも登場するカッパ淵で、その昔カッパが棲みついていたと伝わる。
遠野伝承園
●交通アクセス
遠野駅から岩手県交通バス「土淵(つちぶち)線」約25分、伝承園下車すぐ、または岩手県交通バス「附馬牛(つきもうし)線」約17分、足洗(あしあらい)川下車徒歩約3分
●URL
http://www.densyoen.jp/
遠野ふるさと村
遠野の山里風景を再現した体験村
村内には、江戸中期から明治中期にかけて建てられた6棟の茅葺き屋根の曲り家や茅葺きの直家(真直ぐな家)などが移築され、炭焼小屋や水車小屋などもあり、遠野の昔ながらの山里集落が再現されている。草木染め、陶芸、わら細工、そば打ち、餅つきなどさまざまな体験ができ、ビジターセンター風樹舎にはショップや郷土料理レストランもある。
遠野ふるさと村
●交通アクセス
遠野駅より岩手県交通バス「附馬牛線」約26分、ふるさと村下車すぐ
●URL
http://www.tono-furusato.jp/
道の駅 遠野風の丘
風力発電の風車がシンボル
国道283号沿いに立つ大きな風車が目印。羽根の形がネジ巻き棒というスパイラル マグナス風車で、次世代型の風力発電装置といわれている。民芸品や土産品を扱う売店、新鮮野菜や漬物などを販売する産直コーナー、遠野名物のジンギスカンや暮坪かぶそばを味わえるレストランなどがある。猿ヶ石川と遠野の山々を望む展望デッキは気持ちがよい。
道の駅 遠野風の丘
●交通アクセス
遠野駅から車約10分
●URL
http://kazenooka.tonofurusato.jp/
滝観洞
鍾乳洞内に滝の音が鳴り響く
総延長3635メートルが確認されている鍾乳洞で、このうち一般公開されているのは880メートル。公開部分最奥部に周囲50メートル、高低差60メートルのドームがあり、天井部の大理石の裂け目から落差29メートル、幅1メートルの「天の岩戸の滝」が流れ落ちる。洞内滝としては日本有数の規模を誇り、滝壺は地底湖になっている。
滝観洞
●交通アクセス
上有住(かみありす)駅から徒歩約3分
●URL
https://www.town.sumita.iwate.jp/kanko/rokando.html
駅前橋上市場サン・フィッシュ釜石
大きなマンボウの壁画がお出迎え
かつては日本で唯一、橋の上に開設された市場だったが、橋の架け替えにより橋上市場は閉鎖され、2003年に「サン・フィッシュ釜石」としてオープンした。1階は市場から直送された新鮮な魚が並ぶ鮮魚店やラーメン店、喫茶店、2階には鮮魚料理の食事処がある。特産品や土産品を販売する「シープラザ釜石」と連絡通路で結ばれている。
駅前橋上市場サン・フィッシュ釜石
●交通アクセス
釜石駅から徒歩約1分
●URL
http://sunfish-kamaishi.sakura.ne.jp/
釜石大観音
観音様の頭部は釜石湾一望の展望台
釜石湾を一望する鎌崎(かまざき)半島の高台に立つ高さ48.5メートルの白亜の魚籃観音像「鎌崎大観音」。1970(昭和45)年に明峰山石応禅寺17世・雲汀晴朗(うんていせいろう)和尚の発願により建立。内部は12階建てになっており、三十三観音安置堂や千体観音、七福神胎内めぐりなどを拝観でき、11・12階は三陸海岸を一望する展望台がある。
釜石大観音
●交通アクセス
釜石駅から岩手県交通バス「平田方面」行き約11分、釜石大観音入口下車徒歩約10分
●URL
http://kamaishi-daikannon.com/
鉄の歴史館
釜石の製鉄業の歩みと先人の偉業を知る
反射炉の操業に成功した大島高任(たかとう)は、1857(安政4)年、釜石に洋式高炉を築造し、日本で初めて鉄鋼の製造に成功。以来、鉄の町として歩んできた釜石の歴史を実物や模型、資料などによって紹介する。現存する日本最古の洋式高炉跡で、「明治日本の産業革命遺産」の構成資産として世界遺産に登録された橋野鉄鉱山の解説もある。
鉄の歴史館
●交通アクセス
釜石駅から車約10分
●URL
https://www.city.kamaishi.iwate.jp/docs/2016101700037/
薬師公園
釜石の街や釜石湾を眺める憩いの公園
釜石の市内中心部の高台にあり、市街地と釜石湾の眺望がよい。園内に立つ平和女神像は1952(昭和27)年に戦災者の霊を慰め、平和を祈って建立されたもの。製鉄の発展に尽くした高橋亦助(またすけ)の頌徳碑をはじめ、釜石ゆかりの文学者や俳人の碑も多い。約200本の桜が咲く4月上旬~5月上旬には桜まつりが開催される。
薬師公園
●交通アクセス
釜石駅から徒歩約10分
●URL
https://www.city.kamaishi.iwate.jp/docs/2015030200137/
釜石線イベント情報
遠野さくらまつり
約400年前の遠野南部時代の時代絵巻
遠野の桜の開花期である4月下旬~5月上旬に合わせて開催される。メインは遠野駅前通りや一日市通り、大工町通り、穀町通りなどを練り歩く南部氏遠野入部行列。約400年前の資料を参考にして、遠野郷に入部した南部氏の行列を再現したもの。約1000本の桜が咲く鍋倉公園では、南部氏が奨励して伝承されてきた郷土芸能の競演会を実施。
地図
- ※文:塙広明(アド・グリーン)
- ※写真協力:大沢温泉、花巻観光協会、塙広明(アド・グリーン)、わんこそば やぶ屋 花巻総本店、道の駅 遠野風の丘、住田町観光協会、釜石観光物産協会
- ※掲載されているデータは2019年3月現在のものです。変更となる場合がありますので、お出かけの際には事前にご確認ください。