トレたび JRグループ協力

2021.12.15旅行原城跡に島原城、雲仙地獄でキリシタンをしのび、「36ぷらす3」で癒される、島原半島の旅

キリシタンの軌跡は、島原半島に

突然ですが、遠藤周作著『沈黙』を読んだことはありますか?
数年前には映画化もされた、言わずと知れた名作。江戸時代初期、すさまじい拷問に耐えるキリシタンたちが、神のために生き続ける姿が描かれています。この物語で語られるキリシタン弾圧のむごさは目を伏せたくなるようなものばかりでした。なぜ、それでも彼らは神を信じ続けたのか……。

当時キリシタンが多かった場所・長崎県の、なかでも島原半島には、キリシタンの軌跡が感じられる名所がたくさんあります。島原・天草の一揆の舞台で、世界文化遺産にもなった原城跡、その一揆の原因になったともいわれる島原城、多くのキリシタンが拷問を受けた雲仙地獄。
1年後の2022年10月~12月には、佐賀・長崎デスティネーションキャンペーンが開催されるこの地で、どんな旅をしよう。
まずはここで、日本一早い(?)予習をしましょう。

キリシタンを知るなら原城跡

今から400年ほど前、原城は、島原・天草の一揆の舞台となりました。
この一揆を率いたのは、当時10歳半ばだったと言われる天草四郎。
彼はキリシタンとして、おおよそ3万7000人もの領民とともに、島原藩主のキリシタン弾圧や年貢取り立て等の政策に抵抗し、原城に立てこもります。
4カ月にもおよぶ攻防の結果、一揆軍が敗退。勝った幕府軍は神の力を恐れ、徹底的に城を破壊しました。そのため原城は、当時の姿かたちを消したまま、今に至ります。
世界文化遺産「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の構成資産です。


おおよそ東京ドーム10個分におよぶ、広大な原城跡

城跡のツウな楽しみ方

みなさん、「城跡ってなにもない」と思っていませんか?
実は私もそのひとりでした。というのも数年前、島原を訪れたとき、「原城跡って“跡”でしょ? 何もないじゃん!」と、行くのを諦めていたのです。
実際に訪れてみて感じたのは、「城跡ならではの楽しみ方がある」ということ。
「ストリートミュージアム」というアプリをインストールすれば、画面上に広がるのは、原城の当時の姿。
「当時ここには門があったのか……」なんて発見も楽しいですね。


こちらは実際の風景


アプリの画面では、かつての門が。現在はトイレのある場所

天草四郎が見つめる先には…?


有明海を眺める三体の石像。真ん中が天草四郎

原城跡を見回っていると、柵の外側に三体の石像が。
この石像が見つめているのは、写真右奥にある「湯島」。一揆軍は、この島で一揆を決断し、どのように戦うか談合したとのことです。そのため別名を「談合島」ともいいます。
なんだか悲しみが感じられる3人の背中。天草四郎は何を思っているのでしょうか。

この地で戦った人々は、長らく骨のまま土の中に眠っていました。
その多くが掘り起こされ、調査され、今なお語り継がれています。この出来事を風化させないために、あえて城を再建せず、城跡のまま残しているのでしょう。
壮絶な歴史を伝えている場所なのです。

イケメンな天草四郎に見惚れちゃう


本丸を下から臨むように撮影。キリっとしたかっこよさ

お次は島原城へ。
島原城は1618年に、武将・松倉重政が築城開始。明治時代の御一新により解体されますが、1960年代に、島原市民の声により再建されました。
この島原城、築城に4年から7年もかかったとされるのですが、かなりの費用が発生したことで財政難になり、領民たちの過重年貢としてのしかかることに。
さらにキリシタン弾圧が強まったことで、領民たちは反発。島原・天草の一揆へと繋がるのです。

超人気声優の声で天草四郎が!

キリシタンにとってはある種、敵の住処のような(?)島原城。そんな場所に、天草四郎が舞い降りてきました。
島原城では、MRホログラムの天草四郎に城内を案内してもらえる驚きのコンテンツが!
大きなゴーグルを装着すれば、目の前には美しすぎる天草四郎が出現します。

この天草四郎、超人気声優・石田彰さんが声を担当しています。
日本を代表するアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』の渚カヲルや、超人気アニメ『鬼滅の刃』猗窩座(あかざ)を演じている、あの方です。
天草四郎はかつて思ったでしょうか。自分がホログラムとして、はたまた美少年として、石田彰さんの声で、島原城を案内する日が来ることを。
きらびやかな天草四郎に導かれるようにして、キリシタンの歴史を学ぶことができます。

またまた私事ながら。島原城は、原城跡と引き換えに訪れたことがありますが、時代とともに楽しみ方が変化しているさまを知り、二回目とは思えないほど新鮮な体験ができました。
古いものを知るために、新しいものを使う。原城跡でもそうですが、これこそ、新しいお城の楽しみ方なのかもしれません。
日々アップデートするお城に、ときめきがとまらない!


天守閣からは、島原の景色を一望できます

雲仙にもある、キリシタン弾圧の面影

お城巡りで疲れたら、雲仙温泉で一休み。
雲仙岳につくやいなや、あちこちでもくもくと煙があがるのが見えます。


夜でもライトが当たれば煙の様子がわかります

煙の近くを歩けば、鼻を衝く硫黄泉のにおい。「卵の腐ったようなにおい」と称されますが、自然が生み出した“香り”だと思うと、そこまでいやな感じはしません。
酸性硫黄泉で殺菌効果があり、皮膚病に効くのだとか。疲労回復も期待できるといい、極楽気分が味わえます。

雲仙の歴史は、701(大宝元)年、行基という僧が雲仙岳を開山したことからはじまります。
江戸時代の中頃には、雲仙はキリシタン禁教令のあおりを受け、キリシタン弾圧の地として有名になりました。
逆さづりにしたキリシタンを湯壺の中に入れては出し、入れては出し、と繰り返したといわれています。殉教したキリシタンをしのぶ碑もあり、ここでもキリシタン弾圧の面影が残ります。

現在、前向きに復興中

雲仙岳は、今年8月の記録的豪雨で大きな被害を受けました。「八万地獄」では土砂崩れが発生し、地獄が土砂に埋まりましたが、現在はさまざまなことを考案中だそう。
ここでご説明をいただいたガイドの方は、どなたも真摯に現状に向き合っているのが印象的でした。

この地で殉教したキリシタンも、自分の運命を憎むことなく、最期までまっとうに神を信じ続けたのでしょう。それは歴史上、消されることなく、後世に語り継がれているのです。
祈り、希望につなげ、行動を起こす人々が、雲仙にはたくさんいます。
今後の雲仙が楽しみ。きばって!


豪雨により土砂崩れが発生した「八万地獄」。土砂の底から湧き上がる煙

長崎から博多までの移動は、「36ぷらす3」で

島原からの帰りにぜひ利用してもらいたいのが、「36ぷらす3」。
月曜日ルートでは、長崎駅から博多駅までを3時間30分ほどで結びます。島原から長崎までは、電車で2時間ほど。


肥前浜駅にやってきた「36ぷらす3」

ここでクエスチョン。「36ぷらす3」の数字に込められている意味、知っていますか?

実は、九州は世界で36番目に大きい島。「36ぷらす3」には、曜日ごとに変わる5つのルートに、九州がわかる合計35のエピソードが含まれています。乗車したお客さんに“36番目”のエピソードを語ってもらいたい、という想いから36という数字があてられました。
そして、36+3=39! つまり、「サンキュー!」という感謝の気持ちを込めて、この名前なのだとか。想いの詰まった列車名です。

どこを切り取っても絵になる、極上の車内

魅力が過ぎて、何からお伝えすべきか迷うのですが、まずは、内装がお洒落すぎます。
水戸岡鋭治氏のデザインは細部まで凝っていて、どこを見ても飽きません。見上げては感嘆し、見下ろしても感嘆。目に映るすべてがお洒落。インスタ映え間違いなしです。


2号車のグリーン個室。机にはランプもついていて、本当に、これは車内なの…?(車内です)

ちなみに1号車のグリーン個室では、椅子が床面に固定されておらず、チェアとソファーがそのまま畳の上に載っています。椅子の向きを変えて自由におしゃべりが楽しめるのです。
かつてこんな列車があっただろうか。いや……ない。

景色を眺めながらコーヒーブレイク

3号車のビュッフェでは、九州の味を堪能。九州各地のスイーツ、おつまみ、ジュース、お酒まで提供されます。


#36ぷらす3 #コーヒーブレイク #おしゃれさんとつながりたい

ここではアテンドさんの丁寧であたたかな接客も。内装に癒され、景色に癒され、人に癒され……癒され尽くしの旅。移動手段としてだけでなく、この列車に乗るためにおでかけしたくなってきます。

この「36ぷらす3」、特急「つばめ」が改装されてできていることから、なんと車内にはつばめが2羽潜んでいるのだとか。
ぜひ、つばめを探してみてはいかがでしょうか? (乗車時は1羽しか見つけられませんでした)


島原半島へ行こう

キリシタンを知ることのできる城(跡)に温泉に、観光列車まで。歴史を知り、土地をめぐり、心身にさまざまな刺激をもらたしてくれた島原半島の旅でした。
記事を書いているうち、また行きたくなっています。

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