2026.03.17旅行「志国土佐 時代の夜明けのものがたり」でこころぽかぽかひとり旅

観光列車「志国土佐 時代の夜明けのものがたり」
2021年からごめん・はなり線でも運行を始めた観光列車「志国土佐 時代(トキ)の夜明けのものがたり」。
今回は高知から海岸沿いを進んで奈半利(なはり)まで向かう「煌海の抄(きらめきのしょう)」に乗車!車窓には胸を熱くする歓待の物語が待っていた。
地元の自分たちで作り上げる四国クオリティー
高知駅1番ホームに、漆塗りのような深い色合いの列車が入ってきた。これから乗り込む「志国土佐 時代の夜明けのものがたり」の登場に乗客たちはカメラをパシャパシャ。出発2分前を告げるドラの音が鳴ると約2時間半の物語が始まった。
1号車のクロフネは蒸気船がモチーフ。ライトのシェードは土佐和紙
2号車のソラフネは宇宙船をイメージ。トンネルに入ると天井の星空が煌めきを増す
2両編成のうち、予約した1号車のクロフネに乗り込むと、一番奥に舵のモチーフがあり、坂本龍馬の海援隊の汽船を彷彿とさせる。テーブルを12席が囲むような「高知家の団らんシート」に座ると、列車は東へと動き出した。流れる車窓に合わせ「左手には長宗我部氏の城跡・岡豊山(おこうやま)が見えます」といったアテンダントからのアナウンスも。畑作業中のおばあちゃんが列車を見ていたので、手を振ると振り返してくれた。
沿線ゆかりのドリンクやお酒の有料サービスも。オリジナルグッズも販売!
今回の「煌海の抄」での提供料理「TOSAインスパイア」(OMO7高知by星野リゾート監修)
出発からほどなくして、予約していた料理「TOSAインスパイア」が各テーブルに。六角形の箱に、彩りよく詰め合わされた料理に喉が鳴る。前菜の生ハムと新高梨の黒コショウ和えを食べていると日本酒がほしくなる。
隣で赤ら顔の男性グループに聞くと「これ? 土佐の地酒3種セットや。1500円で頼めるんよ」。なんと、同窓会をこの観光列車で開いているそう。
地域をあげての大歓声!
地元の園児や高校生など、車窓に現れる地元の人々の歓待に涙
後免駅を過ぎると、列車は大きく舵を右へ。すると左手にある幼稚園の園庭から、園児たちが全力でお手振り! 見えなくなるまで振ってくれる姿に、目頭が熱くなる。もう酔いが回ってきたか。
停車駅では観光協会スタッフなどがお出迎え。降車OKの駅では地元民との交流も楽しみだ
サイクリングロードで列車と並走!
約2時間半、車窓が織りなすロードムービー
のいち駅を南下し、列車はついに海沿いへ。と、逆光のなか自転車をこいで手を振る三つのシルエットが。列車としばらく並走したそのシルエットが見えなくなるまで、車内全員が手を振り続けた。
「香南(こうなん)市には気持ちのいいサイクリングロードが整備されています。のいち駅や道の駅やすなどで、レンタサイクルもできますよ」と先ほど魂の疾走を見せてくれた、香南市役所サイクリングチームの岩神勇徳さん。
夜須(やす)駅では36分の停車があり、道の駅で買い物を楽しむ乗客も多い。
「道の駅やすの2階にあるmana’manaでは、地元柑橘を使うなど、さまざまなフルーツアイスバーを楽しめます」と、物部川DMO協議会と香南市役所サイクリングチームのみなさん
ちなみに、復路にあたる「雄飛の抄(ゆうひのしょう)」の停車時には、地元の小学生・徳廣時央くんがお出迎えに参加することも。「この車掌帽子は、叔母さんの手作りなんです」。バッチリ駅員さん姿で、かっこいいぞ。
車掌帽子が似合う地元の小学生・徳廣時央くん
夜須駅を出た列車がトンネルを抜けると、大波きらめく琴ヶ浜が広がった。雄大な景色を眺めていると、今度は山側に車窓のハイライト。
球場前駅の先にある県立安芸高校ビジネス科の生徒30人近くが、幟や看板とともに大きく手を振っているのだ。脳内BGMで、なぜか『少年時代』が鳴りやまない。安芸駅では、先ほどの生徒たちがお出迎え。いつも通学でごめん・なはり線を使っている大西 香くんいわく「伊尾木(いおき)駅~大山岬の海がきれいで好き」なんだそう。
岬の絶景を経て、終着駅の奈半利へ。
最速でも時速65㎞というのんびりとしたローカル線の旅だからこそ、高知の風土を濃密に感じることができた。風景も、料理も素晴らしい。でもこの物語の最重要キャストは、沿線で手を振ってくれた地元の人たちだった。
のいち駅ではシャボン玉でお見送り(のいち駅でのお手振りは復路の「雄飛の抄」で実施)
3月中旬~4月上旬、香我美駅前のチューリップ園が見頃を迎えます。
「地元の方が乗車された際、普段車から見る景色と全然違うとおっしゃっていたのが印象的でした」とアテンダントの永野瑠花さん。
おもてなしのみなさん! 地元おすすめといえば?
香我美駅
地元果実のフレーバーを堪能
徳廣くんも大好きなドルチェかがみのジェラート。写真は香南市のブルーベリーとミルクのダブルで550円。
香我美駅下車すぐ☎0887・57・3063
夜須駅
道の駅も併設するヤ・シィパーク
海沿いを散策できるボードウォークが整備された、ヤ・シィパーク。パーク内にある避難タワーから望む夕焼けは絶景!
夜須駅下車すぐ ☎︎0887・57・7122
石積みの懐かしい港と近代的な動く橋と
11~12時など一日に約7時間だけ下りてきて渡ることができる、手結港(ていこう)可動橋。夜須駅から徒歩10分
手結港の可動橋は空に道路が伸びているかのよう!
道の駅やすの農産物直販所やすらぎ市
ルナ・ピエナスイカや夜須のフルーツトマトなどの特産品が並ぶ。
夜須駅下車すぐ☎0887・55・2370
和食(わじき)駅~ 穴内(あなない)駅は車窓のハイライト!
高架の線路が海岸線に近づくため、大海原を一望できる。
安芸駅
安芸駅ぢばさん市場の、売り切れることも多い近藤芋けんぴ1080円(250g)など。
安芸駅下車すぐ ☎0887・35・7500
「赤野休憩所や大山岬など、雄大な太平洋の絶景ポイントがいっぱいあります」と安芸高校のみなさん。
「洋菓子倶楽部は焼きたてフィナンシェがあったらラッキー!」と耳寄り情報も。
洋菓子倶楽部の発酵バターの風味豊かなフィナンシェ200円~、イチゴタルト550円とルージュ(上)500円。
安芸駅から徒歩2分 ☎0887・34・4367
奈半利駅
水切り瓦が象徴的な濱田典彌(のりひろ)家住宅の土蔵(外観見学のみ)など、漆喰の建造物が点在する奈半利。
奈半利駅から徒歩10分
志国土佐 時代の夜明けのものがたり
「 煌海の抄(きらめきのしょう)」(高知→奈半利)「 雄飛の抄(ゆうひのしょう)」(奈半利→高知)
列車情報
| 運転日 | (2026年度上期) 4月17・29日、5月9・15日、6月5・20日、7月18・24日、8月14・29日、9月11・26日 |
|---|---|
| 運転区間 | JR土讃線・土佐くろしお鉄道 ごめん・なはり線 高知~奈半利間 全車グリーン車指定席 |
| 料金 | 運賃1410円+特急・グリーン券3720円 食事は3500円~(要予約) |
| 発売箇所 | 全国の主な駅の窓口(JR東日本は除く)、主な旅行会社[食事]JR四国の駅のみどりの窓口、JR四国 旅の予約センター、JR西日本観光ナビ「tabiwa by WESTER」、主な旅行会社など |
| 問い合わせ | JR四国電話案内センター ☎0570·00·4592 8~19時(年中無休) ※通話料がかかります |
- ※取材・文・撮影/鈴木健太
- ※協力/JR四国
- ※本記事は、月刊誌『旅の手帖』2026年4月号からの転載です

