「トクトクきっぷ」の買い方を追究
これまで各地の「トクトクきっぷ」を紹介してきました。トクトクきっぷは、使い方や有効日数がさまざまで、上手に活用するためにはルールをおさえることが重要です。加えて、きっぷによって、発売箇所や購入方法も異なります。
そこでエリア別、方法別に「トクトクきっぷ」の買い方を紹介していきます。第6弾はJR九州エリア編です!
トクトクきっぷとは?
トクトクきっぷは、正式名称を「特別企画乗車券」といい、ざっくり説明すると「列車がお得に利用できるJRのきっぷ」です。JR九州では「割引きっぷ」と呼ばれるなど、会社によって呼び方は少しずつ異なるものの、ルールはおおむね共通しています。
また、トクトクきっぷの種類は、大きく以下の5つに分けられます。
- 回数券タイプ:新幹線や特急列車等のきっぷが複数枚綴りになったもの。券面に書かれた駅間のどちらから利用してもよいため、グループのほか、往復利用などにおすすめです。
- 片道タイプ:早めの購入で割引になるタイプ。旅行の計画が定まっている人向け。最近はチケットレスを含めて、ネット限定タイプも増えています。
- 往復タイプ:「ゆき」と「かえり」がセットになったもの。「ゆき」と「かえり」で経路が違うタイプも含みます。
- フリータイプ:指定されたエリアが乗り放題になるきっぷ。「乗りつぶし」の強い味方。JR以外の鉄道会社やバスなどが対象エリアに含まれているものも多いです。
- 往復+フリータイプ:「往復タイプ」と「フリータイプ」が合わさったもの。往復部分は新幹線や特急列車に乗車できるタイプが多く、目的エリアまでは効率よく移動し、現地で濃密に乗って遊びたい人向けです。
上記のほかに、観光施設への入場券がセットになった往復タイプなどもあります。
まず利用したいトクトクきっぷを探そう
まずは旅行で利用したい、利用できそうなトクトクきっぷを探しましょう。探し方は、
- JR時刻表内の「JRのトクトクきっぷコーナー」
- 「JR九州のウェブサイト」
の2通りがあります。
JR時刻表の「JRのトクトクきっぷコーナー」
JR時刻表の「ピンクのページ」には、トクトクきっぷが「通年で発売されているもの」「期間限定で発売されているもの」に分かれて収録されており、きっぷの概要や主な区間の料金、売り場などがまとめられています。
フリータイプの場合は、使えるエリアが図で示されているため、見やすさも抜群です。
最大の利点は「時刻表に載っている」ことに尽きます。旅程づくりと、利用きっぷの検討が並行して進められてしまうのです!
JR九州のウェブサイト
JR九州のウェブサイトには、JR九州エリアで購入できるトクトクきっぷが、購入手段と種類別にまとめられたページがあります。
また、検索を活用し、「出発エリア」や「キーワード」などによって絞り込みを行えば、該当するトクトクきっぷ一覧が表示されます。
JR6社共通のトクトクきっぷの購入方法
利用したいトクトクきっぷが決まれば、いよいよ購入です。以下では、購入方法別に発券までの流れを解説します。
JR6社共通のトクトクきっぷの購入方法
みどりの窓口
最も初心者向けの購入方法は、係員と対面でやり取りできる「みどりの窓口」です。
ここでは、九州の全鉄道の快速・普通列車1日乗り放題が3回(人)分乗り放題になる「旅名人の九州満喫きっぷ」を例に、手順を説明します。
みどりの窓口に行く前に~2つの「期間」とエリアを確認~
「あえて書くことか?」と突っ込まれそうですが、みどりの窓口を訪ねる前に、きっぷの利用可能日を確認しましょう。
というのも、発売・利用期間が「通年」であっても、多くの人が旅行に出かける期間を利用日から外しているきっぷが少なくないからです。これらのシーズンが「利用除外日」である場合、JR時刻表のピンクのページでは「多客期×」の記号が付いています。
併せて確認したいのが「発売期間」です。きっぷによっては「利用開始日●日前まで」「前日までの発売」など、当日購入できないものもあります。
なお、多くのトクトクきっぷは通常のきっぷ同様利用開始日の1か月前から発売しています。
今回例に挙げた「旅名人の九州満喫きっぷ」は、通年で発売されており、一つ目の確認ポイントはクリアできます。
一方で、発売期間が少々特殊です。前売りが行われておらず、利用開始日にしか購入できないのです。ただ、このきっぷに関していうと、利用開始日から「3カ月」と十分な有効期間が設けられいるため、そこまで神経質になる必要はありません。
そして何より重要なのが「発売箇所」です。「旅名人の九州満喫きっぷ」は、JR九州エリア内に限定されているため、エリア外から旅行される方は、利用開始日当日に購入する場合が多いと思います。旅行計画を立てる際に「きっぷを買う時間」を確保しておきましょう。
いざ窓口へ~支払い方法は2種類~
期間や発売箇所を確認したら、窓口に赴きましょう。あとは係員に「旅名人の九州満喫きっぷ」を購入したい旨を伝え、発券に進むだけです。
最近は、PayPayをはじめとしたスマホ決済など、支払い方法の多様化が進んできましたが、「みどりの窓口」では、現金またはクレジットカードのみの扱いになるので、スマホ決済を日常的に使っている方は、お財布の中を確認しておきましょう。
なお、「みどりの窓口」は駅や季節によって混雑し、発券までの時間が読めないこともあります。加えて、設置されている駅自体も少なくなってきたことから、利用条件に年齢制限などが設けられたごく一部のきっぷを除いては、指定席券売機でも購入可能です。
この方法で購入できる主なきっぷ ※券売機でも購入可能
- 旅名人の九州満喫きっぷ
- 2枚きっぷ(乗車券、指定席、自由席)
- 特急料金回数券(4枚つづり)
みどりの窓口のように使える券売機
最近では「みどりの窓口」の代わりに、「なんでも私に聞いてください!『ど~ぞ』」のように、オペレーターとやり取りしながら、きっぷを発券できる券売機が全国で増えています。
「みどりの窓口」に準じた方法できっぷが買えますので、機械操作に慣れていない方にはおすすめです。
旅行会社
みどりの窓口が近くにないけど対面で買いたい人向け
旅行会社というと、宿ときっぷがセットになったパック商品、はたまた添乗員が同行するツアー商品を買い求める場所と思いがちですが、以下のサイトに掲載されている旅行会社ではJRのきっぷも扱っており、発売箇所に「主な旅行会社」と書かれているトクトクきっぷも購入可能です。
駅から離れた地域に住んでいる方、また近くの駅に「みどりの窓口」がない方は、ショッピングモールなどに入っている旅行会社のカウンターを訪ねるのもおすすめです。「みどりの窓口」同様に、対面で発券手続きが行えます。
なお、発売エリアについては、みどりの窓口の発売エリアとおおむね一致します。また、旅行会社のカウンターの場合は、旅行商品の相談に来られる方が多く、カウンターがふさがっていると相当の間待つ点だけは気を付けましょう。
旅行会社だけで扱っているトクトクきっぷがある
ここまでは「旅行会社で買えるトクトクきっぷ“も”ある」と説明してきましたが、世の中には「旅行会社でしか買えないトクトクきっぷ」も存在します。JR九州エリアでは「全九州フリーきっぷ」などが該当します。旅行会社にて、対象の旅行商品利用者だけが購入できるフリータイプのきっぷです。
なお、対象となる商品や、発売期間などの条件は旅行会社ごとに異なります。
この方法で購入できる主なきっぷ ※旅行商品専用
- 全九州フリーきっぷ
- 由布院・別府フリーきっぷ
- 鹿児島・宮崎フリーきっぷ
JR九州のトクトクきっぷの購入方法
トクトクきっぷの購入方法としては、「駅の窓口」「旅行会社」といった対面での販売に加えて、駅の「指定席券売機」、「JR九州インターネット列車予約」など、非対面の販売方法が用意されています。
まずは、JR九州のトクトクきっぷをこれらで購入する方法を見ていきます。
JR九州のトクトクきっぷの購入方法
指定席券売機
ここでは、前出「旅名人の九州満喫きっぷ」を指定席券売機で購入するとします。
指定席券売機でのトクトクきっぷ購入の流れ
- 1.券売機の最初の画面で「トクトクきっぷ」(※)を選択
- ※券売機によって表示が異なります
- 2.「旅名人の九州満喫きっぷ」を選択
- 3.利用人数を選択
- 4.支払い
支払方法は「現金」「クレジットカード」から選べるうえに、「領収書」も発行できるので、ビジネス利用でも問題ありません。
また、「指定席券売機」であっても、みどりの窓口同様に、一般的なトクトクきっぷは、きっぷが利用できるエリアで発売していることが非常に多いです。
この方法で購入できる主なきっぷ ※「みどりの窓口」でも購入可能
- 旅名人の九州満喫きっぷ
- 2枚きっぷ(乗車券、指定席、自由席)
- 特急料金回数券(4枚つづり)
JR九州インターネット列車予約
続いて、ネット予約システム「JR九州インターネット列車予約」でトクトクきっぷを買う流れを見ていきます。
ネット予約のメリットはなんといっても、自身のスマホやPCなどで、事前にきっぷを予約できる点にあります。加えて、「ネット予約限定」のトクトクきっぷも増えていることから、お得に旅をするうえでは、ぜひ押さえておきましょう。
特にJR九州エリアでは、ネット予約限定商品が充実しています。なかでもおススメなのが、特急・新幹線の片道タイプ「九州ネットきっぷ」です。
「九州ネットきっぷ」のすごいところ
- 効力は通常の紙のきっぷ(乗車券+特急券)とほぼ同じ
- JR九州エリア内のさまざまな区間が設定されている
- 乗車前なら何度でも変更可能
- 紙のきっぷよりお得
上記のとおり、「九州ネットきっぷ」は、使い勝手はほぼ通常の紙のきっぷと変わりません。「ネットで予約する」という手順を踏むだけで、お得かつ使いやすくなってしまうのです。
また、区間によっては早めの予約で割引額が大きくなる早割タイプの「九州ネット早特7」「九州ネット早特3」なども用意されています。
以下では、「九州ネットきっぷ」の購入方法を紹介します。
なお、JR九州インターネット列車予約の利用にあたっては、JR九州Web会員への登録を済ませておきましょう。
「JR九州インターネット列車予約」でのトクトクきっぷ予約の流れ
- 1.JR九州インターネット列車予約にログイン後、「割引きっぷから検索/予約」から利用エリアの検索またはきっぷ名(九州ネットきっぷ)を選択
- 2.表示された候補の中から、希望の区間・きっぷを選択
- ※早割タイプのきっぷが予約できる場合は、ここで選択肢に出てきます
- 3.利用日時・人数を入力
- 4.希望の列車・設備、座席を選択
- 5.支払方法を選択
- 6.(クレジットカードの場合)必要事項を入力し「購入(決済)する」」を選択
- 7.決済すると同時に、予約も完了
上記では、クレジットカードの例を示しましたが、支払い方法は以下より選択できます。
- クレジットカード
- コンビニ払い(現金のみ)
- 金融機関
- 駅での支払い(みどりの窓口、指定席券売機)
クレジットカードは「申込」と同時に決済が行われ、「購入」も完了します、また、コンビニ、ATM、駅はインターネットで申し込んだ段階では「予約」の扱いになり、支払い期限が設定されています。期限を過ぎると自動的にキャンセルとなるため、クレジットカード払いを強く推奨します!
支払いが完了したトクトクきっぷは、みどりの窓口・券売機で受け取ります。なお、支払い方法で「駅」を選択した場合は、きっぷの購入と発券が同時に行われます。
こうしたネット予約システムの嬉しいポイントは、きっぷの購入こそ、期限までに済ませる必要がありますが、きっぷの受け取り自体は「利用開始まで」で良い点です。事前に決済まで済ませておけば、現地で利用直前に指定席券売機で発券、という手順を踏むことができます。
JR九州インターネット列車予約で予約したきっぷを指定席券売機で発券する流れ
- 1.券売機の最初の画面で「予約したきっぷのお受け取り」を選択
- 2.「JR九州列車予約サービス」を選択
- 3.案内に沿って進む
- 4.発券
クレジットカード払いの場合、きっぷの受け取りに際しては、実際に使用した「クレジットカード」が必要になります。旅行中はお財布のなかをすっきりさせる人も多いと思いますが、「カード、家に置いてきちゃった!」とならないよう、「いつも使っているカード」で決済しましょう。
この方法で購入できる主なきっぷ ※ネット予約限定
- 九州ネットきっぷ
- 私たちも、かもめ。早特7
- 九州ネット早特3
また、九州新幹線は、東海道・山陽新幹線同様に「スマートEX」サービスにも対応しています。
詳しくはこちらをご覧ください。
JR九州エリアのトクトクきっぷを買って、お得な旅を
今回は、JR九州エリアのトクトクきっぷの購入方法を解説しました。
きっぷによって選べる購入方法は異なりますので、利用するトクトクきっぷの「発売箇所」を確認するのだけは、お忘れなく!
著者紹介
- ※文:蜂谷あす美
- ※掲載されているデータは2023年12月現在のものです。