東釧路駅と網走駅を結ぶ釧網本線は、道東を南北に走る約166キロメートルのローカル線。
車窓からは、釧路湿原や摩周湖、オホーツク海など、豊かな道東の自然が満喫できる。
ただし、全線を通して走るのは1日5往復。
オホーツク海に流氷が訪れる冬期には、釧路駅~標茶(しべちゃ)駅間の「SL冬の湿原号」や網走駅~知床斜里(しれとこしゃり)駅間の「流氷物語号」といったファン垂涎の列車が運行され、冬の道東ならではの絶景を満喫できる路線でもある。
※写真は浜小清水(はまこしみず)駅~止別(やむべつ)駅間
流氷や個性的な湖など、自然豊かな道東。白銀に包まれた冬の北海道・釧網本線の旅
釧網本線路線図
釧網本線列車
SL冬の湿原号
冬の時期に運行される臨時列車。もうもうと蒸気を上げるC11形171号機が5両の客車を牽引する。車内はニス塗りの重厚な壁や木枠など、「本物のレトロ」にこだわっている。地元ガイドによるガイドも好評で、途中、タンチョウやエゾシカ、オオワシなどの大型野生動物と出会うと列車を停車させてやり過ごすことがある。乗車証明書の配付や限定グッズの販売も行われ、沿線地域からの「ちょっぴりプレゼント」を実施。
「SL冬の湿原号」についてもっとくわしく
釧網本線おすすめスポット情報
網走流氷観光砕氷船 おーろら
流氷の中を運航する冬の風物詩
北緯44度にある網走は海が白く覆われる南限。流氷に覆われたオホーツク海を砕氷しながら約1時間運航する。流氷を間近で見られ、船底に流氷がぶつかる震動もたまらない。氷上で休むアザラシや、悠然と飛行するオオワシのほか、キタキツネやエゾシカなどの野生動物と出会えることも。
網走流氷観光砕氷船 おーろら
●交通アクセス
網走駅から網走バス「観光施設めぐり」約10分、道の駅 流氷砕氷船のりば下車
●URL
https://www.ms-aurora.com/abashiri/
博物館 網走監獄
最果ての刑務所といわれた旧網走刑務所
旧網走刑務所の庁舎や二見ヶ岡刑務支所、教誨堂など、旧建造物を保存公開する日本で唯一の監獄博物館。国の重要文化財にも指定されている木造平屋の舎房は、中央見張所を中心に5方向へ放射状に延びており、木造平屋で完全な形で残るのはここだけ。明治時代の行刑建造物を通して北海道開拓の歴史などを詳しく知ることができる。
博物館 網走監獄
●交通アクセス
網走駅から網走バス「観光施設めぐり」約3分、博物館網走監獄下車すぐ
●URL
https://www.kangoku.jp/
北海道立北方民族博物館
北方民族の歴史や文化を紹介
アイヌ民族をはじめ、ロシアやアラスカ、北欧など、北方民族の文化を紹介。ホールは、北方地域に広く見られる円錐形のテントをイメージしている。常設展示では衣食住などのテーマ別に、約900点の貴重な資料を展示。ロビーでは、トナカイなどの毛皮や土器、アイヌの弦楽器・トンコリに触れたり、アイヌとモンゴルの民族衣装体験ができる。
北海道立北方民族博物館
●交通アクセス
網走駅から網走バス「観光施設めぐり」約14分、北方民族博物館下車すぐ
●URL
http://hoppohm.org/index2.htm
YAKINIKU 網走ビール館
地元をイメージしたカラフルな発泡酒
網走川沿いにあり、1階はスタイリッシュなニューヨークテイスト、2階は掘りごたつがある和風スタイル。自社工場直送の発泡酒が好評で、流氷を仕込み水に使用し、ブルーが特徴的な「流氷ドラフト」や網走産小麦を使用した「ABASHIRI ホワイトエール」など、色彩豊か。地元のブランド牛・オホーツクあばしり和牛の焼肉と味わいたい。
YAKINIKU 網走ビール館
●交通アクセス
網走駅から徒歩約7分
●URL
https://www.takahasi.co.jp/beer/yakiniku/
藻琴駅
鉄道博物館のような飲食店がある駅舎
映画『網走番外地』にも登場した小ぢんまりとした木造の駅。駅舎は大正時代に建てられたもので、かつての駅事務所は「軽食&喫茶 トロッコ」として再利用されている。レトロな造りの店内は、列車で使用されていたいすや網棚など昔懐かしい鉄道グッズが飾られていて、まるで博物館のよう。珈琲や地元食材を使用した料理とともに満喫できる。
藻琴駅
●交通アクセス
藻琴駅下車
●URL
https://www.jrhokkaido.co.jp/network/station/station.html#4550
北浜駅
駅舎の壁や天井に名刺がビッシリ
「オホーツク海に一番近い駅」とも呼ばれる木造の駅舎。ホームに出るとオホーツク海が広がり、冬期には流氷が見えることもあるという。待合室の壁や天井は、名刺やきっぷなどで埋め尽くされている。また、1980(昭和55)年頃から当時の駅長発案による貝殻通行証が話題となり、駅舎の一角にある「軽食&喫茶 停車場」で現在も続けられている。
北浜駅
●交通アクセス
北浜駅下車
●URL
https://www.jrhokkaido.co.jp/network/station/station.html#4551
濤沸湖
貴重な野鳥などが見られる汽水湖
名前の「とうふつ」は、アイヌ語の「トプッ」に由来し、湖の口のことを表す。いくつかの川の水と海水が混じる汽水湖で、豊かな海の栄養が加わるため生きものたちの楽園。冬期には越冬のために飛来するオオハクチョウやオオワシのほか、湖面状況によりタンチョウなどが見られる。キタキツネやエゾユキウサギなどの動物も数多く棲息する。
濤沸湖
●交通アクセス
北浜駅から徒歩約10分
●URL
https://www.city.abashiri.hokkaido.jp/230boen_kankyou/tofutsu-ko/index.html
フレトイ展望台
流氷越しに雪化粧をした知床連山を望む
原生花園の東端の丘に立つ、白いピラミッドのような展望台。オホーツク海をはじめ、濤沸湖や知床連山まで一望でき、2~3月には、知床連山をバックに流氷を望む美しい冬景色を満喫できる。近くには、2018年4月にオープンした観光案内を行うビジターセンターと、アウトドア部ランド直営店の複合施設「小清水ツーリストセンター」がある。
フレトイ展望台
●交通アクセス
浜小清水駅から徒歩約5分
●URL
https://www.town.koshimizu.hokkaido.jp/hotnews/detail/00000107.html
ウトロ温泉
湯に浸かりながら海に沈む夕日を楽しむ
知床半島の西岸・オホーツク海側とウトロ港側の高台に分かれた温泉街。ウトロ港にはウトロの観光船の発着所があり、世界遺産である知床観光の拠点としても利用できる。温泉は褐色の濁り湯で、美肌の湯としても知られる。ウトロ港を見下ろす断崖の上には、共同浴場があり、露天風呂からはオホーツク海に沈む夕日を見渡すことができる。
ウトロ温泉
●交通アクセス
知床斜里駅から斜里バス「羅臼」行き約50分、ウトロ温泉バスターミナル下車
●URL
https://www.shiretoko.asia/list_hotel.html
清里焼酎醸造所
日本初のジャガイモを使った焼酎
知床半島の付け根に位置する清里町にある醸造所で、ヨーロッパの古城のような建物が目印。北海道特産のジャガイモを使った焼酎の元祖としても知られている。斜里岳山麓から湧いた澄んだ水と、肥沃な大地が育てたジャガイモが原料。ほのかな甘みと爽やかな風味の優しい味わいの焼酎に仕上がっている。年末年始を除けば蔵内の見学もできる。
清里焼酎醸造所
●交通アクセス
清里町駅から徒歩約20分
●URL
https://www.kiyosato-shochu.com/
硫黄山
雪に覆われた地に、白煙が上がる
活発な活動をしている活火山で、かつては大規模な硫黄の採鉱が行われていた。山肌には無数の噴気孔があり、硫黄分を含む白煙が上がる。中腹には深さ約50メートルの「熊落とし」と呼ばれる火口跡がある。川湯温泉街から約3キロメートルの散策路が整備され、エゾイソツツジが咲く6月中旬~下旬、秋の紅葉など、四季折々の景観が楽しめる。
硫黄山
●交通アクセス
川湯温泉駅から車約10分
●URL
https://www.masyuko.or.jp/introduce/iouzan/
川湯温泉
源泉100パーセントの温泉で体を癒やす
温泉街の中を高温の温泉川が流れ、湯煙を上げて硫黄の匂いが漂っている。日本でも珍しい「源泉100パーセントかけ流し宣言」をしていて、強酸性の良泉を楽しめる。摩周湖や屈斜路湖などがある阿寒摩周国立公園の観光拠点にもピッタリ。温泉街には24時間無料で利用できる足湯があり、温まれば、血行がよくなり肌もツルツル。
川湯温泉
●交通アクセス
川湯温泉駅から阿寒バス「川湯温泉街」行き約10分、終点下車
●URL
https://www.visit-hokkaido.jp/info/detail/230
川湯温泉駅
美しいと評判のログハウス風の駅舎
赤い三角屋根が目印の1936(昭和11)年築のログハウス風駅舎。駅舎には北海道らしさを感じさせる木材がふんだんに使用されている。駅舎内には川湯温泉出身の昭和の名横綱・大鵬の写真を展示。事務所と貴賓室は現在では喫茶「オーチャードグラス」となっている。駅に併設された丸太組の建物は足湯で、ベンチやテーブルが設置されている。
川湯温泉駅
●交通アクセス
川湯温泉駅下車
●URL
https://www.masyuko.or.jp/introduce/kawayu_jr_ashi/
屈斜路湖
凍結された白い湖面が幻想的
日本最大のカルデラ内にある周囲約57キロメートルにも及ぶ湖。カルデラ湖として日本で一番大きく、湖に浮かぶ周囲約12キロメートルの中島は、淡水湖内では日本一大きい。周囲の3つの峠からは、原生林に囲まれた湖を見渡せる。毎年400~500羽の白鳥が越冬に訪れている。もしかしたら謎の怪獣・クッシーに出会えるかも?
屈斜路湖
●交通アクセス
川湯温泉駅から車約15分
●URL
https://www.masyuko.or.jp/introduce/kussharoko/
摩周湖
神秘的な深い青色の湖面が美しい
周囲約20キロメートル、最深211.4メートルのカルデラ湖。湖は300~400メートルの絶壁に囲まれ、長い時間霧に包まれることから「霧の摩周湖」とも呼ばれている。また、不純物が少なく、世界一級ともいわれる透明度を誇る湖は、青以外の光の反射が少なく、晴れた日には摩周ブルーともいわれる神秘的な色を呈する。周辺には3つの展望台がある。
摩周湖
●交通アクセス
摩周駅から阿寒バス「摩周湖第1展望台」行き約25分、終点下車すぐ
(バスの運行期間・時間については阿寒バス摩周営業まで要連絡。TEL 015-486-7716)
●URL
https://www.masyuko.or.jp/introduce/mashu/
細岡展望台
釧路湿原を望む夕日がきれいな展望台
釧路湿原の東側に位置する展望台。大きく蛇行する釧路川や釧路湿原を眼下に、遠く雄阿寒岳や雌阿寒岳のシルエットが浮かび、雄大な風景を見渡すことができる。美しい夕日を望む名所としても知られ、川面に反射する夕日と暮れなずむ空の様子は心に残る。隣接する細岡ビジターズ・ラウンジでは暖炉で温まりながら軽食やコーヒーが楽しめる。
細岡展望台
●交通アクセス
釧路湿原駅から徒歩約20分
●URL
http://www.kushiro-shitsugen-np.jp/tenbou/hosooka/
釧路赤ちょうちん横丁
居酒屋が集結する昭和を感じさせる横丁
1952(昭和27)年頃にリヤカー屋台として露店営業をはじめ、1968(昭和43)年に現在地に共同店舗として出店。各店舗前には名前の通り赤ちょうちんが灯り、昭和の風情を感じられる。店舗は、焼き鳥屋や小料理屋、炭火焼屋、イタリアン、フレンチなど、実にさまざま。学生からサラリーマン、OL、年配の方まで、多くの人たちで賑わっている。
釧路赤ちょうちん横丁
●交通アクセス
釧路駅から徒歩約12分
●URL
https://akayoko946.com/
釧路一之宮 厳島神社
漁場安全や豊漁のご利益がある神社
江戸時代から現地の人々の守り神として仰がれている古社。漁場安全のため、広島の厳島神社の御分霊を勧請(かんじょう)したのが始まりといわれ、明治時代になり現在地へと移転した。七柱の祭神の中には、雄阿寒岳と雌阿寒岳の山神・阿寒大神も祭られている。隣接する米町公園からは太平洋や釧路港が見下ろせ、遠く雄阿寒岳や雌阿寒岳を望む。
釧路一之宮 厳島神社
●交通アクセス
釧路駅からくしろバス「たくぼく循環線」約10分、米町公園下車徒歩約2分
●URL
http://kushiro-itsukushimajinja.com/
釧路和商市場
釧路一の歴史がある市場で勝手丼を堪能
1954(昭和29)年に「市民の台所」として設立された、釧路で一番歴史がある市場。市場名は「わっしょい」という掛け声と、「和して商う」を合わせて名付けられたという。新鮮な魚介類や水産加工物、肉や野菜など、約60店舗が並ぶ。市場の名物は勝手丼。購入したご飯に、好みの魚介類を好みの量だけのせるオリジナルの海鮮丼が食べられる。
釧路和商市場
●交通アクセス
釧路駅から徒歩約5分
●URL
https://www.washoichiba.com/
鶴居・伊藤タンチョウサンクチュアリ
タンチョウを詳しく知ることができる
タンチョウが数多く飛来する保護区。タンチョウと生息地を保護するために設立し、エサの少ない冬期には給餌活動をしている。給餌場では、間近でタンチョウを観察することができ、ボランティアやレンジャーがタンチョウの生態について説明をしてくれる。ネイチャーセンターでは、鳴き声や行動などについての解説を行ってくれる。
鶴居・伊藤タンチョウサンクチュアリ
●交通アクセス
釧路駅から阿寒バス「つるい保養センター」行き約60分、鶴居村役場前下車徒歩約10分
●URL
http://park15.wakwak.com/~tancho/
釧網本線イベント情報
知床流氷フェス2019 期間:2019年1月30日~2月28日
世界遺産知床で冬の魅力満載のイベント
国設知床野営場を会場に行われる体感型イベント。流氷ライトアップやアイスドーム、アイスバーなど、美しい氷の造形を見ながら、知床の厳しい寒さを体感できる。たき火スペースでは炎の心地よい温もりに包まれ、そのほかに自然ガイドによるガイドトークショーや空中テントの体験なども楽しめる。会場では地元の素材にこだわった飲食物の販売も行っている。
釧網本線おすすめの宿
地図
- ※文:速志 淳(アド・グリーン)
- ※写真協力:道東観光開発株式会社、網走監獄保存財団、北方文化振興協会、株式会社タカハシ、網走市観光協会、網走市生活環境課、小清水町産業課、知床斜里観光協会、清里焼酎醸造所、摩周湖観光協会、弟子屈町観光商工課、釧路観光コンベンション協会、釧路赤ちょうちん横丁株式会社、釧路一之宮 厳島神社、釧路和商共同組合、日本野鳥の会
- ※掲載されているデータは2018年12月現在のものです。変更となる場合がありますので、お出かけの際には事前にご確認ください。