「トクトクきっぷ」の買い方を追究
これまで各地の「トクトクきっぷ」を紹介してきました。トクトクきっぷは、使い方や有効日数がさまざまで、上手に活用するためにはルールをおさえることが重要です。加えて、きっぷによって、発売箇所や購入方法も異なります。
そこでエリア別、方法別に「トクトクきっぷ」の買い方を紹介していきます。第3弾はJR東海エリア編です！
トクトクきっぷとは？
トクトクきっぷは、正式名称を「特別企画乗車券」といい、ざっくり説明すると「列車がお得に利用できるJRのきっぷ」です。JR東海では「お得なきっぷ」と呼ばれるなど、会社によって呼び方は少しずつ異なるものの、ルールはおおむね共通しています。
また、トクトクきっぷの種類は、大きく以下の5つに分けられます。
- 回数券タイプ：新幹線や特急列車等のきっぷが複数枚綴りになったもの。券面に書かれた駅間のどちらから利用してもよいため、グループのほか、往復利用などにおすすめです。
- 片道タイプ：早めの購入で割引になるタイプ。旅行の計画が定まっている人向け。最近はチケットレスを含めて、ネット限定タイプも増えています。
- 往復タイプ：「ゆき」と「かえり」がセットになったもの。「ゆき」と「かえり」で経路が違うタイプも含みます。
- フリータイプ：指定されたエリアが乗り放題になるきっぷ。「乗りつぶし」の強い味方。JR以外の鉄道会社やバスなどが対象エリアに含まれているものも多いです。
- 往復＋フリータイプ：「往復タイプ」と「フリータイプ」が合わさったもの。往復部分は新幹線や特急列車に乗車できるタイプが多く、目的エリアまでは効率よく移動し、現地で濃密に乗って遊びたい人向けです。
上記のほかに、観光施設への入場券がセットになった往復タイプなどもあります。
まず利用したいトクトクきっぷを探そう
まずは旅行で利用したい、利用できそうなトクトクきっぷを探しましょう。探し方は、
- JR時刻表内の「JRのトクトクきっぷコーナー」
- 「JR東海のウェブサイト」
の2通りがあります。
JR時刻表の「JRのトクトクきっぷコーナー」
JR時刻表の「ピンクのページ」には、トクトクきっぷが「通年で発売されているもの」「期間限定で発売されているもの」に分かれて収録されており、きっぷの概要や主な区間の料金、売り場などがまとめられています。
フリータイプの場合は、使えるエリアが図で示されているため、見やすさも抜群です。
最大の利点は「時刻表に載っている」ことに尽きます。旅程づくりと、利用きっぷの検討が並行して進められてしまうのです！
JR東海のウェブサイト
JR東海のトクトクきっぷを検索できるページがあります。「出発地」や「目的地」、きっぷの種類などを入力することで、該当するトクトクきっぷ一覧が表示されます。ある程度行程が決まっているときに「使えそうなトクトクきっぷはないかな～」といった使い方ができます。
ちなみに、使いたいトクトクきっぷを先に決めてから行程をつくる、逆引き的な使い方をしたいときは、「お得なきっぷ一覧」の「回数券」「往復」「乗り放題・その他」をクリックすることで、扱っているきっぷがすべて表示されます。
JR6社共通のトクトクきっぷの購入方法
利用したいトクトクきっぷが決まれば、いよいよ購入です。以下では、購入方法別に発券までの流れを解説します。
JR6社共通のトクトクきっぷの購入方法
きっぷうりば
最も初心者向けの購入方法は、係員と対面でやり取りできる「きっぷうりば」です（会社によっては「みどりの窓口」）。
ここでは出発駅からフリー区間までの往復に特急「しなの」号の普通車指定席、フリー区間（中津川駅～洗馬駅間）の乗り放題などがセットになった「往復＋フリータイプ」のトクトクきっぷ、「木曽路フリーきっぷ」を例に、手順を説明します。
きっぷうりばに行く前に～2つの「期間」とエリアを確認～
「あえて書くことか？」と突っ込まれそうですが、みどりの窓口を訪ねる前に、きっぷの利用可能日を確認しましょう。
というのも、発売・利用期間が「通年」であっても、多くの人が旅行に出かける期間を利用日から外しているきっぷが少なくないからです。これらのシーズンが「利用除外日」である場合、JR時刻表のピンクのページでは「多客期×」の記号が付いています。
併せて確認したいのが「発売期間」です。「木曽路フリーきっぷ」は利用日当日でも購入可能ですが、特に「フリータイプ」のなかには、利用開始日の前日までしか発売していないものもあります。多くのトクトクきっぷは通常のきっぷ同様利用開始日の1か月前から発売しているため、お出かけする日程が決まっている方は早めに買っておきましょう。
そして何より重要なのが「発売箇所」です。「木曽路フリーきっぷ」は、発売箇所が「発駅」に設定されている区間、およびその周辺に限られているため、それ以外の駅の場合は「きっぷうりば」があっても購入できません。なお、トクトクきっぷでも、とりわけフリータイプの発売箇所は「フリーエリア内」が非常に多いので注意しましょう。なお、発売箇所については、JR時刻表内の「JRのトクトクきっぷコーナー」「JR東海のウェブサイト」に詳しく載っています。
いざ、きっぷうりばへ～支払い方法は2種類～
期間や発売箇所を確認したら、きっぷうりばに赴きましょう。係員に「木曽路フリーきっぷ」を購入したい旨、利用開始日を伝えていきます。また、「木曽路フリーきっぷ」では、往復で特急列車の指定席が利用できるため、併せて席を予約します。どの列車に乗るか、あらかじめ選んでおくとスムーズです。
最近は、PayPayをはじめとしたスマホ決済など、支払い方法の多様化が進んできましたが、「きっぷうりば」では、現金またはクレジットカードのみの扱いになるので、スマホ決済を日常的に使っている方は、お財布の中を確認しておきましょう。
なお、「きっぷうりば」は駅や季節によって混雑し、発券までの時間が読めないこともあります。そのため、指定席券売機の利用もご検討ください！
この方法で購入できる主なきっぷ
- レール＆レンタカーきっぷ
きっぷうりばのように使える券売機
最近では「きっぷうりば」の代わりに、「サポートつき指定席券売機」のように、オペレーターとやり取りしながら、きっぷを発券できる券売機が全国で増えています。
「きっぷうりば」に準じた方法できっぷが買えますので、機械操作に慣れていない方にはおすすめです。
旅行会社
きっぷうりばが近くにないけど対面で買いたい人向け
旅行会社というと、宿ときっぷがセットになったパック商品、はたまた添乗員が同行するツアー商品を買い求める場所と思いがちですが、以下のサイトに掲載されている旅行会社ではJRのきっぷも扱っており、発売箇所に「上記の各駅周辺の主な旅行会社の支店・営業所」と書かれているトクトクきっぷも購入可能です。
駅から離れた地域に住んでいる方、また近くの駅に「きっぷうりば」がない方は、ショッピングモールなどに入っている旅行会社のカウンターを訪ねるのもおすすめです。「きっぷうりば」同様に、対面で発券手続きが行えます。
なお、発売エリアについては、きっぷうりばの発売エリアとおおむね一致します。また、旅行会社のカウンターの場合は、旅行商品の相談に来られる方が多く、カウンターがふさがっていると相当の間待つ点だけは気を付けましょう。
JR東海のトクトクきっぷの購入方法
トクトクきっぷの購入方法としては、「駅の窓口」「旅行会社」といった対面での販売に加えて、駅の「指定席券売機」、インターネット予約システムなど、非対面の販売方法が用意されています。
まずは、JR東海のトクトクきっぷをこれらで購入する方法を見ていきます。
JR東海のトクトクきっぷの購入方法
指定席券売機
ここでは、東海圏のフリー区間内の快速・普通列車が土休日および年末年始に1日乗り放題になる「青空フリーパス」を指定席券売機で購入するとします。
指定席券売機でのトクトクきっぷ購入の流れ
- 1.券売機の最初の画面で「お得なきっぷ」を選択
- 2.「青空フリーパス」を選択
- 3.利用日、利用人数を選択
- 4.支払い
支払い方法は「現金」「クレジットカード」から選べるうえに、「領収書」も発行できるので、ビジネス利用でも問題ありません。
なお、「指定席券売機」であっても、「発売エリア」が定まっており、「青空フリーパス」は、フリーエリア内でのみ購入できます。それ以外のエリアの指定席券売機では発券できません。
この方法で購入できる主なきっぷ
- JR東海＆16私鉄 乗り鉄☆たびきっぷ
スマートEX
続いて「スマートEX」での「トクトクきっぷ」の買い方を解説します。スマートEXは、東海道・山陽・九州新幹線のネット予約サービスのことで、料金は紙のきっぷで乗る時よりも200円以上安くなるうえに、「EX早特」などの早割商品がさまざま用意されています。
ここでは、21日前までの予約で、「のぞみ」普通車指定席をお得に利用できる「EX早特21ワイド」で名古屋駅～東京駅間のきっぷ（指定席特急券＋乗車券）の購入方法を説明します。
なお、下準備として先に「スマートEX」への会員登録などを済ませておきましょう。
「スマートEX」でのトクトクきっぷ予約の流れ
- 1.スマートEXにログイン後、「予約」をクリック（「スマートEX」のアプリも以下の手順とほぼ同様）
- 2.乗車日時、区間などを入力し、「OK 予約を続ける」をクリック
- 3.乗車する列車をクリックし、商品を選択。なお、早割商品は数量限定であるため、売り切れている場合は「×」が表示されている
- 4.座席を選択し、「OK 予約を続ける」をクリック
- 5.「OK 予約する（購入）」を押すと購入（決済）完了
支払い方法は「クレジットカード」のみが選択可能で、「予約」と同時に決済が行われます。
乗車時には、事前の発券は必要なく、ふだん利用している「交通系ICカード」を改札にかざします。あらかじめICカードの紐づけをしておきましょう（きっぷの発券が必要な場合もあります）。
スマートEXで注意しておきたいのは、「乗車券」と「特急券」が一体になっている点です。新幹線を降りたあとに別の駅まで移動する場合は、別途乗車券が必要になるため、「最寄り駅～新幹線～目的地」を紙の乗車券１枚に収めるよりもトータルでは高くつくこともあります。
この方法で購入できる主なきっぷ
- スマートEXサービス
- EX早特
- EX早特21ワイド
JR東海エリアのトクトクきっぷを買って、お得な旅を
今回は、JR東海エリアのトクトクきっぷの購入方法を解説しました。
きっぷによって選べる購入方法は異なりますので、利用するトクトクきっぷの「発売箇所」を確認するのだけは、お忘れなく！
- ※文：蜂谷あす美
- ※掲載されているデータは2023年8月現在のものです。
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