トレたび JRグループ協力

2019.06.04旅行この路線で行こう! 熊本編 肥薩線の旅

球磨川沿いを走る通称「川線」。雄大な下流から渓谷美の上流へ車窓が移りゆく熊本・肥薩線の旅

八代(やつしろ)駅~隼人(はやと)駅間の全長124.2キロメートルを結ぶ肥薩線。
そのうち八代駅~人吉(ひとよし)駅間は、〝日本三急流〟の一つである球磨川に沿って走り、「川線」とも呼ばれる絶景区間。
切り立った断崖が深い翠緑色の川面に映える光景は、まるで山水画のような美しさ。
悠然とした穏やかな流れは、川幅が狭くなるにつれて勢いを増していく。
沿線周辺も、平家落人伝説が残る秘境・五家荘や〝九州の小京都〟と称される城下町・人吉など見どころが満載。
※写真は海路(かいじ)駅~吉尾駅間

肥薩線路線図


肥薩線列車

SL人吉


九州唯一の蒸気機関車。1922(大正11)年生まれの8620形で、〝ハチロク〟の愛称で親しまれている。1975(昭和50)年に引退後、矢岳駅のSL展示館に保管されていた車両を修復し、肥薩線が開業100周年を迎えた2009年に復活した。汽笛の音とともに、漆黒の車体が黒煙を吐きながら球磨川沿いを力強く走る姿は感動的。クラシカルな雰囲気漂う車内には、軽食や飲み物を販売するビュッフェや、下りでは豊かな自然をパノラマビューで楽しめる展望ラウンジなどがある。

かわせみ やませみ


2017年春に登場した観光列車。列車名は、沿線の球磨川流域に生息する野鳥、カワセミ(翡翠)とヤマセミ(山翡翠)に由来している。色鮮やかなボディは、1号車が翡翠色の球磨川、2号車が球磨地域の森をイメージ。地元産のヒノキやスギをふんだんに使用し、上質な木の温もりに包まれた車内には、球磨川を望むカウンター席や野鳥観察用の双眼鏡を設置した展望コーナーがあり、球磨地域の雄大な自然を満喫できる。

肥薩線おすすめスポット情報

梅の木轟公園吊橋

新緑の渓谷美を眺めながら空中散歩


秘境・五家荘の中でも山深い場所にある全長116メートル、高さ55メートルの吊り橋。上下の補助ロープや支柱を使わないPC吊床版橋としては全国屈指の長さを誇る。橋上から眺める新緑の渓谷美は圧巻。吊り橋を渡り、遊歩道を約10分歩くと、長年〝幻の滝〟といわれてきた落差38メートルの「梅の木轟の滝」が姿を現す。


梅の木轟公園吊橋

●交通アクセス
八代駅から車約85分
●URL
http://www.city.yatsushiro.lg.jp/kankou/kiji00398/

松浜軒

肥後六花の一つ、肥後花菖蒲の名所


1688(元禄元)年、八代城主の松井直之公が母・崇芳院尼(すうほういんに)のために建てた茶屋。当時、周辺に松が茂り、八代海を見渡せる浜辺であったことが名の由来。庭園は、四季折々の花が咲く花の名所で、5月下旬~6月上旬にかけて見頃を迎える肥後花菖蒲が有名。敷地内にある松井文庫展示室では、絵画や書蹟、陶磁器などが紹介されている。


松浜軒

●交通アクセス
八代駅から車約6分
●URL
http://www.city.yatsushiro.lg.jp/kankou/kiji003124/

白滝公園

断崖絶壁と鍾乳洞が見事な涼スポット


清流・五木小川の周辺を整備した公園。夏は涼を求める人々でにぎわう。川岸にそびえ立つ高さ70メートル、幅200メートルの断崖絶壁「白滝」は迫力満点。石灰岩が浸食された白い岩肌が、滝が流れ落ちる様子に似ていることから名付けられた。園内には全長約30メートルの「白滝鍾乳洞」があり、料金箱に100円を投入すると、七色の照明が灯る。


白滝公園

●交通アクセス
八代駅から車約60分
●URL
https://kumamoto.guide/spots/detail/11084

せんだん轟の滝

秘境にある落差70メートルの大瀑布


日本の滝100選の一つで、秘境・五家荘を代表する名瀑。落差70メートルを誇り、ゴツゴツとした岩肌を豪快に水が流れ落ちる様子は圧巻。約10分かけて滝壺の手前まで続く遊歩道を歩くと、轟音や飛び散る水しぶきなど、滝の迫力を間近に体感できる。夏の新緑や秋の紅葉など、四季折々の渓谷美を満喫しよう。


せんだん轟の滝

●交通アクセス
八代駅から車約90分
●URL
https://kumamoto.guide/spots/detail/11775

樅木の吊橋

深い谷に架かる木製の親子吊橋


上段にある全長72メートルの「あやとり橋」と、一段低い場所に架かる全長59 メートルの「しゃくなげ橋」の総称。古くから川辺川を渡る地元住民の生活道として利用され、30余年前に地元の杉や栗の木を使った木製の吊り橋に架け替えられた。橋上からは壮大な渓谷美を一望。床板の隙間からは険しい谷間がのぞき、スリル満点。


樅木の吊橋

●交通アクセス
八代駅から車約100分
●URL
https://www.city.yatsushiro.lg.jp/kankou/kiji003100/

八代市立博物館未来の森ミュージアム

八代城主・松井家の貴重な遺品を紹介


八代城主・松井家の居城だった八代城跡付近にある博物館。緑の芝に覆われた小高い丘に立ち、周囲の自然に溶け込んだスタイリッシュな外観が印象的。常設展示室では、松井家ゆかりの武具や絵画、調度品などを展示するとともに、八代の歴史や文化を紹介。館内にはカフェを併設し、地元の素材をふんだんに使った日替わりランチなどが楽しめる。


八代市立博物館未来の森ミュージアム

●交通アクセス
八代駅から車約15分
●URL
http://www.city.yatsushiro.kumamoto.jp/museum/index.jsp

さかもと八竜天文台

大型の屈折望遠鏡で満天の星を観察


標高約500メートルの八竜山にあり、昼間は八代平野や八代海、長崎の島原半島まで一望。館内には世界最大級のEDレンズ使用の屈折望遠鏡をはじめ、反射望遠鏡や大型双眼鏡で星空を観測できる観測室やミニプラネタリウムがあり、係員が星や星座について分かりやすく解説してくれる。敷地内にはロッジやコテージなどの宿泊施設も完備。


さかもと八竜天文台

●交通アクセス
坂本駅から車約20分
●URL
http://www.astro.city.yatsushiro.kumamoto.jp/

食処さかもと 鮎やな

球磨川を眺めながらアユ料理を堪能



「道の駅 坂本」の敷地内に期間限定でオープンするアユ料理の専門店。店内の大きなガラス窓から清流・球磨川を眺めながら食事が楽しめる。メニューは、アユの背ごし(写真)や塩焼き、唐揚げ(各600円)など単品のほか、お得な定食(全8品1500円~)も充実している。


食処さかもと 鮎やな

●交通アクセス
坂本駅から車約8分
●URL
https://sakamoto-ayuyana.jimdofree.com/

神瀬の石灰洞窟

日本最大級の洞口を持つ鍾乳洞


石灰岩でできた間口45メートル、高さ17メートル、奥行き70メートルの洞窟。江戸時代の医者で文人の橘南谿(なんけい)が記した紀行文『西遊記』にも登場する。天井から無数の鐘乳石が垂れ下がり、イワツバメが生息する洞窟内には、縁結びの神様として知られる熊野座神社が鎮座。神社の近くには〝神様の水〟といわれる長命水が湧出している。


神瀬の石灰洞窟

●交通アクセス
白石駅から徒歩約20分
●URL
https://hitoyoshikuma-guide.com/2019/02/22/kaminosesextukaidouktu-kumanozajinjya/

球泉洞

自然の神秘を感じる九州最大級の鍾乳洞


約3億年前、海底の石灰岩層が隆起して形成されたといわれる九州最大級の鍾乳洞。総延長約5キロメートルのうち約1キロメートルが観光用に公開されている。年間を通して16度に保たれた洞内は、石柱や石筍など、自然が造り出した神秘的な光景が続く。一般コースと、さらに奥まで進み冒険気分が味わえる探検コースがある。


球泉洞

●交通アクセス
球泉洞駅から車約5分
●URL
https://www.kyusendo.jp/

球磨川ラフティング

球磨川の激流をスリリングに下ろう


日本三急流の一つ、球磨川を大型ゴムボートで下るアクティビティー。パドルを操作し、同乗者同士のチームワークで難所を乗り越えていくスリルと爽快感は格別。乗船前には講習があり、経験豊富なインストラクターガイドが同乗するので初心者も安心。半日コースや1日コースなどのプランから選択できる。終了後は地元の温泉施設が利用できるチケット付き。


球磨川ラフティング

●交通アクセス
渡(わたり)駅から徒歩約1分
●URL
http://www.landearth.co.jp/

青井阿蘇神社

桃山時代の建築様式が壮麗な国宝


平安時代初頭の806(大同元)年に創建。国宝に指定されている本殿・廊・幣殿・拝殿・楼門の5棟は、相良(さがら)家当主20代・長毎(ながつね)によって1610(慶長15)年から4年の年月をかけて造営された。社殿には桃山様式の建築技術が用いられており、楼門や拝殿の茅葺き屋根、細部の木組みや彫刻などは一見の価値あり。


青井阿蘇神社

●交通アクセス
人吉駅から徒歩約5分
●URL
https://aoisan.jp/

松龍軒

野菜たっぷりの薄皮餃子が絶品


薄皮の手包み餃子が人気の餃子専門店。食事メニューは「焼ぎょうざ」(1人前8個370円)のみ。カリッと香ばしく焼き上げられた薄皮と、キャベツやニンニクなど野菜たっぷりの自家製あんが相性抜群で、思わずビールが飲みたくなること請け合い。小ぶりサイズでさっぱりとした味わいなので、1人で2~3人前はペロリと食べられる。


松龍軒

●交通アクセス
人吉駅から徒歩約15分
●URL
https://hitoyoshikuma-guide.com/2019/03/04/shouryuken/

繊月酒造

焼酎蔵の見学後は多彩な銘柄を飲み比べ


1903(明治36)年創業の蔵元で、全国を代表する米焼酎〝球磨焼酎〟を製造。地元で長年親しまれている代表銘柄「繊月」や、国内外のコンテストで多くの賞を受賞している「川辺」で知られる。米焼酎の製造工程を学べる焼酎蔵見学もできる。終了後は、球磨川を望む「繊月城見蔵」で約30銘柄の米焼酎が試飲でき、蔵限定品などの購入もできる。


繊月酒造

●交通アクセス
人吉駅から徒歩約15分
●URL
http://www.sengetsu.co.jp/

人吉温泉 元湯

地元で80年以上愛されている共同湯


〝美人の湯〟として名高い人吉温泉に点在する共同浴場の一つ。人吉城跡内にあり、1934(昭和9)年の開業以来、地域の住民に愛されてきた。男女別の浴室には、開業当時のノスタルジックな雰囲気を残す内湯が一つ。やや熱めの柔らかな湯は、湯冷めしにくく肌がつるつるになると評判。早朝から営業しているのもうれしい。


人吉温泉 元湯

●交通アクセス
人吉駅から車約5分
●URL
https://hitoyoshikuma-guide.com/2019/02/18/hitoyoshionsen-motoyu/

人吉鉄道ミュージアムMOZOCAステーション868

肥薩線について遊びながら楽しく学ぼう


近代化産業遺産である肥薩線の魅力を伝える鉄道ミュージアム。「もぞか」とは人吉球磨地方の方言で「可愛い、小さい」という意味がある。一番人気は、館内から人吉駅近くまで走るミニトレイン(有料)。他にも、プラレールやレイルバイク(有料)、ミニシアター、ボールプールなどがあり、家族連れから鉄道ファンまで幅広く楽しめる。


人吉鉄道ミュージアムMOZOCAステーション868

●交通アクセス
人吉駅から徒歩約2分
●URL
https://www.city.hitoyoshi.lg.jp/museum/

地図

  • 文:佐藤史(ポルト)
  • 写真協力:八代市泉支所地域振興課、八代市文化振興課、五木村ふるさと振興課、八代市立博物館未来の森ミュージアム、さかもと八竜天文台、坂本住民自治協議会、日奈久温泉観光案内所、八代市イベント推進課、球磨村企画振興課、ランドアース、青井阿蘇神社、繊月酒造、人吉温泉観光協会、人吉鉄道ミュージアム MOZOCAステーション868、相良村産業振興課、株式会社ポルト
  • 掲載されているデータは2019年5月現在のものです。変更となる場合がありますので、お出かけの際には事前にご確認ください。
トレたび公式SNS
  • X
  • Fasebook