2020.10.27旅行おうちで旅気分!【小樽・秋田・郡上八幡・枚方・高松・大分】知識を深めれば、リアルな旅で倍楽しい!!
旅心がうずいたら、PCやスマホ片手にバーチャルツアーへGo!
「Go To Travel」も始まり、旅に出たいような、もう少し様子をみたほうがいいような……。どちらにしても旅心がうずいたら、全国の観光地のバーチャル映像でオンライン観光を楽しんでみるのはいかが? 一番良い瞬間を切り取った観光写真はもちろん美しいけれど、YouTubeなどで公開している動画や360度カメラを用いた映像など、より臨場感たっぷりで本当の良さが分かるだろう。ドローン映像など現地に行っただけでは見られない素晴らしい映像を目の当たりにできる点もいい。バーチャル映像で知識を深めて、いずれ現地を訪れれば、リアルな旅が何倍も楽しくなるはず。
<北海道・小樽>瀟洒(しょうしゃ)な石造倉庫群が連なる小樽運河の魅力を伝える「ぐるっと小樽 VR&360°カメラ」
北海道開拓の玄関口として発展し、運河沿いの石造倉庫群が往時のままに残る小樽。石造倉庫は飲食店や土産物店などとしてリノベーションされており、それらに立ち寄りながらの運河沿いの散策は心躍る。そんな小樽の魅力の一端をバーチャルに垣間見られるのが「ぐるっと小樽 VR&360°カメラ」。
「小樽市総合博物館 運河館」は1893(明治26)年築の「旧小樽倉庫」を利用した建物内で、小樽市の歴史と自然環境に関する資料約2万点を展示。サイト内の該当画像をクリックすると、「小樽市総合博物館 運河館」のGoogleマップ ストリートビューに飛び、館内を次々とオンライン散策できる。石造の外観の立派さはもちろん、江戸時代後半から盛んになったニシン漁業の屏風絵、北前船で栄えた商家が復元された大正時代の町並みなど、現地での観賞に負けず劣らずの楽しさ。復元家屋の看板が気になり、その部分をズームして「西川商店」の名を見つけた。検索して調べると、江戸時代からこの地域でニシン漁場を経営していた小樽のニシン漁の網元であることが分かるなど、ふつふつと面白みを感じる。
「小樽市総合博物館 本館(展示室)」には「蒸気機関車資料館」があり、数々の鉄道車両をオンライン観賞できるので、鉄道好きなら、こちらのGoogleマップ ストリートビューも必見。1909(明治42)年に製造された蒸気機関車「アイアンホース号」は屋外展示場の「中央ホーム」と「手宮ホーム」の間を運行されており、体験乗車ができるというから、それは訪れたときのお楽しみだ(冬期運休)。
「ぐるっと小樽 VR&360°カメラ」ではほかに、ともに旧小樽倉庫を利用した観光案内所「運河プラザ(小樽市観光物産プラザ)」と土産店「小樽百貨UNGA↑(うんがぷらす)」も紹介。小樽百貨UNGAのVRショップで紹介されている、数々のおしゃれでおいしそうな土産品はオンライン購入もできる。
<東日本・秋田県>怖くて、ほほ笑ましいナマハゲを体感できるアキタノバーチャルトリップ
「泣く子はいねが~」。秋田県男鹿市で大晦日に行われる伝統行事「男鹿のナマハゲ」は国の重要文化財に指定されており、国内では知らない人のほうが少ないだろう。さらに、ユネスコ無形文化遺産「来訪神:仮面・仮装の神々」にも登録されている。男鹿のナマハゲを実際に見ることは、ひと昔前ならば現地に行かなければ無理だったが、現在はYouTubeに数々のナマハゲの動画が公開されている。なかでも秋田県が制作したアキタノバーチャルトリップVol.2「なまはげ行事」は360度パノラマ動画となっており、臨場感たっぷり。
映像は、男鹿地方の典型的な曲家(まがりや)を利用した「男鹿真山(しんざん)伝承館」で、観光客向けに常時再現上演しているナマハゲを映したもの。「ウ~」と雄叫びをあげながら家にやって来るナマハゲの迫力はさすが。しかし、家の主人は怖いナマハゲを秋田弁で和やかに迎え入れ、もてなしの膳を振る舞う。膳を出されたナマハゲは、主人の「おめでとうございます」の挨拶にあわせて丁寧に頭を下げるなど、意外に礼儀正しくほほ笑ましい。動画を回転させれば、伝承館で見学する人たちの様子も見ることができ、その笑顔に「実際に見学したら、より楽しいだろうな~」と旅への期待がじわじわと高まる。
県内の観光地を撮影した360度パノラマ動画「アキタノバーチャルトリップ」はvlo.4まで公開中(vol.1の秋田県立美術館は公開終了)。vol.3は「アスピーテライン・八幡平雪の回廊」。動画のスタート時はカメラが進行方向に対して右側の雪壁を向いているが、カメラが進行方向に向くと、まさに雪の回廊の間を車で走っているよう。スタートして間もなくは左手には雪壁がなく、下方に広がる山並みも眺められるので、そのあたりも要チェックだ。
vol.4は「大潟村菜の花ロード満開の桜と菜の花」。道路の両側約1.1㎞にわたり桜並木と鮮やかな黄色の菜の花が続き、バーチャルドライブとはいえ気分は上々。実際のドライブはさぞや。動画の説明文にある「村内にある、国内では非常に珍しいと言われるモール泉の温泉とセットでどうぞ!」のおすすめ通り、ぜひとも訪ねたいものだ。
<東海・岐阜県>郡上八幡の水風景や紅葉の名園を360度バーチャルツアー!
長良川の上流に位置し、奥美濃の山々から流れ出る吉田川が町の中心を流れ、町のいたるところで清水が湧き出す水の郷、郡上八幡。観光協会では「360°バーチャルツアー」のページを設けており、その水風景や寺社仏閣、郡上八幡城などの名所を紹介している。
古くから水文化息づく町だけに、その水風景はどれも素晴らしいが、なかでも旅心をそそられるのが「やなかの水のこみち」。繁華街から一つ角を曲がった途端、まるで時を遡ったかのように広がる情緒豊かな光景だ。映像は、石畳をしっとりと濡らす露がおりた朝。石畳の道の脇には、江戸時代に防火と生活用水の目的で整備された水路が流れる。「中嶋屋」など近くの宿に泊まり、ぜひとも朝、散歩したいものだ。
吉田川や環境省の名水百選に指定されている湧水「宗祇水」、いがわ小径などのバーチャル水風景を堪能したら、ぜひ慈恩禅寺のバーチャル映像も見てみよう。境内にある庭園「莖草園(てつそうえん)」は東殿(とうど)山麓の巨岩をそのまま生かした室町様式の禅宗庭園で、紅葉の美しさは息をのむほど。360度ゆっくりと回転する紅葉の庭の映像はいつまでも見ていたくなる。
郡上八幡といえば、7月中旬~9月に上旬にかけて30夜以上にわたって行われる「郡上おどり」があまりにも名高い。バーチャルツアーとは別ページだが、郡上おどりを紹介するページの下部に「かわさき」や「春駒」「三百」「げんげんばらばら」など、さまざまな種類の郡上おどりの動画が公開されているので、そちらもチェックしてみるといいだろう。
<西日本・大阪府枚方市>棚田もある! 大阪のベッドダウン・枚方の自然を楽しむバーチャルツアー
京都と大阪をつなぐ淀川の中間地点に位置する枚方は、かつて人と物の行き交う交通の要衝として栄え、宿場町の風情が残る町並みや、継体(けいたい)天皇が6世紀初めに即位したと伝えられる樟葉宮(くずはのみや)跡、大阪城に並ぶ国の特別史跡である百済寺跡など歴史的名所が多い。1984(昭和59)年には市制35年を記念して「ふるさと枚方」らしい風景を将来に伝承していくことを目的に「枚方八景」を定めた。そんな風景的魅力を有する枚方市は、外出しづらい状況が続いていた今夏、「気兼ねなくお出かけできる日が早く来ることを願って」、枚方の自然豊かな場所をハイキングする「バーチャルツアー」の動画公開をYouTubeで開始した。
第1弾は「枚方の大自然を歩く! 国見山の展望」。ハイキング映像はまっすぐにのびる檜の森、愛らしい季節の花の咲く道、鬱蒼(うっそう)と茂る緑の草木、木の根が露出したごつごつした山道など、標高300mながら本格的な登山らしさも感じさせる。動画では1分ほどで山頂に到達。「国見山の展望」は前述の「枚方八景」のひとつで、枚方の町並みはもちろん、京都から大阪方面にかけてのパノラマが広がる。見晴らしのよい日には淀川の下流の方向に六甲山や白く光る大阪湾も見えるという。動画は山頂で終了しているが、南麓を下ると、穂谷の棚田に出る。大阪最大級のベッドタウンである枚方で、日本の原風景と呼べるような棚田に出合えるとは。これは、ぜひ、国見山に登って棚田に下るコースを歩いてみたい!
バーチャルツアーは現在、第5弾まで公開中。第3弾「淀川の自然を感じる 淀川河川公園」は枚方八景のひとつ「淀川の四季」と、第5弾「自然豊かで広大な公園を歩く! 山田池公園」は八景「山田池の月」と関連する。ともに季節の花々が咲き、緑陰豊かで、自然の心地よさが感じられる映像だ。大阪からすぐ行ける枚方ハイキング、状況を見つつ出かけみてはいかがだろうか?
<四国・香川県>高松での1日を遊び尽くせるスポットが詰め込まれた動画「travel in TAKAMATSU city」
世界最大規模の旅行予約サイト「Booking.com」が昨秋発表した「2020年に訪れるべき目的地TOP10」において、日本では唯一「高松」が選ばれ、うどん王国としての側面や栗林公園等もあわせて紹介された。その高松市は、公式観光サイト「Experience Takamatsu」内で高松の魅力を世界に発信する動画5本を配信している。
その中の1本「travel in TAKAMATSU city」は内容充実で、この動画1本で「訪れるべき高松市内の見る・食べる・体験するスポット」が定まる。なんといっても楽しそうなのが、体験教室「豆花」での和三盆練りきり体験。季節にちなんだ草花や動物、讃岐の名物や名所にちなんだ木型から好みの型を選択。作る和三盆の色も、ピンクや緑など5色から選べる。そして、つなぎのない100%の和三盆糖を用い、水分を加えながら混ぜ、木型に詰めて形作っていく。出来上がったばかりの和三盆は柔らかで口の中でほろりとほどけるように溶ける。この味わいが楽しめるのは出来立てだからこそ。
動画はもちろん高松一の名所「栗林公園」の紹介もあり、その美しさはさすが。さらにこの動画のいいところは個別の飲食店やショップなども取り上げられていること。築100年の倉庫街を活用した「北浜アリー」はレストラン、カフェ、雑貨やアートに溢れる商業複合施設で、おしゃれ度満点。瀬戸内海を一望するカフェの魅力は絶大だ。さぬきうどん店「うどん職人さぬき麵之介」、四国の郷土料理店「四国・讃岐ぴかでり屋」といった垂涎ものの料理映像もある。
動画紹介ページには、ほかに高松の奥座敷と呼ばれる温泉郷「塩江町」の自然豊かな動画や、海外へも輸出されている高松の名物「盆栽」の紹介動画もある。
<九州・大分県>「おんせん県おおいた」はユニークな動画と、シリアスでカッコイイ動画が目白押し
大分県制作の動画といえば、5年前の「シンフロ」を覚えている人も多いことだろう。元・日本代表選手が率いるプロのシンクロチームが、大分県の各温泉でシンクロナイズドスイミングを披露した映像だ。楽しくて、すぐにでもその温泉に行って自分も浸かりたい気持ちになる。大分県はその後も数々の動画を制作しており、大分県観光情報公式サイトの動画コーナーには現在30本の作品が掲載されている。新型コロナの早期終息と、みんなが安心して旅行できるその日まで自宅のおフロを楽しんでほしいという願いを込めて、疫病退散の妖怪「アマビエ」が温泉でシンフロ(シンクロナイズドスイミング)したり、家庭の風呂に浸かるユニークな動画「うちフロ」もある。
一方で、大分の自然の雄大さ、美しさをまざまざと見せつけるカッコイイ動画もある。「ドローンで見るおんせん県おおいたダイジェスト版」は牧ノ戸峠の山景色から始まり、別府湾、原尻の滝、耶馬溪、田ノ浦ビーチ、久住山と、次々と美しい風景が現れる。宇佐神宮や臼杵(うすき)石仏、両子寺(ふたごじ)、文殊仙寺といった歴史的建造物を空から見た映像はあまりにも荘厳。実際に訪れる際には、その映像を目に焼き付けておき、現地で思い起こしながら目の前の光景とともに味わいたい。とにかくカッコよく美しく癒される映像なので、一度じっくり見るだけにとどまらず、大画面ディスプレイで、BGM(バックグラウンド・ムービー)として繰り返し流し続けたいほどだ。
その他の「ドローンで見る」シリーズの「ドローンで見るおんせん県おおいた 岡城址編」は、標高325mの高さにそびえ立つ竹田市の岡城址を映したもの。櫓など建物の遺構はないが、その分、そそり立つ石垣が美しく、空から望む石垣に囲まれた城址は哀愁ただよう。さまざまなタイプの揃う大分の動画、旅が恋しくなったら気軽に見てみよう。
どこへでも行ける、指先から始まる鉄道旅行
動画や360°カメラなどを駆使したバーチャル観光は、意外にもたくさんある。VRカメラを用いたらもっとリアルに近い体験ができるかもしれない。バーチャル観光を満喫したら、各観光サイトの名産品紹介ページなどから土産物やご当地グルメを調べて、取り寄せてみるのもいい。今だからこそ、いつか行く旅の下見がてら、全国各地のバーチャル観光で日本を楽しみ、日本の良さを再発見できるのでは? そして実際に現地を訪れることができたときには、想像した匂いや光をリアルに感じて深い感動に包まれることだろう。心はいつでも旅模様。線路は続くよどこまでも。
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【東北・北海道新幹線はやぶさ(E5系/H5系)】
運転区間:東京駅~新青森駅~新函館北斗駅
東京駅~北海道・新函館北斗駅を、日本最速の最高時速320km、最速3時間58分でつなぐ。ゆったりとした快適な車内で贅沢なひと時を過ごすことができる。北海道新幹線のH5系は、外観の中央に配置された「彩香パープル」の帯が特徴で、ライラック、ルピナスなど北海道の代表的な花をイメージしている。
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【秋田新幹線E6系こまち】
運転区間:東京駅~秋田駅
歌人として名高い小野小町の名に由来する東北新幹線「こまち」。車体に使われている茜色は、なまはげの面や竿灯まつりの提灯の明かりなどをあらわしている。「はやぶさ」と連結して、最高時速320km/hで運転中。
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【(ワイドビュー)ひだ】
運転区間:東海道本線・高山本線 大阪駅・名古屋駅~岐阜駅~高山駅・飛騨古川駅・富山駅
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- ※写真協力/(一社)小樽観光協会、秋田県、郡上八幡観光協会、大阪府枚方市、高松市役所創造都市推進局、(公社)ツーリズムおおいた
- ※文/赤木はるな
- ※掲載されているデータは2020年10月現在のものです。変更となる場合がありますので、お出かけの際には事前にご確認ください。